お助けキャラに転生したのに主人公に嫌われているのはなんで！？

ストーリーが開始されました！

ゼゼの姿

なんでどうして…ゼゼはヴァンクラフトとそっくりなの…。

「第五王子殿下にそっくりで驚きますよね。見た目は最高なので気に入ってますけど、こうして顔を出して誰かと会話なんてできたものじゃないですよ」

やれやれと言うように肩を竦める。
あれだけ勢い良く吹き飛ばしたのに、ゼゼは痛そうな素振りすら見せない。

「ルド様はそうやって怯えてくれているのが一番可愛いのに…、どうして誰も彼もがルド様を笑顔にさせようとするのですか？」

俺の元に近寄ってくるゼゼが怖い。
父さんが任せる人だから結界でどこまで防げるのかも分からない。

「あぁ…そんな怯えた表情をなさらないでください。もっと怯えた表情をさせたくなるじゃないですか」

あまりもな発言と、向けられる気持ち悪い表情に俺は怯えることしか出来ない。
結界を張っているから内側から攻撃も出来ない。

どうしたらゼゼは俺から離れてくれるんだろう。

バンっ！

ゼゼの結界を叩く音に驚きと恐怖で顔を背けた。
体が震えて全然止まらない。

「ルド様、どうしてここまでお可愛らしいのでしょうか。第五王子殿下がいらっしゃらなければ俺がルド様を可愛がることが出来ましたのに」

強固な結界の筈なのに何故か結界がバキバキと音を立てていく。
音の方を見れば何故か結界にヒビが入って割れていっている。

強力な魔法ですら無傷で耐えるのに、ただの腕の力だけで結界にヒビを入れてるの…？

「おや？脆いですね」

脆いわけがない…。
ただ目の前で割れていく結界はゼゼの言う通り脆いのだろうか…。

目の前で儚く割れていく結界を見ることしか出来なかった。

「ルド様が俺を招いてくれたのですね」

恍惚とした表情を浮かべるゼゼが怖い。

「俺の事を求めてくれたってことですよね？」

手を取られ甲にキスをされる。
ゾワッとした感覚が走ると思ったのに全く走らない。

なんでどうして？

「本当にたまたまでもこの体を手に入れられて良かった」

手に入れられて？
自分の体じゃないのに、他人の体を操ってるってこと？

「この体の事が気になります？ちょっとそこらで拝借した訳ではなく、なんと治癒団の本拠地で手に入れた体なのですよ」

ゼゼの言葉に驚きの声が出そうになった。
治癒団の本拠地にある体は…闇者の体で俺たちが手に入れようとしてた体だ。

封印を解くのは聖者の俺しかできないって話だったのに、どうして目の前に闇者の体があるの？

「力は全くないですが、こうしてルド様のお近くにいるに足る容姿を得ることが出来て俺は幸せです」

ゼゼに抱き締められたら、何故か心臓がバクバクと跳ね始める。

「ルド様はこの体を求められていたのですね。あぁ…本当に俺は幸運です」

椅子に押し倒されたのに、抵抗しなきゃいけないのに…体は言うことを全く聞いてくれない。
助けて…ヴァン…。