お助けキャラに転生したのに主人公に嫌われているのはなんで！？

ストーリーが開始されました！

仕方のない結果

ただここの侍従でありながらどうやってサミュエルと出会えたのか分からない。
見たところ俺よりも年齢がそこそこ上だから学校で会うこともない。

それに攻略対象者でもないのにサミュエルが優しくする意味はなんだったんだろうか。

「サミュエル様はただの侍従である私に、お礼を言われたり、物を落とした時には貴族であるお方が膝をついて物をお拾いになられたのですよ！？」

こいつは本当に何を言っているんだ。

「そして！私に笑顔で微笑んで下さったのです…。あの様な天使の方に微笑まれるなんて、私は前世にきっと得を積んだのです…。それなのにも関わらず…そこの膿はサミュエル様に危害を加え、挙句の果てにはサミュエル様を無実の罪で処刑なされました！そんな許されない事をして、のうのうと生きているのは許せませんでした！」

今君の目の前にある真偽の魔道具これは一体何のために存在していると思ってるんだ。

「サミュエル様…本当にお労しい…」

しまいには泣き崩れてしまった侍従の一人劇場いつまで見てたらいいのかな？
本当に何を見せられてるのか分からないし、一応この一人劇場中魔石の確認をしたけど一切光らないから本心で話してるのは分かる。

「王宮から出された御触れが偽物だと言いたいんだね」

「左様でございます！あの天使の様な方がこの様な者を陥れる必要性がございません！だからこそ…あの御触れが偽物だと私は理解しているのです！」

この言葉を最後にパキンっと魔石は割れて、真偽判定を行えなくなった。
でも、毒を盛った事は聴取できたから問題ないと思ーーー…

目の前で父さんに蹴られた事によって侍従が飛ばされていく姿が見える。
まてまてまてまて！？！？

あのまったりとした父さんが人を蹴り飛ばした！？
あまりにもありえない光景で処理が追いつかない。

「どれだけ…私がルドに心労を掛けさせ続けたか分かりますか？」

父さんの問いかけに侍従は痛みのせいで呻き声しかあげられない。

「今ルドの体にはどれだけの傷が刻み込まれているか分かりますか？」

起き上がろうと必死になっている侍従の手を踏みつける。
鈍い悲鳴が上がるが、父さんは全くその事を気にしていない。

「ルドの怪我の状態も、サミュエルの怪我の状態も…王宮からすべて情報が開示されております。そしてその情報は一切の偽りなく御触れとして出されます」

「いﾞたﾞいﾞ…」

痛そうに呻く侍従を可哀想に思えない。
この侍従は自身が受けている痛みのもっと酷い物を俺に受け続けろと言っていたのだから…。

だからこうして父さんに踏みつけられるのは仕方がないことだ。

「その御触れを偽物だと疑った挙句、ルドを死なせようと画策した罪は許されるものではありません。よって、この場で死刑と申しましょう」

死刑だと伝えられた瞬間に踏まれている侍従は顔を真っ青にし、うわ言の様に死にたくないと繰り返し続ける。

「ルドには死刑は厳しい物ですから…ゼゼ！」

父さんの一声で真っ黒な服に身を包んだ男の人が何処からか現れた。

「如何なされましたか」

「私の息子のルドを安全な場所に」

「かしこまりました」

真っ黒な服の人に腕を引かれながら部屋を出る最後に見たのは、父さんの後ろ姿だけだった。