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傲慢な侍従

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侍従が料理人を呼んでくるまでに真偽の魔道具を六個作る事ができた。
早く来ると思っていたのに、思っていた以上に来るのが遅かった。

侍従は走り回ったのか額に汗を浮かべていたけど、代わりに料理人は涼しげな表情を浮かべている。
料理人以外のも料理を作り、運ぶにあたっての過程で手に渡る者全員を呼んだみたい。

総勢十五人。
ギリギリ足りる数にホッと一安心したけど、毒を盛った人はまだ見つかってないから完全に安心するのは早い。

かなり強い毒を盛っているから相当の殺意があると思ったのに、料理人を除くほとんどの人の表情は困惑し切っていた。
料理人だけがどうして涼しげな表情を浮かべているのかが分からない。

「こちらで全員でございます。差し出がましい事ではございますが、誰が毒を盛ったのか判別されるおつもりなのでしょうか?」

「君の質問に答える必要はある?」

優しげな口調とは裏腹に父さんの表情はきつい物に変わっていた。

「それはないって物じゃないですかね?ここは第五王子殿下の館であって、ただのお客人が指図できる立場ではありませんよね?」

話し始めたのは料理人たちを呼んだ侍従とは別の侍従で、話し方は先程の侍従とは酷く横暴な言葉だった。
侍従は執事とは違って言い方は悪いけど、代えのきく人材なんだ。

執事はかなりの能力が求められてしまうから、大体は一家の当主に一人だけつく。
代えが聞いてしまうからこそ侍従は丁寧な対応が求められるし、その丁寧な対応をする事によって人材として重宝される。

「そうだね。私は今はただの客人ではあるけど、一応は王弟であり大公ではあるのだけど?例え客人であろうとも最低限の礼儀を持って接するべきだと学ばなかったのかい?」

「学んではおりますが、第五王子殿下の館に住み着く膿を追い出してから大公閣下には適切な対応をいたします」

遠回しでもなんでもなく直接俺の事を膿呼ばわりする侍従に流石に腹が立ちそうになった。
あまりとしてできた真偽の魔道具を起動させたけど、侍従が話している内容は全て真実で俺の事を膿呼ばわりしているし、追い出したいと思っているのも本心のようだ。

別に俺はここに居候しているわけじゃなくて、危険がまだあるからヴァンクラフトの館で過ごすようにと本人から言われている。
この館の主人が居るようにと命じた客人を追い出そうとするのは本当に侍従として正しい行動なんだと思っているんだろうか。

「そう。ならヴァンクラフトくんに君の行動を話しておくね。沙汰は追って下されるだろうけど、生優しい沙汰は下されないと覚悟をして置いた方がいいよ」

父さんに新しく作成した物と、前から作っていた物合計十五個手渡した。

「それじゃあ誰が毒をこの皿に盛ったのか一人ずつ確認を行うことにするよ」

ニコリと笑いながら話す父さんの姿はかなり怖かった。
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