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寂しい気持ち

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話し合いをした翌日にはヴァンクラフトとリリエルは治癒団の総本山に向かった。
ここから治癒団の総本山までは一週間程の道のりになるようで、体力と精神がそこそこ削られてしまう距離だ。

ヴァンクラフトとリリエルを見送る時は少し寂しくて、我儘を言ってその場に引き留めようとしたけど我慢して見送った。
ヴァンクラフトには心の声がバレバレだったから殆ど意味はなかったけど、それでも我慢したのは褒めてくれて直ぐに戻ってくれるって言ってくれた。

もちろんフレミネもヴァンクラフトについて行ったから俺の周りでずっと動いていた人が居なくて、シンとした状況になってしまって一気に寂しくなった。
本当に寂しくて寂しくて仕方がなくて、最近何故か増えているぬいぐるみを抱きしめてベッドの上でゴロゴロする。

一人で居るのがここまで寂しかっただろうかと思うぐらい寂しくて、何も手につかないし食欲も全くわかない。
昨日の今日だったから通信の魔道具も渡せなくて、ヴァンクラフトの声を聞くことも出来ない。

もっと事前に準備出来る時間があればよかったのに…。
本当に寂しくて寂しくて仕方がなくて辛い。

「ルド?」

いつの間にか入ってきていた父さんに声を掛けられた。

「父さん…」

「ルドはヴァンクラフトくんが居なくて寂しいんだね。でも、そんな状態だときっとヴァンクラフトくんが戻ってきた時に心配させてしまうから、しっかりとご飯を食べて元気な姿を見せてあげよう?」

「うん…。でも、本当に俺もどうしたらいいか分からなくて…。俺ってどうかしてしまったんじゃないかって…不安で不安で…」

「ルドはずっと周りで色んな事があったから人が側にいることが中々なかったからね。今回長くいた人が初めて側に居なくなったからその寂しさが助長したんだろうね。慣れろっては思わないからゆっくりとこの寂しさを理解していこう?」

「うん。父さんありがとう…。何も分からなくてごめんなさい…」

「何も謝らなくていいんだよ。侍従から何も食べていないと聞いているから、一緒にご飯を食べようか。今日は食堂じゃなくてゆっくりとこの部屋で一緒に食事をしようね」

「父さんもまだご飯食べてなかったの?」

「父さんは忙しくてまだご飯を食べれてなかっただけなんだ。だからルドと一緒にご飯を食べてもいいかな?」

そんなこと態々俺に聞かなくてもいいのに、聞いてくれるのは俺の意見を尊重してくれてるからだ。
そんな優しい父さんの気持ちに答えるためにゆっくりと頷いた。

「ありがとうルド。それじゃあ侍従に食事を持って来てもらうように頼むね」

ベッドの側に置かれているベルを父さんが鳴らすと、直ぐに侍従が入ってきて父さんの要件を聞いてから直ぐに料理を頼みに行ってくれた。
届くまでの間は父さんとゆっくりと話す時間を設けることが出来た。

ここまでゆっくりと話すことが出来たのは久々のように思えて、凄く心が暖かくなったような気がした。
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