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掃討について

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王太子殿下とヴァンクラフトが話していたのは戦争による功績の話だった。
確かあの時は、王太子殿下がヴァンクラフトの功績を奪った話をしていた様な気がする。

もしその話が本当であれば王太子殿下は戦時面の能力は全くなく、本当にその能力を持っているのはヴァンクラフトってことになる。
そうなると世間に見せている強い姿は嘘ってことになり、本来の姿は政務面では強いがそれ以外は神秘のベールに包まれた存在になる。

立ち回りだけは上手いことしていて、危ないことに関してはヴァンクラフトに全て押し付けていたことになる。
王太子という立場は王族の中では美味しい立場なんだろうが、嘘で固めた立場は直ぐに脆く朽ち果てていくのは賢ければ分かることだろうに…。

「兄上の話は置いておいて、治癒団は我が国では必要な存在だ。その国の王族が治癒団を保護せずに居ないわけにいかない」

「その申し出はありがたいのですが、どのようにして見つけられるつもりですか?」

「僕が持っている部隊は表立っての騎士団もいるが、ほとんどが影の部隊だ。情報収集もそうだが、暗殺もなんであろうが汚れ仕事はすべて請け負う。その部隊の者が姿を隠しながら情報収集を行う」

「それは殿下直属の影部隊ということでしょうか…。そのような話を部外者である私にされて良かったのでしょうか?」

「ルドの味方として引き込む為なら少しぐらい手札を見せても問題ないと思ったまでだよ。これで君は他のところに行くことは出来なくなったね?」

「その柔らかい表情で酷な事を仰られる。元より私はルド様以外の方と共にするつもりはございません」

その言葉は話しているヴァンクラフトではなく、俺に向けられて話してるようにも思えた。
熱烈な告白のようにも聞こえたけど、向けられている視線は暖かい視線でヴァンクラフトと闇者から向けられているような欲が混じったものじゃない。

「それでは殿下の部隊をお借りしてもよろしいでしょうか?」

「ああ。その代わりに影部隊は僕の傍から離れることが出来ないから、僕も治癒団の総本山に行ってもいいかな?」

「それであれば問題ございません。ただし、ルド様をお連れすることは絶対に出来ません。其方をご理解頂けましたら幸いです」

「事情が事情だからね。ルドを置いていくのは心苦しいけど、仕方がない事だから我慢するとしよう。ごめんねルド、先に治癒団の総本山に行って敵を掃討してくることにするよ」

ケロッとした表情で放たれた言葉はそう簡単なものじゃないのかと言いたくなった。
掃討ってなれば暴力沙汰じゃすまない戦いが拡げられるってことでしょ…。

そんなこと俺は望んでなかったのに、ただ闇者の体を取り戻したかっただけなのに…。
ヴァンクラフトが傷つくような事をして欲しくない。
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