お助けキャラに転生したのに主人公に嫌われているのはなんで!?

菟圃(うさぎはたけ)

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俺を見てくれる人

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「それで問題ございません。それでは私は主人に報告がありますので、こちらで失礼致します」

俺から手紙を取っていき、すぐに部屋から出ていった。
フレミネの考えは理解できるけど、俺に取ってはただ不愉快この上なかった。

ただでさえ思い通りにいっていないのに、それについかして不愉快な行動を起こされて気分は最悪だ。
何をしても、何をしなくてもこんな事をされる度に心を降りたくない。

前向きには考えていなかったけど、本格的にあの魔道具の作成を行うことを考えなきゃいけない。
ただ今日の不愉快何も出来事は中々忘れられそうにないや。

起動をさせなかった録音の魔道具を手でさすった。



ーーーーーーーーーーーーーー

「フレミネが迷惑をかけたな」

今日はいい天気だからと誘われたお茶会で、ヴァンクラフトが開口一番にフレミネのことで謝ってきた。
そのフレミネは普段通りにヴァンクラフトの側で給仕をしている。

ヴァンクラフトは今回フレミネが起こした事を許したんだ。
そう考えると少しだけが心がモヤっとしてしまった。

何でモヤっとしたのかわからない。

「フレミネが全部話したのですね」

「ああ。フレミネは僕を心配して人を試す様な行動を行うからね」

なんともないような言葉で紅茶を啜りながら話すヴァンクラフト。
その後ろで何事も無いようにせっせとお茶会の必要なお菓子を用意している。

そっかヴァンクラフトの信頼は俺ではなく、まだフレミネの方が軍配があるんだろうな。
俺の事を見ているのはヴァンクラフトではなくて、ヴァンクラフトの中に居る闇者だけが俺の事を見てくれているの?

いや、闇者も結局見ているのは俺じゃなくて、聖者として生まれるべき魂に執着しているだけなんだ。
そうか俺は浮かれ切っていただけで、誰も俺の事を見てくれている人はいないのか。

そう考えてしまうと俺は今飲んでいる紅茶も、食べているお菓子の味もまともにしなくてただ口の中で食感があるだけで全く味がしなかった。
味のしないお菓子を、味のしない紅茶で流し込んで無礼を承知で席を立った。

「ルド?」

「ごめんなさい。ちょっと気分が悪くなったので失礼致します…」

頭を下げて走ってないけど、なるべく早歩きで紅茶会場からさっさと出ていった。
そうだ…信じるべきは家族だけで、それ以外は全員信じちゃダメなんだ。

なんでヴァンクラフトの事を、闇者の事を信じようと思ってしまったんだ。
用意されたこの場所も最近は安心感を感じてる自分が恐ろしい。

早くこの屋敷から出て家に帰らなきゃいけない。
部屋に戻ってまとめられるだけ荷物を纏めようと思ったのに、いつ先回りをしたのか分からないヴァンクラフトが部屋の中心で立っていた。

「ルド、どこに行くつもりなの?」

「家に…戻るだけです…」

ヴァンクラフトの雰囲気が怖くて、一歩後ずさりする。
後ろは空いてる扉だ。

何とか逃げ切れると思いたい…。

「ルドはそんなに逃げたいのか?」

ヴァンクラフトの表情はまったく読み取れなくて、その表情が余計恐ろしくて後ずさったのに扉がいつの間にか閉まっていた。
ドアノブに手をかけて下に押そうとするけど、ドアノブは下がることがなかった。

外で誰か押さえてる…?

「そこまでして逃げたかったのか?」

もう目の前にまで来ていたヴァンクラフトから簡単に逃げられる距離じゃなくなってしまった。

から逃げるなんて許さない」

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