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サミュエルとルド2

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信じられない…俺は確かに何も覚えていないけど、婚約者が居たという内容なんてひとつも覚えてなかった…。
いや、そういえばどうやって死んだのかも、俺自身が誰なのかも全く知らない…。

ただゲームの知識だけは間違いなく存在していた。
それに関しても何ら異常だと感じることも無く、薄れゆく記憶を守る為にノートに書き記した。

それが…、前世の記憶は全部こいつに奪い取られてたなんて…。
奪い取られてたのも前世の自分が捨てたいと望んだから、こいつは前世の記憶を奪い取ったんだろう。

「こいつが…私の、大切な婚約者…?あ、有り得るわけないじゃない!彼は!彼がこんな顔を選ぶ訳ないでしょ!?」

「ルドが望んだ事だ。顔が良ければ何が起こった?の様な存在にまとわりつかれ、交友関係も、女性関係も、家族関係も全て監視され、自由に外に出ることも叶わず、好きなことも一切させて貰えない。そんな人生を誰が嬉しいと思う?」

「か、彼は喜んでくれたわ!私に束縛されるのが嬉しいって!」

そんな言葉嘘に決まってる。
本当に喜ぶ人は居るだろうけど、でも普通の人は間違いなく喜ばないし、解放して欲しいと思う。

きっと…何か一つでも要らぬことを言えば周りに迷惑が掛かるから何も言えなかったんだ。

「嬉しいと言わなければは何をしたのだろうな?最初は嫌がっていたルドが何故が望む言葉を吐くだけになったのか…。理由は明白だ。ルドの姉妹に危害を加えたからだ」

「危害なんて大袈裟な事言わないで!あの子達が悪いのよ!私の嘘を吹聴して彼と私の仲を引き裂こうとしたんだもの!だから仕返ししてあげただけよ!」

「その仕返しがレイプだったとしてもか?」

「当たり前じゃない!私の純潔は彼に捧げるって決めてるのに私の事をどんな男でも股を開くビッチだって吹聴したのよ!許せるわけないじゃない!だから事実として同じ目に合わせてやるって決めて、知り合いに実行して貰ったのよ」

「その後の姉妹についてルドから何も聞かなかったのか」

「相当なショックを受けて田舎に引っ込んだって言ってたわ。鬱陶しかったから田舎に引っ込んでくれてせいせいしたわ」

前世の俺が離れたがる理由もよくわかる。
こんな女の人と一緒にいたら、自分が壊れてしまうだけだ。

だから一刻も早く離れたかったけど無駄に権力があり過ぎたから、下手な手を打てば周りに被害が出るから動くことも出来なかっただけなんだ。

「死んだ」

「は?」

「姉妹はレイプされた翌日に首を吊って死んだ。そしてその姉妹の第一発見者はルドだ」

「は…?」

「ルドが何故姉妹が亡くなった事を伝えなかったか分かるか?お前の心が壊れることすらも嫌がる優しい子だったから言わなかっただけだ。のせいで亡くなった姉妹を思いながらも、の心が壊れることも望んで居なかったから田舎に療養していることにしたんだ。お前はルドの優しさを永遠と踏みにじり続けたんだ」

前世の俺のそれは優しさでは無い…。
ただ弱いだけだったんだ。

俺もその弱さをしっかりと引き継いでしまったようだけど…。
その弱さがサミュエルを助長させるとまでは考えつかなかったようだけどね…。
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