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騎士団長は嫌なやつ
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ようやく今日は待ちに待ったサミュエルとの面会日だ。
ただその面会日が死刑の前日になるとは思わなかったけど…。
何があってもいい様に魔道具で身の回りをガチガチに固めて、何があってもいいようにした。
聖者になってからというもの俺は死にかけたことが原因と、平民から受けた非難によって外向的な活動は一切行ってないし、誰かの怪我を治すこともしてないから力が弱まってるんじゃないかと思ってる。
ただあっても問題ないから治癒の魔道具はアンクレットとして着用してる。
指輪はどうしてかヴァンクラフトが許してくれなくて、ネックレス型の録音の魔道具を指輪型に改良して鎖に大量の指輪を通して無理矢理持つ形にしたけど…正直首が重たい。
サミュエルの元に辿り着く頃には首の重たさで先にダウンするかと思った。
ヴァンクラフトのエスコートによってたどり着いた場所は想像していた牢屋ではなく、綺麗な扉が並んでいる場所だった。
貴族用の牢屋なんだろうか…。
こんな綺麗な場所を用意して貰っても明日死ぬとなれば、綺麗な場所であろうとも汚い場所であろうとも関係ないって事なんだろうか。
綺麗な扉の前をヴァンクラフトを先頭に歩いていると、ひとつの扉に警邏服を来たガタイの良い男の人がたっていた。
「殿下、大公子息お待ちしておりました」
「まさか騎士団長がお越しになられるとは思いもしませんでした」
「此度の罪人は魅了魔法を使います。その精神魔法に問題なく対抗できるのは私一人でしたので、警護として伺った迄です」
俺たちの話をヴァンクラフト以外にも聞かれるってこと…?
どうして約束が違う…。
服の裾を握ってヴァンクラフトの意識を向けようとしたけど、俺の方には一切向いてくれない。
俺の事より騎士団長の方が…大切なの?
寂しくなる感覚が広がっていくのが止まらない。
「騎士団長僕はこの扉の前での警護の役割は任せたはずだけど?どうして直接の警護にすり変わってるのかな?」
「殿下がお知りになられる事ではございません。私は直接の護衛を申し付けられております」
「またあの人か…。僕は王位に興味無いと言っているのに無駄な事を…」
「殿下。王位を目指すのは王位継承権をお持ちの方の責務でございます。例え王位を継承することが叶わなくともそこの大公子息のような体たらくにはならないかと…」
体たらく…一体なにを知ってそんな事を口にしてるんだろう。
でも…はたから見れば俺は聖者でありながらも奉仕行動を一切行わない引きこもりにしか見えないのか…。
出れない理由もヴァンクラフトと父さんが屋敷から出してくれないからって訳じゃない。
サミュエル以外にも聖者になってから、大公子息になってから知らない誰かに命を狙われているからだ。
この一ヶ月だけ聖者としての活動をしようとしたら、何処からか情報が漏れた事で馬車が襲われ騎士達も買収されていていて守ってくれる人が居なかった。
あの時ヴァンクラフトがいなかったらと思うとゾッとする出来事になっていたかもしれない。
「ルドは僕と叔父上が屋敷から出ないように厳命してる。それで活動がないから体たらくね…。たかが男爵如きがあの人のお気に入りだからといって図に乗るのであれば存在事消してやるからな」
「どうぞ殿下の御随に。私は私の任務を全う致します。次いでにその無能も護って差し上げますが、あくまでも次いででございます」
ヴァンクラフトの表情は一切見えないけど、握られてる拳は白くなっていて相当な力で握られてるのが分かる。
これ以上握るときっとヴァンクラフトの掌がボロボロになってしまう。
服の裾から手を離して強く握っている手を両手で包んだ。
ようやく俺の事に気がついてくれて、強く握りしめていた拳を緩めてくれた。
ただその面会日が死刑の前日になるとは思わなかったけど…。
何があってもいい様に魔道具で身の回りをガチガチに固めて、何があってもいいようにした。
聖者になってからというもの俺は死にかけたことが原因と、平民から受けた非難によって外向的な活動は一切行ってないし、誰かの怪我を治すこともしてないから力が弱まってるんじゃないかと思ってる。
ただあっても問題ないから治癒の魔道具はアンクレットとして着用してる。
指輪はどうしてかヴァンクラフトが許してくれなくて、ネックレス型の録音の魔道具を指輪型に改良して鎖に大量の指輪を通して無理矢理持つ形にしたけど…正直首が重たい。
サミュエルの元に辿り着く頃には首の重たさで先にダウンするかと思った。
ヴァンクラフトのエスコートによってたどり着いた場所は想像していた牢屋ではなく、綺麗な扉が並んでいる場所だった。
貴族用の牢屋なんだろうか…。
こんな綺麗な場所を用意して貰っても明日死ぬとなれば、綺麗な場所であろうとも汚い場所であろうとも関係ないって事なんだろうか。
綺麗な扉の前をヴァンクラフトを先頭に歩いていると、ひとつの扉に警邏服を来たガタイの良い男の人がたっていた。
「殿下、大公子息お待ちしておりました」
「まさか騎士団長がお越しになられるとは思いもしませんでした」
「此度の罪人は魅了魔法を使います。その精神魔法に問題なく対抗できるのは私一人でしたので、警護として伺った迄です」
俺たちの話をヴァンクラフト以外にも聞かれるってこと…?
どうして約束が違う…。
服の裾を握ってヴァンクラフトの意識を向けようとしたけど、俺の方には一切向いてくれない。
俺の事より騎士団長の方が…大切なの?
寂しくなる感覚が広がっていくのが止まらない。
「騎士団長僕はこの扉の前での警護の役割は任せたはずだけど?どうして直接の警護にすり変わってるのかな?」
「殿下がお知りになられる事ではございません。私は直接の護衛を申し付けられております」
「またあの人か…。僕は王位に興味無いと言っているのに無駄な事を…」
「殿下。王位を目指すのは王位継承権をお持ちの方の責務でございます。例え王位を継承することが叶わなくともそこの大公子息のような体たらくにはならないかと…」
体たらく…一体なにを知ってそんな事を口にしてるんだろう。
でも…はたから見れば俺は聖者でありながらも奉仕行動を一切行わない引きこもりにしか見えないのか…。
出れない理由もヴァンクラフトと父さんが屋敷から出してくれないからって訳じゃない。
サミュエル以外にも聖者になってから、大公子息になってから知らない誰かに命を狙われているからだ。
この一ヶ月だけ聖者としての活動をしようとしたら、何処からか情報が漏れた事で馬車が襲われ騎士達も買収されていていて守ってくれる人が居なかった。
あの時ヴァンクラフトがいなかったらと思うとゾッとする出来事になっていたかもしれない。
「ルドは僕と叔父上が屋敷から出ないように厳命してる。それで活動がないから体たらくね…。たかが男爵如きがあの人のお気に入りだからといって図に乗るのであれば存在事消してやるからな」
「どうぞ殿下の御随に。私は私の任務を全う致します。次いでにその無能も護って差し上げますが、あくまでも次いででございます」
ヴァンクラフトの表情は一切見えないけど、握られてる拳は白くなっていて相当な力で握られてるのが分かる。
これ以上握るときっとヴァンクラフトの掌がボロボロになってしまう。
服の裾から手を離して強く握っている手を両手で包んだ。
ようやく俺の事に気がついてくれて、強く握りしめていた拳を緩めてくれた。
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