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ふわふわなきもち

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部屋は最初見た時から全く変わっていない落ち着いた部屋で、屋敷の自室に近い感じがする。
ちょこちょこ配置が自室に似てるから、一週間中の療養は落ち着いて療養できることができた。

「ルドこちらにおいで」

療養途中で配置されたソファまで引っ張られ、流れるようにソファに座らせてもらう。
座ったのは今日が初めてでふわふわ具合が良くて、ずっと座っていたくなる。

「今日は兄上がごめんね。まさかルドにあそこまで酷い言葉をかけるなんて思ってもみなかったんだ。傷つけると分かっていたら君を連れていかなかった…」

手を握られながら告げられる言葉は優しくて、吐き気も収まったのにまた思考がふわふわしてくる。
このふわふわした感覚はヴァンクラフトの前だけで起こるのは何かされたからなんだろうか…。

でも、悪い感じも全くなくてむしろこのふわふわが心地よい…。

「ルド大丈夫?」

「ん、へ?あ、大丈夫です…」

ぼやっとしてて声をかけられたことに全然気がつけてなかった。

「本当に兄上のことはごめんね…。最近王位を継ぐ為の準備に相当ピリピリしてるみたいなんだ。そんなことがあっても本当は態度に出してはいけないんだけどね」

優しく頭を撫でられるのが嬉しい。
もうなんで嬉しいのかなんて分からない。

心の外側からトロトロと溶けるような心地よい感覚が気持ちよくてたまらない。

「なんて顔してるんだい…ルド」

そんなに変な顔してるんだろうか…。
顎をすくい上げられ、合わせられた視線の先にいるヴァンクラフトはどこか見たことがある表情を浮かべている。

指の腹で唇を撫でられる。
ヴァンクラフトは何をしたいんだろう…。

「なんでその物欲しげな表情をしてるの?」

物欲しげ?
言ってることがよく分からない。

「舌をしまい忘れてるよ」

きゅっと舌を引っ張られ、情けない表情を晒してしまってるのが恥ずかしい。

「ごへんにゃ…ひゃ…」

「何も悪いことはルドはしてないでしょ?謝らなくてもいいんだよ。それよりも、ルドは僕に何をして欲しい?」

何をして欲しい?
もっとぼんやりしていくかのように頭の中にモヤがかかっていく。

「ルド、どうして欲しい?」

ヴァンクラフトが…ヴァンが…俺になんでもしてくれるの?

「そうだよ。ルドが望むならこの世界だってルドに捧げてあげる」

世界なんか要らない…俺はヴァンだけ、ヴァンだけが側に居てくれたらそれでいい…。

「嬉しい殺し文句だよ。それでルドは僕に何をして欲しい?」

掴まれていた舌を離され、喋れるように

「ヴァンの好きなように…して欲しい…」

「どうして?」

「俺、俺…何も…普通を知らないから…、ヴァンがしたいことをしてほしーー…」

全部を言い切る前に口を口で塞がれた。
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