102 / 199
ストーリーが開始されました!
望みと欲望
しおりを挟む
「殿下…どうか、どうかルドくんをお助けくださいっ…」
ヴァンクラフトはフレットに声を掛けられた事によってようやくフレットの事を認識した。
それまではヴァンクラフトはルドの存在しか認識していなかったのだ。
「魔道具伯爵…君一体いつから居たんだ?」
「殿下がお越しになられる前からです…。どうか、どうかルドくんを助けて頂けるのであればっ…私の全てを捧げますっ」
「そういえばルドは君の愛弟子だったね。まぁ、そもそもルドを助けるのは決定事項だけど君がついてくるなら儲けものかな」
フレットから視線を逸らし、ヴァンクラフトは今にもこと切れそうなルドの唇に口付ける。
薄く開いた唇の間から舌を滑り込ませ、ルドの舌を絡めとる。
ヴァンクラフトは口から黒い魔力を注ぎ込むとルドの体が跳ね、何かに抵抗するかのように体をばたつかせ始める。
バタつく事によって本人にその意思はなくてもヴァンクラフトに傷を増やしていく。
ようやく落ち着いたルドの唇から離れたヴァンクラフトは嬉しそうに笑みを浮かべている。
「最後」
ルドの口元に拳を持って力強く握りしめると血が滴り落ち、ルドの口の中にポタリと落ちた。
血を嚥下する姿を見たヴァンクラフトは笑みを消し、無表情の状態に戻りルドの口元についている血を指の腹で拭った。
ルドの体を宝物のように持ち、ルドの腹に手を滑らせるとぽっかり穴が空いていた場所は無くなり綺麗な肌がそこにあった。
奇跡の力だと言っても過言ではない力を、無能だと言われていた第五王子が行使した。
そんな事実をほとんどの生徒が受けいられずにいる。
散々ヴァンクラフトを侮辱し、罵り、謗り…そんな事をしてきた自身達の後悔が押し寄せている。
「殿下っ…、どうか、私にも回復をっ…」
ドレットは後悔してる生徒達とは違い、自身の傷を治す術を乞うていた。
未だに止まらない出血にドレットも焦っていたのだ。
「誰だっけ?」
「殿下!私はドレット・ハーペストです!は、伯爵家次男で…」
「なんだあいつの出涸らしか」
ヴァンクラフトが言うあいつはドレットの兄であり、優秀で人格者なハーペスト伯爵家の長男であり次期宰相である人だ。
「あ、兄のことをご存知なんですね…、そ、それであれば…私の治療も…」
「どうして?」
「え?」
「どうして君を僕が治さなければならないの?それに…」
ぶわっと急に魔力風が巻き起こり、ヴァンクラフトの瞳があらわになる。
漆黒の瞳はうっすらと紫がかった色に変わっており、怪しく光が蠢いている。
「僕のルドに死ぬ覚悟をさせた君を生かしてあげる理由もないんだけど」
ヴァンクラフトは壊れた物が好きだ。
だが、死を持ってして壊れた物は意味が無いと考えている。
壊れて欲しいと望んだ、いや望んでいるルドが死ぬのは本意でない。
だからこそルドが死ぬと決めた原因になったドレッドをヴァンクラフトは許せずにいた。
ヴァンクラフトはフレットに声を掛けられた事によってようやくフレットの事を認識した。
それまではヴァンクラフトはルドの存在しか認識していなかったのだ。
「魔道具伯爵…君一体いつから居たんだ?」
「殿下がお越しになられる前からです…。どうか、どうかルドくんを助けて頂けるのであればっ…私の全てを捧げますっ」
「そういえばルドは君の愛弟子だったね。まぁ、そもそもルドを助けるのは決定事項だけど君がついてくるなら儲けものかな」
フレットから視線を逸らし、ヴァンクラフトは今にもこと切れそうなルドの唇に口付ける。
薄く開いた唇の間から舌を滑り込ませ、ルドの舌を絡めとる。
ヴァンクラフトは口から黒い魔力を注ぎ込むとルドの体が跳ね、何かに抵抗するかのように体をばたつかせ始める。
バタつく事によって本人にその意思はなくてもヴァンクラフトに傷を増やしていく。
ようやく落ち着いたルドの唇から離れたヴァンクラフトは嬉しそうに笑みを浮かべている。
「最後」
ルドの口元に拳を持って力強く握りしめると血が滴り落ち、ルドの口の中にポタリと落ちた。
血を嚥下する姿を見たヴァンクラフトは笑みを消し、無表情の状態に戻りルドの口元についている血を指の腹で拭った。
ルドの体を宝物のように持ち、ルドの腹に手を滑らせるとぽっかり穴が空いていた場所は無くなり綺麗な肌がそこにあった。
奇跡の力だと言っても過言ではない力を、無能だと言われていた第五王子が行使した。
そんな事実をほとんどの生徒が受けいられずにいる。
散々ヴァンクラフトを侮辱し、罵り、謗り…そんな事をしてきた自身達の後悔が押し寄せている。
「殿下っ…、どうか、私にも回復をっ…」
ドレットは後悔してる生徒達とは違い、自身の傷を治す術を乞うていた。
未だに止まらない出血にドレットも焦っていたのだ。
「誰だっけ?」
「殿下!私はドレット・ハーペストです!は、伯爵家次男で…」
「なんだあいつの出涸らしか」
ヴァンクラフトが言うあいつはドレットの兄であり、優秀で人格者なハーペスト伯爵家の長男であり次期宰相である人だ。
「あ、兄のことをご存知なんですね…、そ、それであれば…私の治療も…」
「どうして?」
「え?」
「どうして君を僕が治さなければならないの?それに…」
ぶわっと急に魔力風が巻き起こり、ヴァンクラフトの瞳があらわになる。
漆黒の瞳はうっすらと紫がかった色に変わっており、怪しく光が蠢いている。
「僕のルドに死ぬ覚悟をさせた君を生かしてあげる理由もないんだけど」
ヴァンクラフトは壊れた物が好きだ。
だが、死を持ってして壊れた物は意味が無いと考えている。
壊れて欲しいと望んだ、いや望んでいるルドが死ぬのは本意でない。
だからこそルドが死ぬと決めた原因になったドレッドをヴァンクラフトは許せずにいた。
536
お気に入りに追加
1,305
あなたにおすすめの小説
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ギャルゲー主人公に狙われてます
白兪
BL
前世の記憶がある秋人は、ここが前世に遊んでいたギャルゲームの世界だと気づく。
自分の役割は主人公の親友ポジ
ゲームファンの自分には特等席だと大喜びするが、、、
狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる