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食事前の言い合い

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あのニーナと呼ばれたメイドの処遇も気になるけど、今この場面をどうすればいいのか悩んでいる。
リリエルがすっごいニコニコしているし、クルドはなぜかすごいイライラしている。

ここまでイライラしているクルドを見たことがない。

「ほんっとうにこの人が治療者だなんて信じられないっ!」

「そんな事をおっしゃられても私が治療者である事は変わりない事実です」

クルドが行儀悪くナイフでリリエルを指している。
その刺されている張本人であるリリエルは飄々とした笑顔で紅茶を飲んでいる。

「ぜーったいルドくんはお前のところになんか行かせなからね!」

「それを決められるのはルド様と、そのご両親様だけです。一介の騎士が決めるなんて言語道断」

片や物凄く騒いでいて、もう片や静かに紅茶を啜っている。
食事はまだ用意されていなかったようで二人の目の前には何も準備がされていない。

「二人とも何をしてるの」

声をかけたら漸く俺のことに気がついて、クルドがすぐに俺の側に駆け寄ってきた。
犬がはち切れんばかりに喜んでいるような尻尾が幻覚で見えている気がする。

「ルドくん!この治療者酷いんだよ!俺の事を無能呼ばわりするんだから!」

ちらっとリリエルに視線を向ければやれやれと頭を横に振っている。
多分リリエルがいらない事をクルドに吹き込んだんだろうな。

「リリエル様クルドが言っている事は本当ですか?」

「そんな事ありませんよ。私はただルド様の足を引っ張らないようにとお伝えしただけです」

ニコリと告げられた言葉はクルドの現状を突きつける言葉だ。
クルド自身がわかっている事を突きつけるのはまた違うと思うけどね。

何せ騎士としての勉強ができなかったのは決してクルドのせいではない。
クルドに怪我を負わさせ騎士として復帰できないようにした王族が悪い。

「リリエル様。貴方もお聞きしていました通り、クルドは治療されるまでは騎士としての訓練も行えない状態でした。だからそのような意地悪はおやめ下さい」

「そうですね。少し意地悪すぎましたね」

「ふーん、そう思うなら謝ってくれてもいいんじゃない?」

「いえ、私は紛れもない事実を申し上げただけですから」

「本当にこいつ大嫌い!!」

「私はお嫌いになられても問題ありあせんよ。ですが、結局の所ルド様が治癒団の所属になりましたら私と一緒にいる事になりますがね」

「本当の本当に大っ嫌い!」

クルドは近くで猫のように威嚇しているし、クルドを煽った張本人は呑気に紅茶を啜っているしで食事が運び込まれるまでは、この二人の喧嘩に挟まれ続けるハメになった。
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