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メイドとは

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怪我には軟膏までしっかりと塗られ、全てを磨かれると疲れ果ててしまった。
綺麗にしてもらうだけなのにこんなに疲れるなんて知らなかったよ。

ぐったりしている俺とは違ってメイド達は楽しそうに衣装を選んでいる。

「ルド様ならこの色がお似合いですわ!」

「そんな暗い色はお客様との色と合いませんわ!それにルド様は暗めの茶髪でいらっしゃるので、明るめの服の方がお似合いですわ!」

暗めの色の服か、明るめの色の服かどちらを着せるかで言い合いをしていた。
両方とも着た事がないぐらいかっちりとした服で、正直どっちも着たくないかなって思う。

ご飯を食べるだけなのにここまで堅苦しい格好をしなくちゃいけないの?
漸く服が決まったようで着せ替え人形よろしく服を綺麗に着せられていった。

メイド達によって選ばれたのは暗めの服で、明るめの服と違って肌の露出が少ないものだった。
俺の古傷を見てなるべく隠れるような服を選んでくれたんだろう。

明るめの服でも動いても古傷が見えるわけではないんだけどな…。
喉元まで詰められた服を着ると思っている以上にキツさは感じられなくて驚いた。

「ルド様はまだ貴族の服に慣れていらっしゃいませんので、比較的緩めの服をお選び致しました。楽に動いて頂けるようにも調節しております」

一番年上のメイドのいう通り、実際動いてみたら思っている以上に動くことができる。
見た目はかっちりしているけど、俺の事を考えて着付けてくれた服は純粋に嬉しかった。

「その…ありがとうございますっ…!」

「お礼は不要でございます。ですが、この様にお礼を頂けるのはとても嬉しく思います」

メイドさんの言葉に不意に目頭が熱くなった気がする。
この場所は悪意を当たり前のように振り撒いてくる人がいない。

こんなにも当たり前の事が当たり前のように享受できるって素晴らしい事なんだ。
泣きそうになるのをぐっと堪える。

「ルド様それでは参りましょうか。お客様お二人が食堂でお待ちとのことです」

クルドとリリエルを待たせてしまっているようだ。

「そういえば父さんと母さんはどこにいますか?」

「ギレスタ様とアリシア様はお食事の途中のお時間でお戻りになられる予定です。重要なお話でもおありでしょうか?」

返答と共に質問をしてきたメイドは単なる質問だったのだろうが、一番年上のメイドがパシンッと質問をしたメイドの手を叩いた。
驚きの光景に目を見開いた。

どうして手を叩くの?

「ニーナ貴方は何度言えば分かるのですか?私たちメイドは主人に執拗に質問を行ってはなりません。行っても良い質問については何度も教えましたが、貴方はどうしてそれを覚える事ができないのですか?」

「も、申し訳ございません!」

ニーナと呼ばれたメイドは一番年上のメイドに頭を下げ続けている。

「ルド様お目汚し失礼致しました。別のメイドに案内させますので、どうかこの事は後でお聞きください」

メイド達も一緒に部屋を出て、俺は食堂に向かいニーナと一番年上のメイドは別の場所に向かっていった。
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