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奇跡の光について

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気を失っていたのか俺は少しだけ見知った天井が視界一杯に広がっていた。
ここ俺がクルドに運ばれた保健室だ。

体を起き上がらせると、隣のベッドではクルドが寝ていた。
頭には包帯が巻かれていて、もしかして俺はクルドの治療に失敗してしまったのだろうか…。

「クルド…?」

声を掛けてもクルドから返事がない。
寝ていて目を覚まさないのか、それとももう目を覚ます事がないのじゃないか…。

恐ろしい考えが頭の中をよぎって、俺はゾッとしてしまった。
俺のせいで怪我を負わせてしまったのに、このまま目を覚まさなかったらどうしよう。

そんな不安だけがただただよぎる。

「おや、起きられましたか?」

本当に美人はこの人なんだと思うぐらい綺麗な人が部屋とベッドを遮っているカーテンを押し除けて入ってきた。
綺麗な薄い水色の髪は整えられていて、ゴールドの瞳はうっすらと輝いて見えるぐらいだ。

それだけ神々しい人で、敬語まで駆使するとなると天使なのかと思う。

「初めまして私はリリエルと申します。貴方のお名前をお聞きしても宜しいでしょうか?」

「俺は、ルドと言います」

「ルド様でいらっしゃるのですね。とても素敵なお名前ですね」

リリエルという名前を聞いて思い出したのは、サミュエルが聖者になった時に聖魔法の使い方を教えていた人だ。
それなのにどうしてリリエルは俺の側にいるんだ?

「どうしてこちらにいらっしゃるのでしょうか?俺はもしかして無礼を働いてしまいましたか?」

「今回私がここにいるのはルド様に顕現した奇跡の光についてです」

奇跡の光だって?
それはサミュエルに顕現する筈の物で、そして聖者として覚醒した時にでる光だ。

俺がサミュエルに代わって聖者になったという事?
いや、もしかしたらリリエルが見間違えただけかもしれない。

俺が聖者になったらサミュエルから酷い目に遭うのは目に見えている。

「その、奇跡の光というのは…どういう物なのですか…?」

違うと、どうか違うと言ってくれ。

「奇跡の光は百年に一人使い手が現れるとされていて、そしてその奇跡の光の使い手は聖者として呼ばれております」

リリエルは俺を特別な存在だと考えている。
奇跡の光の存在を知っているのはリリエルと含めてわずか数名だけ。

どうして奇跡の光を知っている人が学校に来ているなんて思いもしなかった。
ゲームではサミュエルの治癒の光がとても強く、後日リリエルが派遣されて奇跡の光の使い手である事が判明した。

そして治癒団経由で色々と調べられて聖者の称号が贈られる。
だが、予想外な事にリリエル本人が学校にいて、奇跡の光を直接見られてしまった。

「どうか怯えないでください。私はルド様の保護を行いたいだけなのです。どうか、今少しでもお時間を頂けますでしょうか?」

あまりにも切実なお願いの仕方に俺は頷くことしかできなかった。
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