82 / 199
ストーリーが開始されました!
奇跡の光について
しおりを挟む
気を失っていたのか俺は少しだけ見知った天井が視界一杯に広がっていた。
ここ俺がクルドに運ばれた保健室だ。
体を起き上がらせると、隣のベッドではクルドが寝ていた。
頭には包帯が巻かれていて、もしかして俺はクルドの治療に失敗してしまったのだろうか…。
「クルド…?」
声を掛けてもクルドから返事がない。
寝ていて目を覚まさないのか、それとももう目を覚ます事がないのじゃないか…。
恐ろしい考えが頭の中をよぎって、俺はゾッとしてしまった。
俺のせいで怪我を負わせてしまったのに、このまま目を覚まさなかったらどうしよう。
そんな不安だけがただただよぎる。
「おや、起きられましたか?」
本当に美人はこの人なんだと思うぐらい綺麗な人が部屋とベッドを遮っているカーテンを押し除けて入ってきた。
綺麗な薄い水色の髪は整えられていて、ゴールドの瞳はうっすらと輝いて見えるぐらいだ。
それだけ神々しい人で、敬語まで駆使するとなると天使なのかと思う。
「初めまして私はリリエルと申します。貴方のお名前をお聞きしても宜しいでしょうか?」
「俺は、ルドと言います」
「ルド様でいらっしゃるのですね。とても素敵なお名前ですね」
リリエルという名前を聞いて思い出したのは、サミュエルが聖者になった時に聖魔法の使い方を教えていた人だ。
それなのにどうしてリリエルは俺の側にいるんだ?
「どうしてこちらにいらっしゃるのでしょうか?俺はもしかして無礼を働いてしまいましたか?」
「今回私がここにいるのはルド様に顕現した奇跡の光についてです」
奇跡の光だって?
それはサミュエルに顕現する筈の物で、そして聖者として覚醒した時にでる光だ。
俺がサミュエルに代わって聖者になったという事?
いや、もしかしたらリリエルが見間違えただけかもしれない。
俺が聖者になったらサミュエルから酷い目に遭うのは目に見えている。
「その、奇跡の光というのは…どういう物なのですか…?」
違うと、どうか違うと言ってくれ。
「奇跡の光は百年に一人使い手が現れるとされていて、そしてその奇跡の光の使い手は聖者として呼ばれております」
リリエルは俺を特別な存在だと考えている。
奇跡の光の存在を知っているのはリリエルと含めてわずか数名だけ。
どうして奇跡の光を知っている人が学校に来ているなんて思いもしなかった。
ゲームではサミュエルの治癒の光がとても強く、後日リリエルが派遣されて奇跡の光の使い手である事が判明した。
そして治癒団経由で色々と調べられて聖者の称号が贈られる。
だが、予想外な事にリリエル本人が学校にいて、奇跡の光を直接見られてしまった。
「どうか怯えないでください。私はルド様の保護を行いたいだけなのです。どうか、今少しでもお時間を頂けますでしょうか?」
あまりにも切実なお願いの仕方に俺は頷くことしかできなかった。
ここ俺がクルドに運ばれた保健室だ。
体を起き上がらせると、隣のベッドではクルドが寝ていた。
頭には包帯が巻かれていて、もしかして俺はクルドの治療に失敗してしまったのだろうか…。
「クルド…?」
声を掛けてもクルドから返事がない。
寝ていて目を覚まさないのか、それとももう目を覚ます事がないのじゃないか…。
恐ろしい考えが頭の中をよぎって、俺はゾッとしてしまった。
俺のせいで怪我を負わせてしまったのに、このまま目を覚まさなかったらどうしよう。
そんな不安だけがただただよぎる。
「おや、起きられましたか?」
本当に美人はこの人なんだと思うぐらい綺麗な人が部屋とベッドを遮っているカーテンを押し除けて入ってきた。
綺麗な薄い水色の髪は整えられていて、ゴールドの瞳はうっすらと輝いて見えるぐらいだ。
それだけ神々しい人で、敬語まで駆使するとなると天使なのかと思う。
「初めまして私はリリエルと申します。貴方のお名前をお聞きしても宜しいでしょうか?」
「俺は、ルドと言います」
「ルド様でいらっしゃるのですね。とても素敵なお名前ですね」
リリエルという名前を聞いて思い出したのは、サミュエルが聖者になった時に聖魔法の使い方を教えていた人だ。
それなのにどうしてリリエルは俺の側にいるんだ?
「どうしてこちらにいらっしゃるのでしょうか?俺はもしかして無礼を働いてしまいましたか?」
「今回私がここにいるのはルド様に顕現した奇跡の光についてです」
奇跡の光だって?
それはサミュエルに顕現する筈の物で、そして聖者として覚醒した時にでる光だ。
俺がサミュエルに代わって聖者になったという事?
いや、もしかしたらリリエルが見間違えただけかもしれない。
俺が聖者になったらサミュエルから酷い目に遭うのは目に見えている。
「その、奇跡の光というのは…どういう物なのですか…?」
違うと、どうか違うと言ってくれ。
「奇跡の光は百年に一人使い手が現れるとされていて、そしてその奇跡の光の使い手は聖者として呼ばれております」
リリエルは俺を特別な存在だと考えている。
奇跡の光の存在を知っているのはリリエルと含めてわずか数名だけ。
どうして奇跡の光を知っている人が学校に来ているなんて思いもしなかった。
ゲームではサミュエルの治癒の光がとても強く、後日リリエルが派遣されて奇跡の光の使い手である事が判明した。
そして治癒団経由で色々と調べられて聖者の称号が贈られる。
だが、予想外な事にリリエル本人が学校にいて、奇跡の光を直接見られてしまった。
「どうか怯えないでください。私はルド様の保護を行いたいだけなのです。どうか、今少しでもお時間を頂けますでしょうか?」
あまりにも切実なお願いの仕方に俺は頷くことしかできなかった。
545
お気に入りに追加
1,305
あなたにおすすめの小説
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ギャルゲー主人公に狙われてます
白兪
BL
前世の記憶がある秋人は、ここが前世に遊んでいたギャルゲームの世界だと気づく。
自分の役割は主人公の親友ポジ
ゲームファンの自分には特等席だと大喜びするが、、、
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる