お助けキャラに転生したのに主人公に嫌われているのはなんで！？

ストーリーが開始されました！

地獄の防御魔法魔道具作成

「皆さん全員お揃いでしょうか？」

フレット先生が何気なく教室の中に入ってくると、ファミリエの演説がピタリと止まり恥ずかしそうに席に座った。

「その、ノネリア様がいらっしゃらないのですが…」

「ノネリアくんは家の事情で退学をなされました」

「そんな…ノネリア様が退学を望む訳が…」

このクラスでは俺を除けば一番能力が高いのに、そんなノネリアが自主退学をするはずがないんだ。
理由が分からない。

「ノネリアくんの事を考えても前に進みませんので、彼のことは忘れて下さいとまでは言いませんが、退学をしたのは事実ですので受け止めて下さい」

「うぅ…ノネリア様…」

「それでは学校主催の魔物狩りの時期が残り一週間に迫りました。本来であればもう少し準備期間があるのですが、先皇陛下の葬儀が被ってしまい、準備期間が短くなってしまいました」

一体なんの準備期間？
一年生は魔物狩りの準備はしない筈なんだけど…。

「魔道具クラスは学年関係なく、魔物狩りの対策を行うことになっています。そして今年は一年生の皆さんは防御魔法の魔道具作成を行います。今日から一週間は作れる限り防御魔法の魔道具作成を行なっていただきます」

フレット先生と視線がバチっと合うと、すごく綺麗なんだ笑顔を向けられゾッとした。
これ確実に俺の作業量がかなり多くなる気がする。

「それでは素材を用意しますので、各自作業道具を用意して下さい」

フレット先生が最後にそれだけを言って、教室の外に材料を取りに行った。
ファミリエも俺もさっさと作業道具を用意してフレット先生が材料を持ってくるのです待っていた。

「もしかして、あの平民を守る為にノネリア様は退学になったの？」

「でも、たかが平民だよな？どうして平民如きがノネリア様を学校から追い出したんだ」

「平民って本当に穢らわしい考えをしてるんだな」

貴族の方が何十倍も穢らわしい考えをしてるよ。
拭き損ねていた汚れを拭きながら、作業道具を綺麗にしていく。

そんなにノネリアの事が大好きなら、ノネリアに連絡を取れば良かったのに。
フレット先生からの話を聞いてようやくノネリアが退学をしたと知ったのであればその仲もきっと浅い物なんだろう。

後ろでずっと言われる悪口を聞き流しながら作業道具を綺麗にし続ける。
悪口は止まる事を知らず、フレット先生が戻ってくるまでそれは続いた。

フレット先生が持ってきた素材の山を見て顔が引き攣った。
積まれている素材の山は魔石しかなかった。

魔石しか積まれていないということは、この後に続く素材はまさか…。
フレット先生の後ろに続いてきた素材は魔石しか乗っていなかった。

もしかしてこれ…来客予定者全員の防御魔法の魔道具を作成しなくちゃいけないってこと…？

「これはまだ魔石の材料としてはまだ一部。まだまだ教室に運び込まれるから安心して魔石に魔法を刻み込むんですよ」

魔法で大量の魔石が目の前に積み重ねられていく。
ちらっとファミリエの方を見れば俺の半分しかなかった。

これこの一週間以内で教室から抜け出せるんだろうか…。
目の前に積まれた魔石と、まだまだ教室内に入ってくる魔石に目が回りそうになった。