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少しだけ優しくなるノルヴェス

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この世界に転生してから初めてのお風呂は本当に気持ちよかった。
貴族だけが独占しているなんてずるい。

もっと楽に安くお風呂に入れるようになれないのかな。
冬の寒い時に井戸の水を汲み上げて体を洗うのは苦行の極みだった。

学校も寮があるけど貴族はお風呂がついているけど、平民は風呂なしで井戸から水を汲むスタイルは変わらなかった。
金を積めば貴族と同じ待遇を得られるんだろうけど、そこまでしてもらうのは申し訳なくて井戸から水を汲むスタイルを貫き続けてる。

ゆっくりとお湯に浸かる事ができて本当に幸せ。
表情が緩んでるのがわかるけど、この緩む表情は抑えられないよ~。

ゆっくり浸かり続けてたら、お風呂場の扉が勢いよく開いた。

「ルド様無事ですか!?」

何故かノルヴェスが俺を心配しながらお風呂場に侵入してきた。

「どうしたの~?」

呑気に返したら俺が無事だった事に気がついて、焦っている表情からすんっと真顔に戻った。

「旦那様方がもうすぐお戻りになられますので、早くお風呂からお上がり下さい」

「もうちょっと…「ダメです!早くお上がり下さい!」はーい…」

お風呂にもう少し浸かりたかったけど、ノルヴェスがダメだっていうから湯船から頑張ってでた。
そういえばタオルって持ってきてたっけ?

何か忘れているようだけど、まあいいか。
ペタペタと歩きながらお風呂場から出ると、いつの間にかお風呂場から出ていたノルヴェスがバスローブを掛けてくれる。

ただ何故かノルヴェスの表情が固くて、何かあったんだろうか?

「先に髪を乾かしますのでそのままじっとしておいてください」

暖かい空気が頭を包んだと思うと、すぐに髪の毛が乾きふわふわの状態になった。

「ノルヴェスすごいね!どうやってこんなに早く乾かしたの?」

「私の適正が火でしたので…、魔法で細かく操作をすればこのように髪の毛を一瞬で乾かす事ができます。これは、私の唯一の特技でもあります」

今日聞いていた中で一番落ち着いた声で、どことなく嬉しそうに聞こえる。
執事といってもまだ俺と同じで子供だから、褒められたら嬉しい物は嬉しいんだな。

「これからは家にいる時はノルヴェスにこんな直ぐに髪の毛を乾かしてもらえるなんて嬉しいよ」

「私に乾かして欲しいのでしたら、湯船に浸かる時間は心配させない程度にしてくださいね」

「分かったよ。初めてのお風呂だったから嬉しくて今日は長くいすぎただけなんだ。次からはもう少し早くでる事ができると思うよ」

「左様でございましたか。それではお身体の水気も無くなりましたから、お着替えを致しましょうか」

「そうだね。とびっきりおめかししてね!」

「はいルド様」

少し嬉しそうに返事をしてくれるノルヴェスを見て、俺もなんでかわからないけど俺も嬉しくなった。
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