お助けキャラに転生したのに主人公に嫌われているのはなんで！？

ストーリーが開始されました！

身綺麗な父さんと、豪華な馬車

ファミリエが辻馬車に乗ってから十分ぐらいして、迎えだと思う馬車がきた。
どう考えても予定していた辻馬車じゃない、貴族用の馬車が止まった。

でも、もう貴族は各家に帰ったんじゃ…。
貴族用の馬車から降りてきたのは、綺麗な服を身に纏った父さんだった。

普段はゆるっとした服を着ているから良く分かっていなかったけど、かっちりとした服を着て背筋をピンとさせていたら貴族然としている。
普段の柔らかい表情ではなくて、固い表情を浮かべていて少し近寄りがたい雰囲気を浮かべている。

父さんと視線が合うと普段通りの華やかな表情を浮かべて俺の側に駆け寄ってきた。
普段通りの表情になった瞬間に近寄りがたい雰囲気がパッと消えた。

俺も父さんの元に駆け寄るとふわっと普段とは違う甘い匂いがする。
香水でもつけているんだろうか？

「父さん！どうして今日そんな格好してるの？」

「父さん今日から少しだけ王都で予定が入ってしまってね。だからその為に正装をしているんだ」

「そうなんだ…。その予定は父さん一人だけで行かないといけないの？」

「そうだね。まだルドを連れて行ってあげる事ができないんだ。本当はもっと早くに色々と教えてあげたかったんだけど、嫌な事が重なりすぎてルドに中々教えて上げる事ができなかったんだ」

嫌な事？

「その、嫌な事ってー「商会長殿！後ろに馬車が来てますので早く出ますよ！」」

「ルド、話は馬車の中でしようか」

父さんに腕を引っ張られながら、俺は綺麗な馬車の中に乗り込んだ。
馬車の中の椅子は板が打ち付けられた物ではなく、ソファの様な柔らかい椅子になっていた。

ただソファの様に体が沈み込む感じではなくて、中に芯が入っている感じで沈み込むつくりではなかった。
この世界のソファは沈み込むソファしかなくて、こんな感じのソファは初めてだった。

「今日なんで貴族の往来がないか知っている？」

「先皇陛下が崩御なされたからだよね。お昼休憩から戻ったら貴族は誰もいなかったよ」

「そうだね。丁度先皇陛下が崩御されたおふれがきたのはお昼休憩ぐらいだったね」

父さんが話す感じは少し寂しげに感じた。
先皇陛下は俺たちからすれば遠い存在なのに、どうしてそんな寂しげな表情をしているの？

俺には到底考えつかない事を考えているのだろうか。

「そうだね…。ルドは今回先皇陛下が崩御されたのはどう考えてる？」

あまりにも急な質問を投げかけられてポカンとした。
なんで先皇陛下が崩御された事を聞いてくるんだ。

「まだ、ルドには難しかったかな？」

確かに答えるのは難しい。
だって俺の考えはゲームの知識を使用した結果に出てくる答えだからだ。

話してもいいんだろう。
父さんは一体俺に何を期待しているんだろうか。

「答えるのが難しかったならいいんだ」

少しでも何か情報が欲しい。
そんな感じがして、答えない訳には行かなかった。

「俺の考えを聞いても、変に思わない？」

「大丈夫だよ。何かあるなら話してくれる？」

あの考えを父さんに話そう。

「きっと先皇陛下は暗殺されたのだと思います」

暗殺の可能性があるという事を。