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男の尊厳を奪ったのはこいつでした
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「ハーペスト様それはないっす。最初はハーペスト様の話通りかと思っていたっすけど、ここ最近俺がルドくんと一緒にいるけど、ハーペスト様が話すサミュエルの証言と全く合わないんっす」
「お前は伯爵家の私が嘘をついているとでも思っているのか?」
「いんや、ハーペスト様が嘘を言ってるんじゃなくて、サミュエルが嘘を言ってるんすよ。他の奴らが見たようですが、サミュエルがルドくんを殴っている所を見てるっすよ」
まさか俺を庇ってくれる?
どうして平民である俺を庇うんだ?
ちょうどいい性処理道具がいなくなるから?
「俺はバカっす。でも、何も理解しないバカではないっす」
「お前は私のサミュを馬鹿にしたのですね?」
腹の奥底から出された唸り声にギュッと心臓が掴まれた様な痛みが走った。
何か、これを俺は知ってる。
心臓の痛みの中から、はっと思い出してしまった。
こいつが、ドレットが…俺の男の尊厳を壊した奴だ。
「覚悟なさい」
この言葉で何をしてくるのかわかった。
トレッドにとってこいつも俺と同じで道具と代わりないんだ。
力を振り絞って目の前にいる男の腕を在らん限りの力で後ろに引っ張った。
ああ、やっぱりこいつだ。
目の前に展開された魔法は見覚えしかない魔法だ。
魔法の構築が完了するのにもう殆ど時間がなくて、後で治せるから耳からピアスを引きちぎり男の方に魔力を思いっきり込めたそれを投げつけた。
ほぼ投げつけたと同時に魔法の構築が完了して、大量の氷の矢が上から降り注いだ。
なけなしの魔力で防御魔法を展開するけど、構築する時間が短すぎて端から段々と壊れていく。
「い゛っ!!」
足に鋭い痛みが走る。
きっと足に矢を受けた。
でも、倒れたら展開した魔法が壊れてしまう。
少し、あと少しなんだ…。
この魔法は、強力な代わりに使用時間が短いものだから…。
ようやく最後の一矢が打ち終わった後、痛みで立っていられなくなり床に膝から崩れ落ちた。
抜かないと…凍傷と、傷で足が使えなくなっちゃう。
抜こうと思っても腕に全く力が入らなくて、抜ける気が全くしない。
「ルドくん!!」
「今日はこれで許して差し上げましょう。次もサミュの嘘をその口から発した瞬間、お前のお家ごと潰して差し上げましょう」
ドレットが俺の側から離れ、結界で守っていた男が俺の側に駆け寄ってきた。
「足に矢が…。これ抜いた方がいいの?」
力なく頷けば勢いよく矢が足から抜けた。
ドクドクと血が溢れ落ちあまりの量にグラッと意識が混濁したけど、ここで意識を失えば死んでしまう。
無事な足の方につけている治癒の魔道具に俺の血をつけると、普段の数倍強く魔石が光を放ち怪我をした足を集中的に治っていく。
「どうして…俺ルドくんに酷いことしたんだよ?なんで、俺なんか守ってくれたの?」
どうしてだろうか…。
この酷い痛みを知らないでいてくれた方が…もっと、俺の事を哀れに見て貰えるから…?
なんでか、もう応えられない、答えられない。
治った怪我を見てふっと意識が飛んだ。
何処か遠くでバキンっと音がなったように思えた。
「お前は伯爵家の私が嘘をついているとでも思っているのか?」
「いんや、ハーペスト様が嘘を言ってるんじゃなくて、サミュエルが嘘を言ってるんすよ。他の奴らが見たようですが、サミュエルがルドくんを殴っている所を見てるっすよ」
まさか俺を庇ってくれる?
どうして平民である俺を庇うんだ?
ちょうどいい性処理道具がいなくなるから?
「俺はバカっす。でも、何も理解しないバカではないっす」
「お前は私のサミュを馬鹿にしたのですね?」
腹の奥底から出された唸り声にギュッと心臓が掴まれた様な痛みが走った。
何か、これを俺は知ってる。
心臓の痛みの中から、はっと思い出してしまった。
こいつが、ドレットが…俺の男の尊厳を壊した奴だ。
「覚悟なさい」
この言葉で何をしてくるのかわかった。
トレッドにとってこいつも俺と同じで道具と代わりないんだ。
力を振り絞って目の前にいる男の腕を在らん限りの力で後ろに引っ張った。
ああ、やっぱりこいつだ。
目の前に展開された魔法は見覚えしかない魔法だ。
魔法の構築が完了するのにもう殆ど時間がなくて、後で治せるから耳からピアスを引きちぎり男の方に魔力を思いっきり込めたそれを投げつけた。
ほぼ投げつけたと同時に魔法の構築が完了して、大量の氷の矢が上から降り注いだ。
なけなしの魔力で防御魔法を展開するけど、構築する時間が短すぎて端から段々と壊れていく。
「い゛っ!!」
足に鋭い痛みが走る。
きっと足に矢を受けた。
でも、倒れたら展開した魔法が壊れてしまう。
少し、あと少しなんだ…。
この魔法は、強力な代わりに使用時間が短いものだから…。
ようやく最後の一矢が打ち終わった後、痛みで立っていられなくなり床に膝から崩れ落ちた。
抜かないと…凍傷と、傷で足が使えなくなっちゃう。
抜こうと思っても腕に全く力が入らなくて、抜ける気が全くしない。
「ルドくん!!」
「今日はこれで許して差し上げましょう。次もサミュの嘘をその口から発した瞬間、お前のお家ごと潰して差し上げましょう」
ドレットが俺の側から離れ、結界で守っていた男が俺の側に駆け寄ってきた。
「足に矢が…。これ抜いた方がいいの?」
力なく頷けば勢いよく矢が足から抜けた。
ドクドクと血が溢れ落ちあまりの量にグラッと意識が混濁したけど、ここで意識を失えば死んでしまう。
無事な足の方につけている治癒の魔道具に俺の血をつけると、普段の数倍強く魔石が光を放ち怪我をした足を集中的に治っていく。
「どうして…俺ルドくんに酷いことしたんだよ?なんで、俺なんか守ってくれたの?」
どうしてだろうか…。
この酷い痛みを知らないでいてくれた方が…もっと、俺の事を哀れに見て貰えるから…?
なんでか、もう応えられない、答えられない。
治った怪我を見てふっと意識が飛んだ。
何処か遠くでバキンっと音がなったように思えた。
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