お助けキャラに転生したのに主人公に嫌われているのはなんで!?

菟圃(うさぎはたけ)

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お助けキャラに転生した!

最悪のシナリオ

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最近家に引き篭もりっぱなしだったから、少し走っただけなのに息が上がった。
ようやく落ち着く事ができて、少し前に忘れちゃいけないからとゲームの内容を書き留めていたノートを机の鍵付きの引き出しから取り出した。

ゲームの始まりの部分を見たくて、ページを捲ったのに中々その内容が出てこない。
いや、あるけど実際のゲーム内容じゃなくなってる。

「なんで…書き変わってるの?」

エルネストとサミュエルの出会いは、サミュエルが遅刻して校舎に向かっている途中でぶつかる事から始まる。
なのに本に書かれているのはサミュエルとエルネスト、公爵令息のラインハルト・クルーヴェル、男爵令息のヴェール・マエステロ、伯爵令息のドレット・ハーペストが一緒に登校した、と書かれている。

でもそんな事をノートに書き込んだ覚えがない。
もしかしてゲーム前に変わった行動をとれば、ゲームの内容が変わるって事?

別のページを捲ればゲームの内容通りではなくて、全く違う行動を取っているという内容が書かれている。
その中で一番目を見張った内容が、俺がいじめられているという内容だ。

本来サミュエルが悪役令嬢から受けるいじめを、そのまま俺に行ったりそれよりも過激ないじめを行ったと書かれていた。
最後は…ありもしない罪をサミュエルになすりつけられ処刑される。

なんで俺が?
予言書に近い内容に変わったノート。

どうして俺に未来の情報が渡ってきたんだ。
一体これで何をしたら良いんだろう。

俺の相手は全員貴族なのに、どうやって貴族を相手すればいいの?
王子様から聞いたフレット先生が伯爵という事を聞いていたのをはっと思い出した。

あの王子様の話が本当なら、フレット先生に貴族の作法を学べるのではないかと思うけど…。
先生は俺に魔道具の作り方を教えにきてくれているのであって、貴族の作法を教えにきてくれているわけではない。

魔道具の授業の時にダメもとで話をしてみるしかないのだろうか…。
ただの平民である俺一人でなんとかなる物でもないから、立てられるのなら対策を立てて対応したい。

一つでも間違えば、俺はこのノートの通りになって死んでしまう。
ただ好きなゲームに生まれただけなのに、サミュエル一人によって死に追い詰められたくなんかない。

このノートは俺が首を切られた神官を見た事がトラウマになり、魔道具作りをしなくなった事によってサミュエルの嫌がらせがヒートアップしたと書いていた。
確かにサミュエルは前に俺が作る魔道具が必要だと仄めかしていた。

サミュエル自身はゲームでもそうだったが、魔道具作りには才能が全くなく魔道具に関してはルドに頼りっぱなしだった。
魔道具によって恋愛が成功した者もいるから、俺が魔道具を作らなくなれば役に立たないからストレスの捌け口として利用したのだと思う。

ただ漠然とした未来が書かれているだけだから、対策も簡単に行う事ができない。
寝れていない頭で考えるのが難しくて、いい考えが全く浮かばない。

でも寝たらあの悪夢を見る気がして寝る事が怖い。
悪循環に陥っているのは頭では理解しているけど、どうしても体が寝る事を拒否してしまっている。

悪循環と、今後の不安にため息しか出なかった。
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