上 下
21 / 199
お助けキャラに転生した!

今後の対策

しおりを挟む
湖に突き落とされた当日には奇跡的に熱が出る事がなく、翌日も割と元気な状態でいる事ができた。
ただ湖に落とされて以来、小さな水たまりを見るだけでも怖くなるようになってしまった。

桶に水を溜めているのを見るだけでも、あの水に溺れた感覚が体を支配して息苦しくなってしまう。
どうしてもその息苦しさを忘れたくて、魔道具の勉強にのめり込むようになった。

溺れた二日後に本当はフレット先生が来てくれる予定だったけど、体調の為という事で予定がキャンセルされてしまっていた。
お手伝いも禁止されて何もする事がなくなったから、魔道具の本を読むことにした。

読み慣れた本で普段は魔道具が書かれている所を見ると、ワクワクするのにそのワクワク感が全く出てこない。
どうすればサミュエルから逃げられるのだろうか、そんな考えばかりが頭の中を占めていて純粋に楽しむ事ができない。

今読んでいる所も自分自身を守る魔道具のところだ。
守護の魔道具に、解毒の魔道具。

貴族には暗殺がよくある事だから、この手の魔道具はどれだけの量があっても困らないと言われている。
違う。

もしかしたら、あのサミュエルなら俺に危害を加えてくる。
きっと死なないぐらいの毒を飲ませる可能性がある。

何かにつけてきっと俺を呼びつけるだろう。
それまでに何か一つでもいいから対策をしないといけない。

「仲良くしていた方が俺だって魔道具を作って上げられたのに…」

ゲームでは裏話として語られていたのは、サミュエルとお助けキャラのルドは幼馴染だという事だ。
サミュエルは貴族としては珍しい平民と同じ目線で話してくれる人だった。

その優しいサミュエルの事を友人として好きになったルドが、サミュエルの恋や勉強を応援する為に魔道具を渡したり、勉強を教えたりと沢山サミュエルを支えた。
ルドがサミュエルを献身に支え、味方になっていたのはサミュエルが好きだったからだ。

でもサミュエルの中に転生した人はゲームのサミュエルとは間反対の行動を取った。
怪我を負わせて、殺しかけた。

そんな行動をすれば俺から魔道具が貰えなくなると考えなかったのだろうか。
そんなことにならない様に商会を使って脅してきたのだろうけど。

「早めに解毒の魔道具を違法の形で作らないといけないね…」

本に載っている魔道具は指輪の形をしていて、魔道具の核として使用される魔石も毒々しい緑色をしている。
少し前にフレッタ先生に教えてもらった魔石に魔法陣を刻むと、効力に似た色に魔石が変わる。

だからその毒々しい緑色を変える事ができない。
もし別の魔石を使ってその色を変える事ができれば?

前の授業の時に貰った小さな魔石を二つ引き出しから取り出した。
もし、もし考えた事が可能であれば身を守る武器が作れる。

早速考えた事ができるかどうかを試す準備を始めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

【完結】魔力至上主義の異世界に転生した魔力なしの俺は、依存系最強魔法使いに溺愛される

秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)
BL
【概要】 哀れな魔力なし転生少年が可愛くて手中に収めたい、魔法階級社会の頂点に君臨する霊体最強魔法使い(ズレてるが良識持ち) VS 加虐本能を持つ魔法使いに飼われるのが怖いので、さっさと自立したい人間不信魔力なし転生少年 \ファイ!/ ■作品傾向:両片思い&ハピエン確約のすれ違い(たまにイチャイチャ) ■性癖:異世界ファンタジー×身分差×魔法契約 力の差に怯えながらも、不器用ながらも優しい攻めに受けが絆されていく異世界BLです。 【詳しいあらすじ】 魔法至上主義の世界で、魔法が使えない転生少年オルディールに価値はない。 優秀な魔法使いである弟に売られかけたオルディールは逃げ出すも、そこは魔法の為に人の姿を捨てた者が徘徊する王国だった。 オルディールは偶然出会った最強魔法使いスヴィーレネスに救われるが、今度は彼に攫われた上に監禁されてしまう。 しかし彼は諦めておらず、スヴィーレネスの元で魔法を覚えて逃走することを決意していた。

王子様から逃げられない!

白兪
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。

奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。

拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ 親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。 え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか ※独自の世界線

【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。 しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!? でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。 そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。 主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱! だから、…俺は主人公じゃないんだってば!

非力な守護騎士は幻想料理で聖獣様をお支えします

muku
BL
聖なる山に住む聖獣のもとへ守護騎士として送られた、伯爵令息イリス。 非力で成人しているのに子供にしか見えないイリスは、前世の記憶と山の幻想的な食材を使い、食事を拒む聖獣セフィドリーフに料理を作ることに。 両親に疎まれて居場所がないながらも、健気に生きるイリスにセフィドリーフは心動かされ始めていた。 そして人間嫌いのセフィドリーフには隠された過去があることに、イリスは気づいていく。 非力な青年×人間嫌いの人外の、料理と癒しの物語。 ※全年齢向け作品です。

異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo
BL
俺がゲイだと自覚したのは、高校生の時だった。中学生までは女性と付き合っていたのだが、高校生になると、「なんか違うな」と感じ始めた。ネットで調べた結果、自分がいわゆるゲイなのではないかとの結論に至った。同級生や友人のことを好きになるも、それを伝える勇気が出なかった。 そうこうしているうちに、俺にはカミングアウトをする勇気がなく、こうして三十歳までゲイであることを隠しながら独身のままである。周りからはなぜ結婚しないのかと聞かれるが、その追及を気持ちを押し殺しながら躱していく日々。俺は幸せになれるのだろうか………。 そんな日々の中、襲われている女性を助けようとして、腹部を刺されてしまった。そして、同性婚が認められる、そんな幸せな世界への転生を祈り静かに息を引き取った。 気が付くと、病弱だが高スペックな身体、アース・ジーマルの体に転生した。病弱が理由で思うような生活は送れなかった。しかし、それには理由があって………。 それから、偶然一人の少年の出会った。一目見た瞬間から恋に落ちてしまった。その少年は、この国王子でそして、俺は側近になることができて………。 魔法と剣、そして貴族院など王道ファンタジーの中にBL要素を詰め込んだ作品となっております。R指定は本当の最後に書く予定なので、純粋にファンタジーの世界のBL恋愛(両片思い)を楽しみたい方向けの作品となっております。この様な作品でよければ、少しだけでも目を通していただければ幸いです。 GW明けからは、週末に投稿予定です。よろしくお願いいたします。

悪役令息に憑依したけど、別に処刑されても構いません

ちあ
BL
元受験生の俺は、「愛と光の魔法」というBLゲームの悪役令息シアン・シュドレーに憑依(?)してしまう。彼は、主人公殺人未遂で処刑される運命。 俺はそんな運命に立ち向かうでもなく、なるようになる精神で死を待つことを決める。 舞台は、魔法学園。 悪役としての務めを放棄し静かに余生を過ごしたい俺だが、謎の隣国の特待生イブリン・ヴァレントに気に入られる。 なんだかんだでゲームのシナリオに巻き込まれる俺は何度もイブリンに救われ…? ※旧タイトル『愛と死ね』

処理中です...