20 / 199
お助けキャラに転生した!
ギリギリ無事でした
しおりを挟む
「げほっ…」
「ルド目を覚ましたのか!?」
心配している父さんの顔がぼんやりと見えた。
「と、さ…おれ…」
「無理に話さなくていい。今お医者様の所に向かっているから、辛いだろうがもう少しだけ我慢をして…」
俺に我慢をさせたくないのだろう。
父さんの話す声がとても辛そう。
確かに体は辛いけど、我慢できない程ではないから心配しないで…そんな思いで父さんの手に手を乗せた。
「早くに気がついてあげればよかったね。子爵の令息の叫び声で気がつく事ができたんだ」
サミュエルの叫び声で…。
突き落として死にそうになったから叫んだの?
嬉しそうに俺を突き飛ばして?
一体サミュエルは何を考えて、あんな行動にでたの?
「ルドと遊んで誤ってルドが湖に落ちたと聞いてね。沈んでいるルドを見つけて心臓が止まるかと思った」
突き落としたのを父さんには俺が遊んでて勝手に落ちたと伝えたんだ。
いう事を聞かなければ今後も同じ様に危害を加えるという事なのだろうか。
「ルドが生きていてよかった…」
今は父さんを安心させる事に集中しよう。
「しん、ぱい…かけて、ごめん…なさい…」
「そうだね。後で沢山何があったかお話してくれる?」
「うん…」
これ以上は俺に負荷がかかると思って、父さんは話しかけてこなかった。
でも、俺が不安がらない様にずっと頭を撫で続けてくれた。
目を覚ましてからそんなに時間が掛かることがなく病院に辿り着いた。
父さんに抱っこされながら、病院に入るとびしょびしょの俺たち見て病院側が大慌てで診察室に通してくれた。
「タオル!タオルを持ってきて!」
「はいこれ!さっさと体を拭きなさい!」
看護師さん?みたいな神官みたいな服をきた女の人から、沢山のタオルを父さんが受け取っている。
俺はすごい勢いで拭かれてる。
「一体何があったのですか?」
「息子が湖に溺れてしまい、私が助けに行った時には気を失っていました」
「目を離されていたのですか!?子供は何があるか分からないから必ず一緒に居てくださいね!?」
看護師さんにわしゃわしゃと拭かれながら、父さんがお医者さんから説教を受けているのを隣で聞くのはちょっとだけ気まずい。
だって父さんは何も悪くなくて、俺が溺れたのはサミュエルに突き落とされた事が原因だから。
サミュエルが何者でもなければ突き落とされた事も簡単に言えたのに、貴族であるからただそれだけで突き落とされた事も言えない。
「起きてしまった事は仕方ありませんので今から診察します」
「お願いいたします」
タオルに包まれながらお医者さんの診察を受けることに。
診察と言っても前世で受けた診察方法とは違って、魔道具を頭の上に翳して症状を確認するという物だ。
誤診も少ない優秀な魔道具で、病院には必ずあると言っても過言ではない魔道具だ。
「奇跡的に肺に水は入り込んでいません。ただ水で体温を奪われてしまっているので、夜辺りに熱を出してしまうかもしれません。解熱剤をお出ししておきますので、高熱が出た場合は解熱剤を一袋分飲ませて下さい」
「分かりました。ありがとうございます」
「お支払いは受付でお願いいたします。タオルは無料の物ですので、お子様はタオルに包んだままでお帰りください」
タオルに包まれたままで帰る事が決まった。
直ぐに支払いを終えて俺たちは帰る為に、辻馬車が来るのを待っていた。
行きは父さんが無理を言って子爵家の馬車を使わせてもらっていたみたい。
帰りもというのはずうずうしい申し出になったから、辻馬車で帰ることになったようだ。
「ルドが無事で本当によかった。もしかしたらルドを失ってしまうのではないかと思うと、気が気じゃなかった」
父さんの顔を上手く見ることができない。
本当の事を話したい。
サミュエルに突き落とされて死にそうになったって。
死ぬのが怖くて仕方がなかったって。
でもそれを言って仕舞えば仕事がなくなってしまう。
何も言えないのが苦しくて辛い。
「ルド目を覚ましたのか!?」
心配している父さんの顔がぼんやりと見えた。
「と、さ…おれ…」
「無理に話さなくていい。今お医者様の所に向かっているから、辛いだろうがもう少しだけ我慢をして…」
俺に我慢をさせたくないのだろう。
父さんの話す声がとても辛そう。
確かに体は辛いけど、我慢できない程ではないから心配しないで…そんな思いで父さんの手に手を乗せた。
「早くに気がついてあげればよかったね。子爵の令息の叫び声で気がつく事ができたんだ」
サミュエルの叫び声で…。
突き落として死にそうになったから叫んだの?
嬉しそうに俺を突き飛ばして?
一体サミュエルは何を考えて、あんな行動にでたの?
「ルドと遊んで誤ってルドが湖に落ちたと聞いてね。沈んでいるルドを見つけて心臓が止まるかと思った」
突き落としたのを父さんには俺が遊んでて勝手に落ちたと伝えたんだ。
いう事を聞かなければ今後も同じ様に危害を加えるという事なのだろうか。
「ルドが生きていてよかった…」
今は父さんを安心させる事に集中しよう。
「しん、ぱい…かけて、ごめん…なさい…」
「そうだね。後で沢山何があったかお話してくれる?」
「うん…」
これ以上は俺に負荷がかかると思って、父さんは話しかけてこなかった。
でも、俺が不安がらない様にずっと頭を撫で続けてくれた。
目を覚ましてからそんなに時間が掛かることがなく病院に辿り着いた。
父さんに抱っこされながら、病院に入るとびしょびしょの俺たち見て病院側が大慌てで診察室に通してくれた。
「タオル!タオルを持ってきて!」
「はいこれ!さっさと体を拭きなさい!」
看護師さん?みたいな神官みたいな服をきた女の人から、沢山のタオルを父さんが受け取っている。
俺はすごい勢いで拭かれてる。
「一体何があったのですか?」
「息子が湖に溺れてしまい、私が助けに行った時には気を失っていました」
「目を離されていたのですか!?子供は何があるか分からないから必ず一緒に居てくださいね!?」
看護師さんにわしゃわしゃと拭かれながら、父さんがお医者さんから説教を受けているのを隣で聞くのはちょっとだけ気まずい。
だって父さんは何も悪くなくて、俺が溺れたのはサミュエルに突き落とされた事が原因だから。
サミュエルが何者でもなければ突き落とされた事も簡単に言えたのに、貴族であるからただそれだけで突き落とされた事も言えない。
「起きてしまった事は仕方ありませんので今から診察します」
「お願いいたします」
タオルに包まれながらお医者さんの診察を受けることに。
診察と言っても前世で受けた診察方法とは違って、魔道具を頭の上に翳して症状を確認するという物だ。
誤診も少ない優秀な魔道具で、病院には必ずあると言っても過言ではない魔道具だ。
「奇跡的に肺に水は入り込んでいません。ただ水で体温を奪われてしまっているので、夜辺りに熱を出してしまうかもしれません。解熱剤をお出ししておきますので、高熱が出た場合は解熱剤を一袋分飲ませて下さい」
「分かりました。ありがとうございます」
「お支払いは受付でお願いいたします。タオルは無料の物ですので、お子様はタオルに包んだままでお帰りください」
タオルに包まれたままで帰る事が決まった。
直ぐに支払いを終えて俺たちは帰る為に、辻馬車が来るのを待っていた。
行きは父さんが無理を言って子爵家の馬車を使わせてもらっていたみたい。
帰りもというのはずうずうしい申し出になったから、辻馬車で帰ることになったようだ。
「ルドが無事で本当によかった。もしかしたらルドを失ってしまうのではないかと思うと、気が気じゃなかった」
父さんの顔を上手く見ることができない。
本当の事を話したい。
サミュエルに突き落とされて死にそうになったって。
死ぬのが怖くて仕方がなかったって。
でもそれを言って仕舞えば仕事がなくなってしまう。
何も言えないのが苦しくて辛い。
532
お気に入りに追加
1,307
あなたにおすすめの小説
ギャルゲー主人公に狙われてます
白兪
BL
前世の記憶がある秋人は、ここが前世に遊んでいたギャルゲームの世界だと気づく。
自分の役割は主人公の親友ポジ
ゲームファンの自分には特等席だと大喜びするが、、、
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。
【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。
※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
バッドエンドの異世界に悪役転生した僕は、全力でハッピーエンドを目指します!
あ
BL
16才の初川終(はつかわ しゅう)は先天性の心臓の病気だった。一縷の望みで、成功率が低い手術に挑む終だったが……。
僕は気付くと両親の泣いている風景を空から眺めていた。それから、遠くで光り輝くなにかにすごい力で引き寄せられて。
目覚めれば、そこは子どもの頃に毎日読んでいた大好きなファンタジー小説の世界だったんだ。でも、僕は呪いの悪役の10才の公爵三男エディに転生しちゃったみたい!
しかも、この世界ってバッドエンドじゃなかったっけ?
バッドエンドをハッピーエンドにする為に、僕は頑張る!
でも、本の世界と少しずつ変わってきた異世界は……ひみつが多くて?
嫌われ悪役の子どもが、愛されに変わる物語。ほのぼの日常が多いです。
◎体格差、年の差カップル
※てんぱる様の表紙をお借りしました。
風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる