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お助けキャラに転生した!

ギリギリ無事でした

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「げほっ…」

「ルド目を覚ましたのか!?」

心配している父さんの顔がぼんやりと見えた。

「と、さ…おれ…」

「無理に話さなくていい。今お医者様の所に向かっているから、辛いだろうがもう少しだけ我慢をして…」

俺に我慢をさせたくないのだろう。
父さんの話す声がとても辛そう。

確かに体は辛いけど、我慢できない程ではないから心配しないで…そんな思いで父さんの手に手を乗せた。

「早くに気がついてあげればよかったね。子爵の令息の叫び声で気がつく事ができたんだ」

サミュエルの叫び声で…。
突き落として死にそうになったから叫んだの?

嬉しそうに俺を突き飛ばして?
一体サミュエルは何を考えて、あんな行動にでたの?

「ルドと遊んで誤ってルドが湖に落ちたと聞いてね。沈んでいるルドを見つけて心臓が止まるかと思った」

突き落としたのを父さんには俺が遊んでて勝手に落ちたと伝えたんだ。
いう事を聞かなければ今後も同じ様に危害を加えるという事なのだろうか。

「ルドが生きていてよかった…」

今は父さんを安心させる事に集中しよう。

「しん、ぱい…かけて、ごめん…なさい…」

「そうだね。後で沢山何があったかお話してくれる?」

「うん…」

これ以上は俺に負荷がかかると思って、父さんは話しかけてこなかった。
でも、俺が不安がらない様にずっと頭を撫で続けてくれた。

目を覚ましてからそんなに時間が掛かることがなく病院に辿り着いた。
父さんに抱っこされながら、病院に入るとびしょびしょの俺たち見て病院側が大慌てで診察室に通してくれた。

「タオル!タオルを持ってきて!」

「はいこれ!さっさと体を拭きなさい!」

看護師さん?みたいな神官みたいな服をきた女の人から、沢山のタオルを父さんが受け取っている。
俺はすごい勢いで拭かれてる。

「一体何があったのですか?」

「息子が湖に溺れてしまい、私が助けに行った時には気を失っていました」

「目を離されていたのですか!?子供は何があるか分からないから必ず一緒に居てくださいね!?」

看護師さんにわしゃわしゃと拭かれながら、父さんがお医者さんから説教を受けているのを隣で聞くのはちょっとだけ気まずい。
だって父さんは何も悪くなくて、俺が溺れたのはサミュエルに突き落とされた事が原因だから。

サミュエルが何者でもなければ突き落とされた事も簡単に言えたのに、貴族であるからただそれだけで突き落とされた事も言えない。

「起きてしまった事は仕方ありませんので今から診察します」

「お願いいたします」

タオルに包まれながらお医者さんの診察を受けることに。
診察と言っても前世で受けた診察方法とは違って、魔道具を頭の上に翳して症状を確認するという物だ。

誤診も少ない優秀な魔道具で、病院には必ずあると言っても過言ではない魔道具だ。

「奇跡的に肺に水は入り込んでいません。ただ水で体温を奪われてしまっているので、夜辺りに熱を出してしまうかもしれません。解熱剤をお出ししておきますので、高熱が出た場合は解熱剤を一袋分飲ませて下さい」

「分かりました。ありがとうございます」

「お支払いは受付でお願いいたします。タオルは無料の物ですので、お子様はタオルに包んだままでお帰りください」

タオルに包まれたままで帰る事が決まった。
直ぐに支払いを終えて俺たちは帰る為に、辻馬車が来るのを待っていた。

行きは父さんが無理を言って子爵家の馬車を使わせてもらっていたみたい。
帰りもというのはずうずうしい申し出になったから、辻馬車で帰ることになったようだ。

「ルドが無事で本当によかった。もしかしたらルドを失ってしまうのではないかと思うと、気が気じゃなかった」

父さんの顔を上手く見ることができない。
本当の事を話したい。

サミュエルに突き落とされて死にそうになったって。
死ぬのが怖くて仕方がなかったって。

でもそれを言って仕舞えば仕事がなくなってしまう。
何も言えないのが苦しくて辛い。
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