お助けキャラに転生したのに主人公に嫌われているのはなんで!?

菟圃(うさぎはたけ)

文字の大きさ
上 下
11 / 199
お助けキャラに転生した!

熱を出しました

しおりを挟む
朝目が覚めたら頭が痛くて、ちょっと意識がぼーっとしてる。
寝返りを打とうとしたら体が悲鳴を上げて、寝返りも打つことができない。

背中の怪我が原因で熱出ちゃったのかな…。
うー、しんどいよー。

呻き声しか出なくて誰も呼ぶことができない。
しんどくて涙も出てきた。

視界もふわふわしてきた頃に俺が起きてこないから、母さんが起こしにきてくれた。

「ルド?どうしたの?」

「か、さ…しんど、い…」

「しんどいの?ちょっとお熱測らせてね」

額に当てられる母さんの手が冷たくて気持ちいい。

「酷い熱ね。お医者さんを呼んで来るから一人で待ってられる?」

「や、だ…一人に、しな、い、で…」

一人にして欲しく無い。
俺の側に居て。

「分かったわ。他の人にお医者さんを呼んできてもらうから少しだけ待てる?」

「ん…」

「ありがとう」

霞む視界の中母さんが扉の近くで従業員を呼んでる声が聞こえる。
声が遠く聞こえる…



ーーーーーーーーーーー

再び目を覚ましたら、母さんが椅子に座っていた。

「母さん…?」

「目を覚ましたのね。お医者さんからお話しを聞いたらね、とても熱が高くて沢山お休みしないといけないんだって」

お医者さんがいうぐらいなら相当熱があったんだ。
今は朝起きた時よりも調子がいい。

まだ頭も体も痛いけど…。
優しく撫でてくれる母さんの手が気持ちいい。

ずっと撫でてくれたらいいな。

「お薬も飲まなきゃいけないから、少しだけご飯を食べましょうか」

ベッドの近くにある机にあるお椀からひと匙掬って、口元まで運んでくれたご飯をパクッと食べた。
ご飯はすりおろしたりんごでとっても甘くて美味しい。

口元に運ばれるすりおろしりんごを食べ終わると、俺が飲む薬を母さんが準備を始めた。
薬特有の苦い匂いがしてきて、甘くなっている口の中が何故か苦くなってきた。

「お薬苦いけど頑張って飲んでね」

早く治したいから差し出された匙を口にすると凄い苦くて顔がくしゃってなった。
涙目になりながら頑張って薬を飲み切った。

「ごめんね。後一回分残ってるから頑張って」

絶望のおかわり。
我慢して残りの薬も全部飲み切った。

口の中が苦いのがずっと居座ってて辛い。

「頑張ったね。口直しに頂いた美味しいお菓子よ」

本当に滅多に食べられないお菓子を口に入れてもらったら、りんごと比べ物にならないぐらいの甘さが口いっぱいに広がった。
トロッととろける甘さ。

「このお菓子はチョコレートと言って、まだこの国では流通してない甘いお菓子なの」

んふふ~。
久々に食べたチョコレートはとっても美味しい。

「美味しいようで何よりだわ。もう一ついる?」

ぶんぶんと勢い良く頭を縦に振ったら、母さんがくすくす笑いながら口元に持ってきてくれたチョコレートをパクッと食べた。
二個目のチョコレートはドライフルーツが入っていて、もきゅっとしたアクセントがあって噛む感覚も凄く楽しい。

もう一個食べたかったけど、体に良くないからって事で三個目はダメだって言われてしょんぼりした。

「お薬の時間になったら起こしにくるからね?」

「ん」

少し元気になったから、母さんが仕事に行くのを見送った。
しおりを挟む
感想 83

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

弟、異世界転移する。

ツキコ
BL
兄依存の弟が突然異世界転移して可愛がられるお話。たぶん。 のんびり進行なゆるBL

非力な守護騎士は幻想料理で聖獣様をお支えします

muku
BL
聖なる山に住む聖獣のもとへ守護騎士として送られた、伯爵令息イリス。 非力で成人しているのに子供にしか見えないイリスは、前世の記憶と山の幻想的な食材を使い、食事を拒む聖獣セフィドリーフに料理を作ることに。 両親に疎まれて居場所がないながらも、健気に生きるイリスにセフィドリーフは心動かされ始めていた。 そして人間嫌いのセフィドリーフには隠された過去があることに、イリスは気づいていく。 非力な青年×人間嫌いの人外の、料理と癒しの物語。 ※全年齢向け作品です。

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

処理中です...