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お助けキャラに転生した!

どうかバレませんように

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痛む背中を庇いながらようやく立ち上がれた。
ボロボロにされた本と、ぐしゃぐしゃに踏まれた串焼きが入った袋を拾った。

悲しくて悲しくて堪らなくて涙が止まらない。
俺はなんでこんな事をされなきゃいけないんだろう。

一歩踏み出す度に背中が痛い。
破かれた本と、ぐしゃぐしゃになった袋が目に入る度に涙が零れ落ちていく。

俺がボロボロの状態でも誰も声を掛けてくれない。
声を掛けてくれないのは理由は分かってる。

サミュエルが貴族だからだ。
貴族に目をつけられたくないから、誰も声を掛けてくれない。

膝は背中より痛くないから足に走る痛みはそこまで気にならないのが幸いだ。
ようやく家についた時には予定より大きく時間がズレた夕方だった。

夕方はお客さんも多いから、父さんと母さんもお客さんにつきっきりになるから家には誰もいない。
従業員にも見つからないようにしながら自室に戻る事ができた。

怪我をしている状態がバレたら父さんも母さんも絶対心配する。
半ズボンを履いているけどそれを長ズボンに履き替えて、上の服も背中が汚れているから脱いで着替えたけど背中が酷く痛んですぐに着替えられなかった。

元々着ていた服はズボンは土で汚れているだけだけど、上の服は背中は土で酷く汚れていて所々破れてる。
父さんと母さんにこの服がバレてしまうと、何があったと絶対に聞かれる。

バレないように後で捨てる為に、ベッドの下の見えない位置に隠した。
ゴミを捨てる時に申し訳ないけど、こっそりと捨てよう。

「ルドー!ご飯よー!」

「すぐ行くよ!」

母さんに普段通りの大きな声で返事をしたら背中がズキンと痛んだ。
大声もダメなんて…。

痛くて泣きそうなのを堪えながら食堂に行った。
とってもいい匂いがして、今日のご飯は昨日に引き続き俺の好物なんだろうかとワクワクした。

「来たよ!」

普段通りの声でも背中が痛むけど、耐えられないぐらいじゃない。

「大きなお皿だけど机の所まで運んでもらってもいい?」

「分かった!」

母さんから大皿を受け取って食事をする机の上にそっと置いた。
大皿の中には見たことがない焼かれた大きなお肉が乗っていた。

「母さん!このお肉どうしたの?」

「お付き合いのある方から今後もよろしくねって事で貰ったのよ」

「そうなんだ!凄くいい人なんだね!」

「次はこれを持っていってくれる?」

「うん!」

次々と出来上がる料理を机に運ぶ。
全部の料理を運び終わる頃には若干背中が熱を持ち始めていた。

「ご飯ができたから、お父さんを呼びに行ってくるね。ルドは座ってて待ってね?」

ゆっくり深呼吸して頑張って痛みを逃す。
どうか父さんと母さんが来るまでに痛みが治ってくれますように。
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