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お助けキャラに転生した!

本を読む事に集中できない

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普段ならワクワクしながら読む事ができる魔道具の本を集中して読む事ができない。
ゲームの世界に転生したという事だけど、俺だけが特別転生した訳ではないと思っている。

サミュエルのあの無慈悲な感じはきっと俺と同じ様に転生したんだろう。
あの人を人として見ていない感じがして、俺はできる限りサミュエルとは関わりたく無い。

楽しい読書タイムだったのに、嫌な考えだけがずっと頭の中を占めている。
ぎゅっと本を抱きしめてちょっと硬いベッドに寝転がった。

我が家は他のお家と違ってお金は持っているけど、贅沢はせず商会にお金を掛ける様にしているからベッドは一般的な硬いベッドを使ってる。
ちょっと硬いけど寝心地は悪くないから愛用してる。

「今後どうしたらいいんだろう…」

今後の不安が勝ってかなりソワソワしてしまった。
早く夕食の時間にならないかな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「それでご用件とはどのような御用でしょうか?」

子爵はカップをソーサーに誤って音を立てて置いてしまった。
礼儀作法から逸れてしまった行動に子爵は酷く汗をかいた。

「息子が大変ご迷惑をお掛け致しました!」

子爵がルドの父親であるギレスタに勢い良く頭を下げた。

「子爵が良い方なのは重々承知しておりましたが、ご子息の教育はどうやら失敗したようですね」

ギレスタは優雅に紅茶を飲み子爵に鋭い視線を向けた。

「アレはどう教育しても言う事を聞かないのです」

子爵はカタカタと震えながら、カップを取りぐいっと紅茶を飲み干した。
礼儀なども気にしていない様にカップを勢いよく音を立てて置いた。

「どれだけ教育を行なっても改心する所か、段々と悪どくなっていき私の手に負えなくなってしまったのです」

子爵はかなり困っている様で両手で頭を抱え込んでいる。
その姿を見てギレスタは子爵が言っている事が真実であると理解した。

「ご苦労なされていらっしゃるのですね。ですが、今回息子は心にかなりの傷を負いました。大変申し訳ございませんがご子息が商会に入ることを禁じさせて頂きます」

「そうして下さると有難いです」

「子爵とはこれからも良い取引相手でありたいですから。子息へご忠告お願い致します」

「かしこまりました」

ギレスタは残った紅茶を飲みきり、立ち上がってから子爵が帰る為の準備を始めた。
子爵も慌てて身の回りの準備を行い、帰る為の準備を行った。

「帰りの準備が整いました。どうぞ気をつけてお帰りください」

「ありがとうございます。それでは息子に伝えておきます」

「よろしくお願い致します」

ギレスタは頭を下げ子爵の帰りを見送った。
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