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―獣人の里『モンストリア』―
252話 竜崎の戦法
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「ほんとだどこにもいない…」
「一体どこに?」
皆でキョロキョロ探すが、やはり見当たらない。ニアロンがヒャッハーしていたため先程までパッと見でもわかったはずだが…。
一応命令は継続しているらしく、竜崎が呼び出した上位精霊達は戦いを続けている。しかし巨体故か小さな魔獣達に意外と手こずっており、討伐量はジョージ達に並ばれていた。
「ミルスパールさん、竜崎さんはどこに?」
「あそこらへんじゃろうな」
さくらの問いに賢者が指差したのは、先程上位精霊達が出てきた森の更に奥。と、その時ー。
「「「グオオオオォ!」」」
「また上位精霊!?」
現れたのは数体のサラマンド達。竜崎達の敵ではないとはいえ、どれだけ出てくるんだ…!さくらが思わず突っ込もうとした時だった。
バシュゥ!
賢者が指差したあの場所から、光の柱が立ち昇る。一本ではない、幾つも幾つも…。
「あれって『聖魔術』の光じゃない?」
ネリーの言葉にさくらはハッと気づく。確かにその光はつい最近習ったばかりのあれである。だがその強力さは軽い怪我を治す時のとは段違い。まるで何かを浄化しているような…。
「あっ見て!上位精霊が!」
「スライムやゴーレムも!」
と、モカ達の声が響く。さくらがそちらへ目を向けると驚くべきことが起こっていた。上位精霊や召喚獣など、魔術によって呼び出された魔物達が(グレミリオの手に落ちた者以外)次々と崩れ消滅していくではないか。
それにより敵戦力は激減。ジョージとグレミリオはその好機を逃さず暴れ回る。竜崎担当エリアの残党すらをも薙ぎ払い、辺りはいきなり静かになった。
「一体何が…?」
混乱するさくら達。すると賢者は長い髭を揉みつつ答えてくれた。
「リュウザキが隠れている術者を叩いたのじゃろう。ああいった魔術使い魔は基本的に術者が倒れれば消滅するものじゃ」
先程の上位精霊達が召喚されたことで居場所を特定したのだろう。とはいえいつの間に…舌を巻くさくらに賢者は微笑み言葉を続けた。
「かつての戦争時からあやつやソフィアが得意とする戦法じゃよ。術士を倒せば自ずと戦いは早く終結するからのぅ」
争いを好まない彼ららしい戦法である。最も、それを成し遂げるには間隙を縫い敵本丸へ飛び込むという荒業をやってのけなければならないのだが。
「さて、観戦はしまいじゃな」
戦いも終わり、さくら達は地上に降ろされる。そこにジョージとグレミリオが身体を伸ばしながらやってきた。
「いやぁ盗賊にしては結構な戦力でしたな。例の暴走人獣も現れましたし、これはやはり…」
「えぇ、追悼式を襲った元魔王派のお仲間でしょうね。今リュウザキ先生が捕らえてくれている魔術士達から何か聞き出せれば良いのだけど…」
竜崎が裏取りしていることは彼らもわかっていたようである。と、竜崎がシルブに乗り戻ってきた。
「あら?リュウザキちゃん魔術士達は?」
グレミリオが首を傾げた通り、彼は誰も連れてきていない。上位精霊の力を使えば人の搬送も楽にできるはずだが…。すると竜崎より先にニアロンが口を開いた。
―やけに下っ手くそな精霊術だったからもしや、と思ったんだが…。これは想像以上にマズいかもしれん―
「? 一体何があったんですかな?」
「これを見てください」
ジョージの問いに竜崎は手にしていた『何か』を見せる。賢者と教師2人に遮られ、さくら達はそれが何かを見定めることができない。
「―! これは…!」
「もしかして…」
「なるほどのぅ…」
一気に賢者達の声が真剣なものに。一体何なのかさくらが質問しようとした時だった。
―! 清人!左手前の山、その中腹部だ!―
ニアロンの言葉に、竜崎だけでなくジョージとグレミリオも反応する。彼らは瞬間移動をしたかのようにさくら達の前から姿を消し、目にも止まらぬ速さでニアロンが指さした山へと向かっていった。
「まさかあやつが参加しているとは。当然と言えば当然じゃが…」
賢者は竜崎が落としていった『何か』を拾い上げ、そう呟く。さくら達は恐る恐るその正体を窺うが…。
「うわっ!」
「何で…!?」
「賢者様、それって…」
思わず驚愕の声を漏らしてしまうさくら達。賢者はゆっくりと頷いた。
「見た通り、『人の頭蓋骨』じゃよ。『死霊術』がかけられた、な」
「一体どこに?」
皆でキョロキョロ探すが、やはり見当たらない。ニアロンがヒャッハーしていたため先程までパッと見でもわかったはずだが…。
一応命令は継続しているらしく、竜崎が呼び出した上位精霊達は戦いを続けている。しかし巨体故か小さな魔獣達に意外と手こずっており、討伐量はジョージ達に並ばれていた。
「ミルスパールさん、竜崎さんはどこに?」
「あそこらへんじゃろうな」
さくらの問いに賢者が指差したのは、先程上位精霊達が出てきた森の更に奥。と、その時ー。
「「「グオオオオォ!」」」
「また上位精霊!?」
現れたのは数体のサラマンド達。竜崎達の敵ではないとはいえ、どれだけ出てくるんだ…!さくらが思わず突っ込もうとした時だった。
バシュゥ!
賢者が指差したあの場所から、光の柱が立ち昇る。一本ではない、幾つも幾つも…。
「あれって『聖魔術』の光じゃない?」
ネリーの言葉にさくらはハッと気づく。確かにその光はつい最近習ったばかりのあれである。だがその強力さは軽い怪我を治す時のとは段違い。まるで何かを浄化しているような…。
「あっ見て!上位精霊が!」
「スライムやゴーレムも!」
と、モカ達の声が響く。さくらがそちらへ目を向けると驚くべきことが起こっていた。上位精霊や召喚獣など、魔術によって呼び出された魔物達が(グレミリオの手に落ちた者以外)次々と崩れ消滅していくではないか。
それにより敵戦力は激減。ジョージとグレミリオはその好機を逃さず暴れ回る。竜崎担当エリアの残党すらをも薙ぎ払い、辺りはいきなり静かになった。
「一体何が…?」
混乱するさくら達。すると賢者は長い髭を揉みつつ答えてくれた。
「リュウザキが隠れている術者を叩いたのじゃろう。ああいった魔術使い魔は基本的に術者が倒れれば消滅するものじゃ」
先程の上位精霊達が召喚されたことで居場所を特定したのだろう。とはいえいつの間に…舌を巻くさくらに賢者は微笑み言葉を続けた。
「かつての戦争時からあやつやソフィアが得意とする戦法じゃよ。術士を倒せば自ずと戦いは早く終結するからのぅ」
争いを好まない彼ららしい戦法である。最も、それを成し遂げるには間隙を縫い敵本丸へ飛び込むという荒業をやってのけなければならないのだが。
「さて、観戦はしまいじゃな」
戦いも終わり、さくら達は地上に降ろされる。そこにジョージとグレミリオが身体を伸ばしながらやってきた。
「いやぁ盗賊にしては結構な戦力でしたな。例の暴走人獣も現れましたし、これはやはり…」
「えぇ、追悼式を襲った元魔王派のお仲間でしょうね。今リュウザキ先生が捕らえてくれている魔術士達から何か聞き出せれば良いのだけど…」
竜崎が裏取りしていることは彼らもわかっていたようである。と、竜崎がシルブに乗り戻ってきた。
「あら?リュウザキちゃん魔術士達は?」
グレミリオが首を傾げた通り、彼は誰も連れてきていない。上位精霊の力を使えば人の搬送も楽にできるはずだが…。すると竜崎より先にニアロンが口を開いた。
―やけに下っ手くそな精霊術だったからもしや、と思ったんだが…。これは想像以上にマズいかもしれん―
「? 一体何があったんですかな?」
「これを見てください」
ジョージの問いに竜崎は手にしていた『何か』を見せる。賢者と教師2人に遮られ、さくら達はそれが何かを見定めることができない。
「―! これは…!」
「もしかして…」
「なるほどのぅ…」
一気に賢者達の声が真剣なものに。一体何なのかさくらが質問しようとした時だった。
―! 清人!左手前の山、その中腹部だ!―
ニアロンの言葉に、竜崎だけでなくジョージとグレミリオも反応する。彼らは瞬間移動をしたかのようにさくら達の前から姿を消し、目にも止まらぬ速さでニアロンが指さした山へと向かっていった。
「まさかあやつが参加しているとは。当然と言えば当然じゃが…」
賢者は竜崎が落としていった『何か』を拾い上げ、そう呟く。さくら達は恐る恐るその正体を窺うが…。
「うわっ!」
「何で…!?」
「賢者様、それって…」
思わず驚愕の声を漏らしてしまうさくら達。賢者はゆっくりと頷いた。
「見た通り、『人の頭蓋骨』じゃよ。『死霊術』がかけられた、な」
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