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―ソフィアの頼み事―
145話 暴れろ!
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大空へと飛び上がった機動鎧を見て、さくらは唖然とする。いや、まさか異世界でロボットバトルが発生するとは…。
ジェット音を鳴らしながらソフィアは空中で鮮やかにくるりと態勢変更。すると肩や腰のあたりからガシャンと何か出てきた。
「照準良し、『マジックミサイル』斉射!」
シュパパパ!と撃ちだされたそれらは地上で逃げ惑う盗賊の元へ。彼らは慌てて走り逃げるが―。
「ひい!なんで追ってくるんだぁ…!?」
ぐねんと追尾し、次々と着弾。弾頭は粘着弾らしく、何人もの盗賊がその場ですっころび動けなくなる。
「いい感じね!」
自らの兵装成果を見届けたソフィアはそのまま自由落下の形で下に降りてくる。降り立つ直前にジェットをふかし、スタンと見事に着地をした。どうやら流石に長時間空中にいることは出来ないようだ。
だがやはり侮るなかれ。今度はマリアの機体と同じようにギュイギュイギュイと音を立て高速移動。まだ逃げ惑う盗賊連中を次から次へ吹っ飛ばす。
ただでさえ手強い機動鎧が二台に。しかもその片方は魔王討伐パーティーの1人であるのだ。
「か、敵わねえ…だってあの『発明家』、迫りくるゴーレム群を全て機動鎧一台でぶち壊したって話があるじゃねえか…!」
「俺はあらゆる魔術攻撃を弾きながら敵陣の中枢に真っ直ぐ殴り込みをかけて成功させたって聞いたぞ…!」
かつてのソフィアの英雄譚を思い出し、弱腰となる盗賊達。後ずさりを始めるが…
「おっと、逃しませんよ~!」
まるでスケート選手のように華麗に移動していたマリアが自らの兵装を起動。腕部分から幾つもの銃口がじゃきんとせりだした。そこから出てきたのは…。
ポポポポポ…
「あ。あれって…」
そう、さくらには見覚えがあった。あれは代表戦でドワーフ達が使っていた武器の1つ、粘着シャボン玉。マリアはフィールドを作るように大きな円を描きながらそれを大量射出。壁代わりとなるように滞留したシャボン玉はその場からの脱出を困難なものとした。
「くっ…逃げ道が…!」
「こうなりゃやるしかねえ…!」
こうなると盗賊たちも破れかぶれ。半ば思考を放棄したように襲いかかる。だが…。
ドッゴオオン!
「ぎゃあああ!」
「助けてくれええ!」
そんな方法で敵う訳もなく即負け。ただ悪戯に戦力が削られていくだけであった。
「あの機動鎧を盗みゃあいいんだ!」
そんな中、目敏い何人かが置きっぱなしになっている機動鎧に乗り込む。中にはさくらやボルガ―による攻撃へ仲間を犠牲に差し出してまで乗る者も。
ガシャン
ガシャン
ガシャン
次々と動き始める機動鎧達。こうなれば占めたもの。これさえあればシャボン玉の罠も超えられるかもしれないし、暴れ回るソフィア達を押さえられるかもしれない。
「へへへ…これでなんとかなるぜ…!」
一安心とばかりに盗賊達は軽口を叩く。生身で受けたら吹っ飛ばされる一撃もこれを着ていれば被害は薄い。更にこれを作ったのはソフィア達自身、商品でもあるし、あまり手出しはされないはずという思いが彼らにはあった。だが…。
「「どーん!」」
ドガシャァア!!
勢いよくキック。勢いよくパンチ。ソフィアとマリアは何一つ容赦なくぶん殴りふっ飛ばしていく。寧ろ相手が鎧を纏っている分、その威力は数段増している。
「それを想定して替えのパーツ持ってきているのよ!」
そこいらには一台また一台と凹まされた機動鎧が転がる。鎧を着ていれば大丈夫、そう考えた彼らの心も凹まされたのだ。いくら製作者本人かつ、お代をいただいていないとはいえこの有様はちょっと酷くない…?そう思ってしまうさくらであった。
もう敵わないと尻尾を巻いて背を向ける盗賊達にボルガーは鉄球を、さくらは魔力球をヒットさせていく。どんどん地面に転がる彼らの顔は「どうしてこんなことに…」と泣きかけな顔である。
だが運よく全身ベチョベチョ、動きが鈍くなりまくりながらもなんとか逃げ出した盗賊がちらほら。村の至るところで人質をとっている仲間と合流しようとしたが…。
「ひいぃぃぃぃ!」
少し行った先で回れ右。もっと恐ろしいものを見たかのように戻ってくる。するとその後から、人質担当の盗賊達であろうか、さらにわらわらと走ってくる。
「み…水に肩を貫かれたぁ…!」
「目が…目が…熱いぃい!」
「窒息させられる…!」
「痛いよぉ!石の棘が襲ってくるよぉ!」
彼らはそれぞれ傷を負い、這う這うの体で必死に逃げてくる。その後ろからは…大量の精霊達。さらに大通りの四方からは…。
「上位精霊シルブだあああ!」
竜巻で盗賊を追い立てる風の上位精霊。
「こっちにはノウムだぁ…!」
盗賊をぺちゃんこにしてやろうと転がる土の上位精霊。
「ば…化け猫だ!」
獲物を弄ぶように追い立てる白い猫の霊獣。
「リ、リュウザキだあああああ!!!」
そして極めつけに、背後に仰仰しい魔法陣を幾つも浮かべ精霊を操る『術士リュウザキ』。
「前門の虎、後門の狼」ならぬ、「前門の鎧、後門の竜(崎)」。逃げ場なんてどこにも存在しない。盗賊全員が容赦なく叩きのめされ、あっという間に縛り上げられてしまった。
ジェット音を鳴らしながらソフィアは空中で鮮やかにくるりと態勢変更。すると肩や腰のあたりからガシャンと何か出てきた。
「照準良し、『マジックミサイル』斉射!」
シュパパパ!と撃ちだされたそれらは地上で逃げ惑う盗賊の元へ。彼らは慌てて走り逃げるが―。
「ひい!なんで追ってくるんだぁ…!?」
ぐねんと追尾し、次々と着弾。弾頭は粘着弾らしく、何人もの盗賊がその場ですっころび動けなくなる。
「いい感じね!」
自らの兵装成果を見届けたソフィアはそのまま自由落下の形で下に降りてくる。降り立つ直前にジェットをふかし、スタンと見事に着地をした。どうやら流石に長時間空中にいることは出来ないようだ。
だがやはり侮るなかれ。今度はマリアの機体と同じようにギュイギュイギュイと音を立て高速移動。まだ逃げ惑う盗賊連中を次から次へ吹っ飛ばす。
ただでさえ手強い機動鎧が二台に。しかもその片方は魔王討伐パーティーの1人であるのだ。
「か、敵わねえ…だってあの『発明家』、迫りくるゴーレム群を全て機動鎧一台でぶち壊したって話があるじゃねえか…!」
「俺はあらゆる魔術攻撃を弾きながら敵陣の中枢に真っ直ぐ殴り込みをかけて成功させたって聞いたぞ…!」
かつてのソフィアの英雄譚を思い出し、弱腰となる盗賊達。後ずさりを始めるが…
「おっと、逃しませんよ~!」
まるでスケート選手のように華麗に移動していたマリアが自らの兵装を起動。腕部分から幾つもの銃口がじゃきんとせりだした。そこから出てきたのは…。
ポポポポポ…
「あ。あれって…」
そう、さくらには見覚えがあった。あれは代表戦でドワーフ達が使っていた武器の1つ、粘着シャボン玉。マリアはフィールドを作るように大きな円を描きながらそれを大量射出。壁代わりとなるように滞留したシャボン玉はその場からの脱出を困難なものとした。
「くっ…逃げ道が…!」
「こうなりゃやるしかねえ…!」
こうなると盗賊たちも破れかぶれ。半ば思考を放棄したように襲いかかる。だが…。
ドッゴオオン!
「ぎゃあああ!」
「助けてくれええ!」
そんな方法で敵う訳もなく即負け。ただ悪戯に戦力が削られていくだけであった。
「あの機動鎧を盗みゃあいいんだ!」
そんな中、目敏い何人かが置きっぱなしになっている機動鎧に乗り込む。中にはさくらやボルガ―による攻撃へ仲間を犠牲に差し出してまで乗る者も。
ガシャン
ガシャン
ガシャン
次々と動き始める機動鎧達。こうなれば占めたもの。これさえあればシャボン玉の罠も超えられるかもしれないし、暴れ回るソフィア達を押さえられるかもしれない。
「へへへ…これでなんとかなるぜ…!」
一安心とばかりに盗賊達は軽口を叩く。生身で受けたら吹っ飛ばされる一撃もこれを着ていれば被害は薄い。更にこれを作ったのはソフィア達自身、商品でもあるし、あまり手出しはされないはずという思いが彼らにはあった。だが…。
「「どーん!」」
ドガシャァア!!
勢いよくキック。勢いよくパンチ。ソフィアとマリアは何一つ容赦なくぶん殴りふっ飛ばしていく。寧ろ相手が鎧を纏っている分、その威力は数段増している。
「それを想定して替えのパーツ持ってきているのよ!」
そこいらには一台また一台と凹まされた機動鎧が転がる。鎧を着ていれば大丈夫、そう考えた彼らの心も凹まされたのだ。いくら製作者本人かつ、お代をいただいていないとはいえこの有様はちょっと酷くない…?そう思ってしまうさくらであった。
もう敵わないと尻尾を巻いて背を向ける盗賊達にボルガーは鉄球を、さくらは魔力球をヒットさせていく。どんどん地面に転がる彼らの顔は「どうしてこんなことに…」と泣きかけな顔である。
だが運よく全身ベチョベチョ、動きが鈍くなりまくりながらもなんとか逃げ出した盗賊がちらほら。村の至るところで人質をとっている仲間と合流しようとしたが…。
「ひいぃぃぃぃ!」
少し行った先で回れ右。もっと恐ろしいものを見たかのように戻ってくる。するとその後から、人質担当の盗賊達であろうか、さらにわらわらと走ってくる。
「み…水に肩を貫かれたぁ…!」
「目が…目が…熱いぃい!」
「窒息させられる…!」
「痛いよぉ!石の棘が襲ってくるよぉ!」
彼らはそれぞれ傷を負い、這う這うの体で必死に逃げてくる。その後ろからは…大量の精霊達。さらに大通りの四方からは…。
「上位精霊シルブだあああ!」
竜巻で盗賊を追い立てる風の上位精霊。
「こっちにはノウムだぁ…!」
盗賊をぺちゃんこにしてやろうと転がる土の上位精霊。
「ば…化け猫だ!」
獲物を弄ぶように追い立てる白い猫の霊獣。
「リ、リュウザキだあああああ!!!」
そして極めつけに、背後に仰仰しい魔法陣を幾つも浮かべ精霊を操る『術士リュウザキ』。
「前門の虎、後門の狼」ならぬ、「前門の鎧、後門の竜(崎)」。逃げ場なんてどこにも存在しない。盗賊全員が容赦なく叩きのめされ、あっという間に縛り上げられてしまった。
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