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―竜の魔神の元へ―
134話 謎の少女
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長く暗い洞窟を進む一行。とはいえ竜崎がランプ以外にも火の精霊を呼び出し灯り代わりとしているため歩くのに難はない。
「さくらさん、学園を卒業なされましたら是非我が国にいらしてください。メストさん共々特別待遇で召し抱えさせていただきますよ?」
「あはは…考えときます」
そんな中、さくらは姫様からヘッドハンティングされていた。貴族に続いて王族にまで。悪い気分ではないが、今の自分ではそんな風に苦笑いで返すしかなかった。絶対荷が重い。話題を無理やり逸らすかのように、彼女は竜崎に話を振った。
「ところで竜崎さん。そろそろどこに向かっているのか教えてください」
確かにと頷く姫様達。良かった逸れたと内心ほっとしながら、自身も竜崎の回答を待つ。彼はこのことはできるだけ他言無用にと注意をしてから喋りはじめた。
「この『竜の生くる地』には秘密があるんだ。神竜ニルザルルの御神体がある『表』、そして今向かっている『裏』。今回は訪問内容が秘匿事項なため、裏へ入る許可を貰ったんだよ」
やはりあの会話は関係があった。となると次の質問は至ってシンプルである。
「その『裏』には何があるんですか?」
「それはね…」
答えようとする竜崎を、ニアロンが遮った。
―もう着いたぞ―
洞窟最奥部。そこはどうみてもただの行き止まりだった。ここまでは一本道。道を間違えたわけはない。となると考えられるのは…。
「洞窟自体を間違えちゃいました…?」
あの時竜崎に場所を確認せず、ウルディーネに指示を出したさくらは思わず不安になる。もしかしたら他の場所にもあったのかもしれない。だが、竜崎はそれを否定した。
「いや、ここで合っているよ。仕掛けがあるんだ。えっと…」
ゴソゴソと取り出したのは、先程竜が持ってきた水晶玉。彼はそれを奥の壁にコツンコツンと押し当てる。
「一体何を…?」
「封印を解いているんだ」
封印?さくら達が首を傾げた瞬間。
カコン
突如小気味よい音を立て岩壁に水晶玉が嵌る。そして、ズズズズと飲み込まれていった。その様子にさくらは見覚えがあった。
「図書館の障壁みたい…」
「あの障壁をすごく厳重にしたものだね」
外の山には人払いの魔術、そしてここには障壁。そこまでするとは、いったいこの先に何が…? 入っていく竜崎に続きさくら達も恐る恐る入る。相変わらずの変な壁を抜けた彼女達がその先でまず目にしたのは…巨竜の顔だった。
「「へっ!?」」
驚くさくらと姫様。てっきり道が続いていると思っていたが、現れたのは至近距離でブフウと鼻息を吐きながらこちらを見つめる竜。ビビる彼女達に竜崎は笑いながら説明をする。
「その子は門番だね。入ってくる人を一応監視しているんだ」
巨竜は竜崎達を確認後、すぐにうたた寝を始める。どうやら許可ということらしい。彼を避けるように大回りに移動し、改めて景色を見てみると…。
「明るい…!?」
先程までの道のりは濃い薄いはあれど霧に覆われ光が制限されていた。そのため全体的に暗かったのだが、今、目の前に広がる景色には一切の霧は無い。まるでそこだけ先程神竜ニルザルルが霧を払ったかのように晴れ晴れとしていた。
そして地面は外の街のように爽快な草原が広がる。大岩や獣骨人骨が転がっている様子は一切ない。しかも…。
「足元から…光が…!?」
驚くべきことに、地面からは木漏れ日のような暖かな光が湧き上がっていた。それも明るさに拍車をかけているのだろう。見回すと至る所で竜達が享受するかのように寝そべっている。神秘的かつ牧歌的な風景である。
竜崎に連れられ、なぜか整備された道を進む。人は基本入れないはずなのに何故?そもそもここには何が?疑問が尽きぬ中、さくら達の目の前にはとある建物が見えてくる。
こじんまりとした家。その横には貴族の庭にあるような西洋風東屋が。そこに設置された椅子に腰かけ本を読みながら1人紅茶を嗜む蒼き瞳の少女がいた。
「待ちかねたぞ」
彼女はカチャリとカップを置くと、竜崎達の方をにこりと振り向く。その姿にさくらは驚かざるを得なかった。頭からは竜の角、背には竜の翼、そして竜の尾。これはどう見ても竜人ではないか。
「さっき竜人はいないって…」
半分抗議、半分困惑の声を出すさくら。だがニアロンはその反応を待っていたと言わんばかりに嬉しそうに答えた。
―いないさ。そもそもあいつは竜人じゃない。『人』と書く竜人ではなく、『神』と書く方の竜神だ―
「えっ…!」
それはつまり…!言葉が出なくなるさくらに対して、竜崎はようやく種明かしを行った。
「そう、彼女は竜の魔神『神竜ニルザルル』の今の本当の姿だ」
「さくらさん、学園を卒業なされましたら是非我が国にいらしてください。メストさん共々特別待遇で召し抱えさせていただきますよ?」
「あはは…考えときます」
そんな中、さくらは姫様からヘッドハンティングされていた。貴族に続いて王族にまで。悪い気分ではないが、今の自分ではそんな風に苦笑いで返すしかなかった。絶対荷が重い。話題を無理やり逸らすかのように、彼女は竜崎に話を振った。
「ところで竜崎さん。そろそろどこに向かっているのか教えてください」
確かにと頷く姫様達。良かった逸れたと内心ほっとしながら、自身も竜崎の回答を待つ。彼はこのことはできるだけ他言無用にと注意をしてから喋りはじめた。
「この『竜の生くる地』には秘密があるんだ。神竜ニルザルルの御神体がある『表』、そして今向かっている『裏』。今回は訪問内容が秘匿事項なため、裏へ入る許可を貰ったんだよ」
やはりあの会話は関係があった。となると次の質問は至ってシンプルである。
「その『裏』には何があるんですか?」
「それはね…」
答えようとする竜崎を、ニアロンが遮った。
―もう着いたぞ―
洞窟最奥部。そこはどうみてもただの行き止まりだった。ここまでは一本道。道を間違えたわけはない。となると考えられるのは…。
「洞窟自体を間違えちゃいました…?」
あの時竜崎に場所を確認せず、ウルディーネに指示を出したさくらは思わず不安になる。もしかしたら他の場所にもあったのかもしれない。だが、竜崎はそれを否定した。
「いや、ここで合っているよ。仕掛けがあるんだ。えっと…」
ゴソゴソと取り出したのは、先程竜が持ってきた水晶玉。彼はそれを奥の壁にコツンコツンと押し当てる。
「一体何を…?」
「封印を解いているんだ」
封印?さくら達が首を傾げた瞬間。
カコン
突如小気味よい音を立て岩壁に水晶玉が嵌る。そして、ズズズズと飲み込まれていった。その様子にさくらは見覚えがあった。
「図書館の障壁みたい…」
「あの障壁をすごく厳重にしたものだね」
外の山には人払いの魔術、そしてここには障壁。そこまでするとは、いったいこの先に何が…? 入っていく竜崎に続きさくら達も恐る恐る入る。相変わらずの変な壁を抜けた彼女達がその先でまず目にしたのは…巨竜の顔だった。
「「へっ!?」」
驚くさくらと姫様。てっきり道が続いていると思っていたが、現れたのは至近距離でブフウと鼻息を吐きながらこちらを見つめる竜。ビビる彼女達に竜崎は笑いながら説明をする。
「その子は門番だね。入ってくる人を一応監視しているんだ」
巨竜は竜崎達を確認後、すぐにうたた寝を始める。どうやら許可ということらしい。彼を避けるように大回りに移動し、改めて景色を見てみると…。
「明るい…!?」
先程までの道のりは濃い薄いはあれど霧に覆われ光が制限されていた。そのため全体的に暗かったのだが、今、目の前に広がる景色には一切の霧は無い。まるでそこだけ先程神竜ニルザルルが霧を払ったかのように晴れ晴れとしていた。
そして地面は外の街のように爽快な草原が広がる。大岩や獣骨人骨が転がっている様子は一切ない。しかも…。
「足元から…光が…!?」
驚くべきことに、地面からは木漏れ日のような暖かな光が湧き上がっていた。それも明るさに拍車をかけているのだろう。見回すと至る所で竜達が享受するかのように寝そべっている。神秘的かつ牧歌的な風景である。
竜崎に連れられ、なぜか整備された道を進む。人は基本入れないはずなのに何故?そもそもここには何が?疑問が尽きぬ中、さくら達の目の前にはとある建物が見えてくる。
こじんまりとした家。その横には貴族の庭にあるような西洋風東屋が。そこに設置された椅子に腰かけ本を読みながら1人紅茶を嗜む蒼き瞳の少女がいた。
「待ちかねたぞ」
彼女はカチャリとカップを置くと、竜崎達の方をにこりと振り向く。その姿にさくらは驚かざるを得なかった。頭からは竜の角、背には竜の翼、そして竜の尾。これはどう見ても竜人ではないか。
「さっき竜人はいないって…」
半分抗議、半分困惑の声を出すさくら。だがニアロンはその反応を待っていたと言わんばかりに嬉しそうに答えた。
―いないさ。そもそもあいつは竜人じゃない。『人』と書く竜人ではなく、『神』と書く方の竜神だ―
「えっ…!」
それはつまり…!言葉が出なくなるさくらに対して、竜崎はようやく種明かしを行った。
「そう、彼女は竜の魔神『神竜ニルザルル』の今の本当の姿だ」
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