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―ゴスタリアからの依頼―
120話 クエスト「図書館での資料探し手伝い」
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あくる日朝早くの学園構内、クエスト掲示板前。
「よいしょっと…」
ペタリ
「ニアロンどう?曲がってる?」
―大丈夫だ―
何かを貼っていたのは竜崎。そこに掲示板を管理する職員の一人がやってきた。
「受理済みましたよ。しかし、こんなクエストは珍しいですね。ゴスタリア王国からの依頼でしたっけ?」
「ありがとうございます。えぇ、結構賃金高めにしてもらえましたし、集まってくれるといいなぁ」
「この条件ならすぐに定員埋まりますよ。害獣退治とかよりも楽ですしね」
「いやー、代表戦凄かったねー!」
「うん。さくらちゃん格好良かった」
「特にあの渦潮は驚いたねー」
ネリー、モカ、アイナと共に学園にくるさくらはずっとそんな風に持ち上げられていた。聞くとメストも女子寮で友人やファンの子に囲まれもて囃されていたらしい。かくいうさくらも教師寮に住む先生方から褒められまくっていたのだが。
と、授業教室に向かう前にネリー提案の元クエスト掲示板へ。
「朝一番に見に行くと、時たま超当たりなクエストあるんだー!」
すぐに金欠になる彼女らしい発想である。他3人は苦笑しながらついていく。
「なんか人多くない?」
「うん、朝なのに結構いるね」
掲示板がある場所には多めの生徒達。ネリーと同じ発想の子ばかりなのかと思えるが、彼女曰くやけに多いということ。
そんな生徒達が見ているのは一枚の大きめな依頼書。さくら達も潜り込むように見てみるとー。
「『図書館での資料探し手伝い』?」
そこに書かれていた依頼内容は、図書館で「火球吐く竜」についての文献を探すこと。人数もかなり募集している。そして依頼主は…。
「あっ、これリュウザキ先生の依頼だ!」
ネリーのその一言でさくらは察した。これはゴスタリア調査の一環だと。となると参加せざるを得ない。
「かなり賃金高いし楽そうだし受けちゃおうよ!」
急いで並ぶネリーを追いかけるように、さくら達も並ぶのだった。
その後、竜崎を見つけたさくらは朝の件を報告をすることに。
「え、もうそんなに集まっているの?」
「はい。朝の時点で結構集まってましたよ」
―杞憂だったな。これで大分楽になる―
胸をなでおろす彼らに、さくらは質問をした。
「何をするんですか?」
―この間のゴスタリアでの事件、謎の竜が現れて解決したということになっているだろう?現地に赴く前の調査として、過去の文献から似た記録がないか調べるんだ―
「でもあれって…」
さくらが首をかしげたにを見て、竜崎は周囲を確認。誰も聞いていないことを確かめると、さくらにだけ聞こえるように顔を寄せ小声で答えた。
「そう、あの正体はさくらさんだ。でも私達はあくまで何も知らないという態度をとらなければならない。だから何食わぬ顔で調査に参加してね」
そういうことか。だが、それはつまり―。
「その調査って、間違いなく嘘をつく前提ってことですよね?」
サラマンドを作り出し国を救ったのは他でもないさくらと竜崎。ということは、いくら書物を調べようが実地調査をしようが、出る結果は確実に虚構。無駄といえば無駄である。それを聞いた竜崎はふふっと笑った。
「そういうことだね。なにせ一国の窮地を救ったのがたった一人の少女なんだ。事が事だけにゴスタリア王国はさくらさんに従わなければいけなくなる。たとえさくらさん自身にそんな意思がなくとも、勝手に名を騙る悪人が現れたり、さくらさんが話を聞きつけた誰かに捕まって人質となることがあるかもしれない。そうなったらゴスタリア王家は何かしらの対処を迫られ、国民だけでなく周辺各国にも被害が出る可能性がある」
流石にそんなことに巻き込まれたくない。さくらはブルッと少し身震いをしてしまう。
―国の命運を個人に背負わせるのは危険すぎるからな。さくらとゴスタリアの身を案じるならば、適当に神や精霊が起こした奇跡としておけば良い。幸い清人は信用されている。上手くやれば変に脅そうとする輩も現れないだろう。まあ今のとこイブリートの仕業にする予定だが―
そんなことをさらりと言いのけるニアロン。既にイブリートを説き伏せるつもりらしい。
そんな感じで説明してくれた竜崎だが、安堵するようにふうっと息をついた。
「しかし、この世界でカメラがそう普及してなくて良かったよ。もしさくらさんの携帯みたいのを皆持っていたら、正体撮られていてこんなこともできなかっただろうしね」
「あれ動画もとれるんですよ。しかも凄く綺麗に。拡大もできますし」
さくらに言葉に竜崎は再度息をついた。
「ますますだね。しかもそれに加えてネットに繋げられるんだから凄いもんだ」
―まあ古今東西の本が集まる図書館だ。ネットとやらと同じようなものだろう。その分人足が必要なんだがな―
募集した理由はそれらしい。わざわざ「館内での迷子に注意」と張り紙が貼ってあるほどの広さなのだ。数人程度ではとても調べきれないだろう。
「ところでさくらさんもなにか調べごとがあったら図書館とか行っていた?え、あまり行かない?だいたいスマホで済む?向こうの世界、便利になり過ぎだなぁ。ちょっと怖いぐらいだ」
「よいしょっと…」
ペタリ
「ニアロンどう?曲がってる?」
―大丈夫だ―
何かを貼っていたのは竜崎。そこに掲示板を管理する職員の一人がやってきた。
「受理済みましたよ。しかし、こんなクエストは珍しいですね。ゴスタリア王国からの依頼でしたっけ?」
「ありがとうございます。えぇ、結構賃金高めにしてもらえましたし、集まってくれるといいなぁ」
「この条件ならすぐに定員埋まりますよ。害獣退治とかよりも楽ですしね」
「いやー、代表戦凄かったねー!」
「うん。さくらちゃん格好良かった」
「特にあの渦潮は驚いたねー」
ネリー、モカ、アイナと共に学園にくるさくらはずっとそんな風に持ち上げられていた。聞くとメストも女子寮で友人やファンの子に囲まれもて囃されていたらしい。かくいうさくらも教師寮に住む先生方から褒められまくっていたのだが。
と、授業教室に向かう前にネリー提案の元クエスト掲示板へ。
「朝一番に見に行くと、時たま超当たりなクエストあるんだー!」
すぐに金欠になる彼女らしい発想である。他3人は苦笑しながらついていく。
「なんか人多くない?」
「うん、朝なのに結構いるね」
掲示板がある場所には多めの生徒達。ネリーと同じ発想の子ばかりなのかと思えるが、彼女曰くやけに多いということ。
そんな生徒達が見ているのは一枚の大きめな依頼書。さくら達も潜り込むように見てみるとー。
「『図書館での資料探し手伝い』?」
そこに書かれていた依頼内容は、図書館で「火球吐く竜」についての文献を探すこと。人数もかなり募集している。そして依頼主は…。
「あっ、これリュウザキ先生の依頼だ!」
ネリーのその一言でさくらは察した。これはゴスタリア調査の一環だと。となると参加せざるを得ない。
「かなり賃金高いし楽そうだし受けちゃおうよ!」
急いで並ぶネリーを追いかけるように、さくら達も並ぶのだった。
その後、竜崎を見つけたさくらは朝の件を報告をすることに。
「え、もうそんなに集まっているの?」
「はい。朝の時点で結構集まってましたよ」
―杞憂だったな。これで大分楽になる―
胸をなでおろす彼らに、さくらは質問をした。
「何をするんですか?」
―この間のゴスタリアでの事件、謎の竜が現れて解決したということになっているだろう?現地に赴く前の調査として、過去の文献から似た記録がないか調べるんだ―
「でもあれって…」
さくらが首をかしげたにを見て、竜崎は周囲を確認。誰も聞いていないことを確かめると、さくらにだけ聞こえるように顔を寄せ小声で答えた。
「そう、あの正体はさくらさんだ。でも私達はあくまで何も知らないという態度をとらなければならない。だから何食わぬ顔で調査に参加してね」
そういうことか。だが、それはつまり―。
「その調査って、間違いなく嘘をつく前提ってことですよね?」
サラマンドを作り出し国を救ったのは他でもないさくらと竜崎。ということは、いくら書物を調べようが実地調査をしようが、出る結果は確実に虚構。無駄といえば無駄である。それを聞いた竜崎はふふっと笑った。
「そういうことだね。なにせ一国の窮地を救ったのがたった一人の少女なんだ。事が事だけにゴスタリア王国はさくらさんに従わなければいけなくなる。たとえさくらさん自身にそんな意思がなくとも、勝手に名を騙る悪人が現れたり、さくらさんが話を聞きつけた誰かに捕まって人質となることがあるかもしれない。そうなったらゴスタリア王家は何かしらの対処を迫られ、国民だけでなく周辺各国にも被害が出る可能性がある」
流石にそんなことに巻き込まれたくない。さくらはブルッと少し身震いをしてしまう。
―国の命運を個人に背負わせるのは危険すぎるからな。さくらとゴスタリアの身を案じるならば、適当に神や精霊が起こした奇跡としておけば良い。幸い清人は信用されている。上手くやれば変に脅そうとする輩も現れないだろう。まあ今のとこイブリートの仕業にする予定だが―
そんなことをさらりと言いのけるニアロン。既にイブリートを説き伏せるつもりらしい。
そんな感じで説明してくれた竜崎だが、安堵するようにふうっと息をついた。
「しかし、この世界でカメラがそう普及してなくて良かったよ。もしさくらさんの携帯みたいのを皆持っていたら、正体撮られていてこんなこともできなかっただろうしね」
「あれ動画もとれるんですよ。しかも凄く綺麗に。拡大もできますし」
さくらに言葉に竜崎は再度息をついた。
「ますますだね。しかもそれに加えてネットに繋げられるんだから凄いもんだ」
―まあ古今東西の本が集まる図書館だ。ネットとやらと同じようなものだろう。その分人足が必要なんだがな―
募集した理由はそれらしい。わざわざ「館内での迷子に注意」と張り紙が貼ってあるほどの広さなのだ。数人程度ではとても調べきれないだろう。
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