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―代表戦、予選―
97話 とある疑惑
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「学園長!あの2人、裏で協力していたのでは!?」
さくら達が喜んだのも束の間、ボコボコにされた生徒の1人が不平たらしく手を挙げた。最後に突然協力し始めたのが疑わしいといいたいらしい。
「そんなわけないだろ!そもそも勝負の邪魔をしてきたのが悪い!」
クラウスも応戦をし、場は緊張状態…。になるかと思いきや、意外にも落ち着いていた。特に学園長や竜崎含む教員勢、メスト含む先輩達の表情は優しいものだった。まるで毎年の風物詩を見るかのような。
「この子達はそんなことしていないわ。戦い方を見ればわかるもの」
審判役である彼女にそう言われ、クレームを入れた子はぐっと押し黙ってしまう。丁度いい機会だからと学園長は言葉を続けた。
「代表戦とは、戦いの場での対応力を競うもの。だからこそ自分以外は全て敵というバトルロイヤル式をとっているのよ。それに、談合はある程度黙認しているわ」
「そうなんですか!?」
さくらは思わず驚いた声を出してしまう。だって元の世界でそんなことをしたら間違いなく反則、一生涯大会への出場停止を食らってしまう可能性だってある。というか、そんなことが認められているなんて考えもしなかった。
「えぇ。立場上要項には書けないけれどね。如何に仲間を増やし、敵を倒すか。それもまた戦場での駆け引きの一つ。本戦は3人一組だから、協力出来るに越したことはないのよ。実際、試合前に示し合わせた子も結構いるでしょう?」
学園長にそう問われ、幾人かがバツの悪そうな顔をしたり、顔を背けた。図星らしい。
「そもそも二人の攻防が苛烈すぎて誰も間に入れなかったの、傍から見たら丸わかりだったわよ。数が減ってきてようやく狙い始めたでしょうに」
彼女の指摘は正しいらしく、頷く生徒は数多かった。さくらとしてはライバルを倒すのに必死だっただけなのだが。
「しかしさくらちゃん凄いわね。中位精霊の複数使役なんて、一流の精霊術士と名乗っても問題ないわ。それだけ操れれば学園の卒業試験は充分合格できるわね」
学園長はさくらに向き直り、そう褒める。くすぐったくなったさくらは照れ隠しに質問を返す。
「本戦っていつなんですか?」
「一週間後よ」
「早っ!」
「代表選出からすぐに開催しないと、国家間での談合が起きちゃうことがあるのよ。流石にそこまでいくと面白くないじゃない?」
あくまで試合、生徒達の実力を競う場なんだから。と学園長はカラカラと笑った。
怪我人の処置が終わったらしく、さくら達の師である竜崎とクラウスの師であるジョージがようやく合流してきた。2人共嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
「さくらさんもメストも良い闘いっぷりだったよ!」
―力みがいい方向に転んでよかったな―
「『地裂』を成功させるとは、やはりクラウス君は才能ありですな!」
これまたやんややんやと褒められる。さくらの胸中には嬉しさと同時に、またもや一週間後に迫る試合への緊張が舞い戻ってきた。
と、学園長が思わぬ一言を発する。
「全員『奥の手』は見せていないみたいだし、これは楽しみね」
「えっ!?わかるんですか?」
「さっきの動きを見ていれば何か隠し玉を持っていることはわかるわよ」
なんと見ただけで見抜いたらしい、恐るべし学園長。さくらは思わず他2人を見やる。自分のは武器についている「限界突破機構」だが、クラウスだけでなくメスト先輩にも何か必殺技みたいなのがあるのか。まだまだ底知れぬこのチーム、もしかしたら本当に優勝できてしまうのかもしれない。期待が高まる。
彼女はコホンと一つ咳払い。学園長としての訓示を行った。
「その手の内を仲間に明かしても良し、味方にも内緒にして起死回生の一手としても良し。試合に協力して挑むのも個人個人で動くのも勿論有りよ。残り一週間、練習を怠らないようにね」
「「「はい!」」」
さくら達が喜んだのも束の間、ボコボコにされた生徒の1人が不平たらしく手を挙げた。最後に突然協力し始めたのが疑わしいといいたいらしい。
「そんなわけないだろ!そもそも勝負の邪魔をしてきたのが悪い!」
クラウスも応戦をし、場は緊張状態…。になるかと思いきや、意外にも落ち着いていた。特に学園長や竜崎含む教員勢、メスト含む先輩達の表情は優しいものだった。まるで毎年の風物詩を見るかのような。
「この子達はそんなことしていないわ。戦い方を見ればわかるもの」
審判役である彼女にそう言われ、クレームを入れた子はぐっと押し黙ってしまう。丁度いい機会だからと学園長は言葉を続けた。
「代表戦とは、戦いの場での対応力を競うもの。だからこそ自分以外は全て敵というバトルロイヤル式をとっているのよ。それに、談合はある程度黙認しているわ」
「そうなんですか!?」
さくらは思わず驚いた声を出してしまう。だって元の世界でそんなことをしたら間違いなく反則、一生涯大会への出場停止を食らってしまう可能性だってある。というか、そんなことが認められているなんて考えもしなかった。
「えぇ。立場上要項には書けないけれどね。如何に仲間を増やし、敵を倒すか。それもまた戦場での駆け引きの一つ。本戦は3人一組だから、協力出来るに越したことはないのよ。実際、試合前に示し合わせた子も結構いるでしょう?」
学園長にそう問われ、幾人かがバツの悪そうな顔をしたり、顔を背けた。図星らしい。
「そもそも二人の攻防が苛烈すぎて誰も間に入れなかったの、傍から見たら丸わかりだったわよ。数が減ってきてようやく狙い始めたでしょうに」
彼女の指摘は正しいらしく、頷く生徒は数多かった。さくらとしてはライバルを倒すのに必死だっただけなのだが。
「しかしさくらちゃん凄いわね。中位精霊の複数使役なんて、一流の精霊術士と名乗っても問題ないわ。それだけ操れれば学園の卒業試験は充分合格できるわね」
学園長はさくらに向き直り、そう褒める。くすぐったくなったさくらは照れ隠しに質問を返す。
「本戦っていつなんですか?」
「一週間後よ」
「早っ!」
「代表選出からすぐに開催しないと、国家間での談合が起きちゃうことがあるのよ。流石にそこまでいくと面白くないじゃない?」
あくまで試合、生徒達の実力を競う場なんだから。と学園長はカラカラと笑った。
怪我人の処置が終わったらしく、さくら達の師である竜崎とクラウスの師であるジョージがようやく合流してきた。2人共嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
「さくらさんもメストも良い闘いっぷりだったよ!」
―力みがいい方向に転んでよかったな―
「『地裂』を成功させるとは、やはりクラウス君は才能ありですな!」
これまたやんややんやと褒められる。さくらの胸中には嬉しさと同時に、またもや一週間後に迫る試合への緊張が舞い戻ってきた。
と、学園長が思わぬ一言を発する。
「全員『奥の手』は見せていないみたいだし、これは楽しみね」
「えっ!?わかるんですか?」
「さっきの動きを見ていれば何か隠し玉を持っていることはわかるわよ」
なんと見ただけで見抜いたらしい、恐るべし学園長。さくらは思わず他2人を見やる。自分のは武器についている「限界突破機構」だが、クラウスだけでなくメスト先輩にも何か必殺技みたいなのがあるのか。まだまだ底知れぬこのチーム、もしかしたら本当に優勝できてしまうのかもしれない。期待が高まる。
彼女はコホンと一つ咳払い。学園長としての訓示を行った。
「その手の内を仲間に明かしても良し、味方にも内緒にして起死回生の一手としても良し。試合に協力して挑むのも個人個人で動くのも勿論有りよ。残り一週間、練習を怠らないようにね」
「「「はい!」」」
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