92 / 391
―代表戦、予選―
91話 代表戦へのお誘い
しおりを挟む
エルフの女王の取り計らいでネリー達は神樹の実をお土産に持たされていた。
とはいえ果物は鮮度が重視。本当は全部自分達で食べきりたかったが、どうせ時間が経って味が落ちるぐらいなら…と皆に配ることにした。さくらはナディやタマに、グレミリオ先生達に、メスト先輩に。更にハルムやエーリカにも渡した。公爵家といえどもエルフの国に行かなければ食べられないものらしく、彼らは目を丸くしていた。
「さくらちゃん達。ちょっと今いいかしら?」
名前を呼ばれて振り返ると、そこにいたのは学園長。
「あ、学園長! 神樹の実、如何ですか?」
「あら、頂いてしまっていいの?アリシャバージルでこれを食べられるなんて変な感じね」
学園長室横応接間。学園長が剥いてくれた実を食べながら話をすることに。
「エルフの女王様から4人にお礼状が来てるわよ。大臣を救ったんですって?」
学園長は手紙を渡す。開いてみると、先の功績を称え、今度は国賓待遇で迎えたいという旨が書かれていた。
「皆のこと、痛く気に入ったみたい。あの方がここまで言うってよほどのことよ。特にネリーちゃんがお気に入りらしいわ」
「ほへっ!?」
実を口に加えたまま驚くネリー。ごくんと飲み込んでから再度驚いた声を出した。
「な、なんで!?」
「さあ…。流石にそこまでは書いていなかったけど、私宛の手紙ではやけにネリーちゃんを推していたわよ。孫みたいだって」
お礼として金品などの高級なものを要求しなかったからか、それとも勇者にも実を分けた気遣いが幸いしたのか、とんでもない気に入られ方をしたネリーだった。
「ところで、さくらちゃん。『代表戦』に興味ない?」
「代表戦?以前学園長が仰っていた『代表生徒』って言葉に何か関係があるんですか?」
「えぇ。この時期、各国の養成施設から代表生徒を募って勝負をさせるという催しがあるのよ」
「それに、私がですか!?」
つまり、世界大会!? さくらは思わずたじろいでしまう。テニス部で出た大会も精々が地区予選止まりだったのに。しかもここは異世界、間違いなく競う内容は「武」。いくら色々と学んでいるとはいえ、いきなりそんな大場所に投げ込まれるのは…
「まずは在校生の中から代表の選出をするのだけど、その試合に参加してみない?」
良かった、流石にワンクッションあるようだ。
「ちなみにそれの開催はいつ頃に…」
「一週間後よ」
急過ぎる。碌に練習をする時間もないではないか。
「私はさくらちゃんを推薦したかったのだけれど、特待生とはいえまだ学園に来て日が浅い子を代表にするのは如何なものかって他の先生方から止められちゃって…。エルフの大臣の一件を伝えたらようやく認めてくれたのよ」
弁解するように学園長は説明してくれる。その口ぶりから察するに、決まったのはつい先程のことらしい。どうしようか迷うさくらだったが、ネリー達が後押しをしてくれた。
「さくらちゃんならいけるよ!」
「きっと勝てると思う!」
「うん、間違いない」
「勿論、無理にとは言わないわ。模擬戦とはいえ危険なのは確かだし。だけど、貴方ならきっと活躍できるわよ?」
友達から、学園長から期待を込められた視線を送られ、さくらはとうとう頷いた。
「や、やってみます!」
とはいえ果物は鮮度が重視。本当は全部自分達で食べきりたかったが、どうせ時間が経って味が落ちるぐらいなら…と皆に配ることにした。さくらはナディやタマに、グレミリオ先生達に、メスト先輩に。更にハルムやエーリカにも渡した。公爵家といえどもエルフの国に行かなければ食べられないものらしく、彼らは目を丸くしていた。
「さくらちゃん達。ちょっと今いいかしら?」
名前を呼ばれて振り返ると、そこにいたのは学園長。
「あ、学園長! 神樹の実、如何ですか?」
「あら、頂いてしまっていいの?アリシャバージルでこれを食べられるなんて変な感じね」
学園長室横応接間。学園長が剥いてくれた実を食べながら話をすることに。
「エルフの女王様から4人にお礼状が来てるわよ。大臣を救ったんですって?」
学園長は手紙を渡す。開いてみると、先の功績を称え、今度は国賓待遇で迎えたいという旨が書かれていた。
「皆のこと、痛く気に入ったみたい。あの方がここまで言うってよほどのことよ。特にネリーちゃんがお気に入りらしいわ」
「ほへっ!?」
実を口に加えたまま驚くネリー。ごくんと飲み込んでから再度驚いた声を出した。
「な、なんで!?」
「さあ…。流石にそこまでは書いていなかったけど、私宛の手紙ではやけにネリーちゃんを推していたわよ。孫みたいだって」
お礼として金品などの高級なものを要求しなかったからか、それとも勇者にも実を分けた気遣いが幸いしたのか、とんでもない気に入られ方をしたネリーだった。
「ところで、さくらちゃん。『代表戦』に興味ない?」
「代表戦?以前学園長が仰っていた『代表生徒』って言葉に何か関係があるんですか?」
「えぇ。この時期、各国の養成施設から代表生徒を募って勝負をさせるという催しがあるのよ」
「それに、私がですか!?」
つまり、世界大会!? さくらは思わずたじろいでしまう。テニス部で出た大会も精々が地区予選止まりだったのに。しかもここは異世界、間違いなく競う内容は「武」。いくら色々と学んでいるとはいえ、いきなりそんな大場所に投げ込まれるのは…
「まずは在校生の中から代表の選出をするのだけど、その試合に参加してみない?」
良かった、流石にワンクッションあるようだ。
「ちなみにそれの開催はいつ頃に…」
「一週間後よ」
急過ぎる。碌に練習をする時間もないではないか。
「私はさくらちゃんを推薦したかったのだけれど、特待生とはいえまだ学園に来て日が浅い子を代表にするのは如何なものかって他の先生方から止められちゃって…。エルフの大臣の一件を伝えたらようやく認めてくれたのよ」
弁解するように学園長は説明してくれる。その口ぶりから察するに、決まったのはつい先程のことらしい。どうしようか迷うさくらだったが、ネリー達が後押しをしてくれた。
「さくらちゃんならいけるよ!」
「きっと勝てると思う!」
「うん、間違いない」
「勿論、無理にとは言わないわ。模擬戦とはいえ危険なのは確かだし。だけど、貴方ならきっと活躍できるわよ?」
友達から、学園長から期待を込められた視線を送られ、さくらはとうとう頷いた。
「や、やってみます!」
0
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スローライフとは何なのか? のんびり建国記
久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。
ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。
だけどまあ、そんな事は夢の夢。
現実は、そんな考えを許してくれなかった。
三日と置かず、騒動は降ってくる。
基本は、いちゃこらファンタジーの予定。
そんな感じで、進みます。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる