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―はじまり―
ープロローグー
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永きにわたる、魔たるものとの戦を収めるには彼の者らが鍵となる
闇を秘めた鋭俊豪傑たる勇の者
老練にして英明果敢たる賢の者
年若く才気煥発たる巧の者
異界より来たりし伯楽一顧たる術の者
彼らを集め、希望をもって送り出せ、さすれば―
「『さすれば、必ずや魔を払い共存共栄の道を歩めるだろう』 預言者からそう聞いた王様はすぐに探し始め、自らも出向き、希望たる4人を探し集めました。そうして集められた勇者、賢者、発明家、精霊術士は王に従い、魔王討伐に出向き、見事討ち果たしました。そうしてこの世には平和が訪れたのです。めでたしめでたし。ちゃんちゃん」
王都アリシャバージル。この王都最大の特徴である、世界中の書物を集めた巨大図書館。その内部とある一角にある子供向け読み聞かせコーナーで一つの伝記絵本が読み聞かせられていた。
本が閉じられると、聞いていた子供たちからパチパチパチと拍手が上がる。次いで、感想がそこかしこから読み手に飛んできた。
「王様すごーい!兵士にお任せするだけじゃなくて自分もいったんだー!」
「ゆうしゃちゃんすごく強かったんでしょー!お母さんが言ってたもん!」
「はつめいかちゃん街のみんなにも便利なものを作ってあげたんでしょー!お父さんが使ってるよ!」
と、一人の子供がとある質問を投げかける。
「このお話はにじゅーねん?前の昔のお話なんでしょ?みんなどこにいるの?」
皆の楽しそうな感想をニコニコして聞いていた読み手の館員は優しく教える。
「みんな今も頑張っているよ。王様も皆を守っているし、勇者はいろんな街を助けてる。発明家は今もたくさん便利なものを作ってくれているよ。賢者と精霊術士は、君たちにはちょっとわかりにくいだろうけど、皆のために頑張っているよ」
時同じくして図書館内、古文書所蔵の一角。とある男性が大きなクシャミをする。
―どうした?誰かに噂されたか?―
それを耳にしたのか、とある女の声が囃すように男性に尋ねる。
「いやぁ本が埃っぽいからだな」
男性は苦笑いしつつ否定するように答える。顔をハンカチで拭いつつ、再度古文書を読み始める。
すると、遠くから一人の女性が小走りで近づいてきた。
「先生、そろそろ会議のお時間ですよ」
少し息を弾ませながら伝える女性。その様子を見て男性は窓から差し込む日を見る。太陽は高く昇り、昼間を示していた。
「あ、もうそんな時間か。ごめん、読み耽っちゃってて。わざわざありがとうね」
「もう…目ぼしい本が入るといつもこうなるんですから」
呆れる女性に、古文書を片付けつつ詫びを入れる男性。
「さ、行こうか。確か今回の議題は―」
「新しく納入された魔法道具と武器の取り扱い説明、あと一部生徒の素行問題ですね。説明してくださる業者の方は既にいらっしゃっています」
「じゃあ少し急がないとね。 走ってきて疲れたでしょう。風に運んでもらおう」
男性はそういうと、何かを詠唱する。すると、彼らの背中にだけ歩くのを手伝う風が吹き始めた。
「ありがとうございます先生。やはり流石ですね、周りの本に全く影響が出ないように調整できるとは…」
「お褒めにあずかり光栄だ」
歩きつつ、女性が不意に話を振る。
「そういえば先生、今回は見つかったんですか?『元の世界に帰る方法』は?」
「うーん…残念ながら…」
しょげこむ男性に女性は慌ててフォローをする。
「大丈夫ですよ!世界は広いんです!多分ありますよ!」
「その言葉、20年前からよく言われてるよ…」
しょぼくれる男性。と、見かねて女の声からもフォローが入る。
―そう気を落とすな、ところで、曲がり角通り過ぎてるぞ―
「「あっ」」
闇を秘めた鋭俊豪傑たる勇の者
老練にして英明果敢たる賢の者
年若く才気煥発たる巧の者
異界より来たりし伯楽一顧たる術の者
彼らを集め、希望をもって送り出せ、さすれば―
「『さすれば、必ずや魔を払い共存共栄の道を歩めるだろう』 預言者からそう聞いた王様はすぐに探し始め、自らも出向き、希望たる4人を探し集めました。そうして集められた勇者、賢者、発明家、精霊術士は王に従い、魔王討伐に出向き、見事討ち果たしました。そうしてこの世には平和が訪れたのです。めでたしめでたし。ちゃんちゃん」
王都アリシャバージル。この王都最大の特徴である、世界中の書物を集めた巨大図書館。その内部とある一角にある子供向け読み聞かせコーナーで一つの伝記絵本が読み聞かせられていた。
本が閉じられると、聞いていた子供たちからパチパチパチと拍手が上がる。次いで、感想がそこかしこから読み手に飛んできた。
「王様すごーい!兵士にお任せするだけじゃなくて自分もいったんだー!」
「ゆうしゃちゃんすごく強かったんでしょー!お母さんが言ってたもん!」
「はつめいかちゃん街のみんなにも便利なものを作ってあげたんでしょー!お父さんが使ってるよ!」
と、一人の子供がとある質問を投げかける。
「このお話はにじゅーねん?前の昔のお話なんでしょ?みんなどこにいるの?」
皆の楽しそうな感想をニコニコして聞いていた読み手の館員は優しく教える。
「みんな今も頑張っているよ。王様も皆を守っているし、勇者はいろんな街を助けてる。発明家は今もたくさん便利なものを作ってくれているよ。賢者と精霊術士は、君たちにはちょっとわかりにくいだろうけど、皆のために頑張っているよ」
時同じくして図書館内、古文書所蔵の一角。とある男性が大きなクシャミをする。
―どうした?誰かに噂されたか?―
それを耳にしたのか、とある女の声が囃すように男性に尋ねる。
「いやぁ本が埃っぽいからだな」
男性は苦笑いしつつ否定するように答える。顔をハンカチで拭いつつ、再度古文書を読み始める。
すると、遠くから一人の女性が小走りで近づいてきた。
「先生、そろそろ会議のお時間ですよ」
少し息を弾ませながら伝える女性。その様子を見て男性は窓から差し込む日を見る。太陽は高く昇り、昼間を示していた。
「あ、もうそんな時間か。ごめん、読み耽っちゃってて。わざわざありがとうね」
「もう…目ぼしい本が入るといつもこうなるんですから」
呆れる女性に、古文書を片付けつつ詫びを入れる男性。
「さ、行こうか。確か今回の議題は―」
「新しく納入された魔法道具と武器の取り扱い説明、あと一部生徒の素行問題ですね。説明してくださる業者の方は既にいらっしゃっています」
「じゃあ少し急がないとね。 走ってきて疲れたでしょう。風に運んでもらおう」
男性はそういうと、何かを詠唱する。すると、彼らの背中にだけ歩くのを手伝う風が吹き始めた。
「ありがとうございます先生。やはり流石ですね、周りの本に全く影響が出ないように調整できるとは…」
「お褒めにあずかり光栄だ」
歩きつつ、女性が不意に話を振る。
「そういえば先生、今回は見つかったんですか?『元の世界に帰る方法』は?」
「うーん…残念ながら…」
しょげこむ男性に女性は慌ててフォローをする。
「大丈夫ですよ!世界は広いんです!多分ありますよ!」
「その言葉、20年前からよく言われてるよ…」
しょぼくれる男性。と、見かねて女の声からもフォローが入る。
―そう気を落とすな、ところで、曲がり角通り過ぎてるぞ―
「「あっ」」
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