私の愛した召喚獣

Azanasi

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第四章 内政

【思惑2】

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【思惑2】

 アリエルSide
 アリエル・マルティネスは上司、ロードリック・オーズリーに久志と会ってきた事を報告していた。
 「どうかね、君の感では彼はルーカス・ハミルトンに繋がっていると思うかね?」
 「はい、100%とは言えませんが繋がっている確率は高いです、名刺は見た事もありませんし、提出した魔石が本物であれば、間違いがないと思います。」
 「うん、魔石の方の簡易的な検査はもうすぐ出るだろう。最終的には本国に送る事になるだろうけど・・・」
 
 「ふーん、つまり、何処の国との取引するかの決定権は彼が持っているって事は信じて良いのかね。」
 「えぇ、そうですね、嘘には思えませんでした。」
 「日本が彼に武器を提供すると?」
 「はい、断言した訳では無いみたいです、何とかしてみるから時間が欲しいって事みたいですね、少なくとも公式には輸出の許可は下りないでしょう。そうなると彼の求める数を得るのは難しい気がします。」
 
 ロードリックは彼にたどり着くまでの経緯を思い直していた。
 彼が海外で武器を集めている事は既に掴んでいた。当初はテロリストとしての関与を疑っていたのだが、入手方法があまりにお粗末で全くの素人に見えた、その点からテロリストや武器商人には思えなかった。
 
 その結果、数丁の自動小銃と拳銃の入手に成功した、税関で徹底的に調べたが日本国内に入手した銃を持ち込んだ形跡はなかった。
 
 倉庫に搬入されるのは大量のデジタル時計やガラス製品など日用雑貨が中心だった、不思議なのは大量に運び込まれるが、従業員が休みに為ると倉庫の物が殻になる事だった。つまり大量に運び込まれるが、倉庫から持ち出された形跡はない、ハイテク機械の搬入もない。張り込みをさせていると彼が倉庫に入って出てきた後には倉庫の中身が消えている事が分かった。
 
 そして失踪者帰還の記者会見だ、それを見て彼は異世界と関わりがあるらしいと疑うまではそう時間は掛からなかった。
 
 しかし空母に乗りたいって言う条件は何だ?、その心意は何処にあるのだ・・・
 アリエルに聞いて見る。
 「そうですね、本人が言っているように空母に乗せられるって事は少なくても政府にかなり近い人間の証明だという事にはなりますね。ただ、それだけが理由ではない気がします。」
 
 その時、誰かが入ってきて上司に耳打ちしている。
 「君があずかってきた魔石は現時点ではかなり本物の可能性が高いって事らしい。何分、比較する本物の魔石がないのでハッキリとした決断が出せないそうだ・・・ただ、間違いないのは既存の宝石や、岩石ではないらしいから本物と思って話を進めて良いだろう。」
 
 「ちょっと気になる事があるんですが?」
 「なんだね?」
 「彼が言っていたのですが、偽名を使う物とはハミルトンは絶対に取引はしないと・・」
 「彼は君が偽名だと気付いたのかね?」
 「それは分かりません、気付いたと言うよりは、映画などで活躍するエージェントは幾つものカバーを持っているからって本人は言ってましたので見抜かれたと言うよりは疑っている考えた方が良いでしょう。そもそもエージェントという事さえ信用していない気がします。」
 
 「もしかすると我々以外にも彼にアクセスしている所があるのかも知れません。」
 
 「急いだ方が良いかも知れないな、その名刺で連絡を取った後は本国へ送ろう」
 「空母の件はOKだ、日程は追って連絡する、話を進めたまえ」
 
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 □■□ リナ Side □■□
 リナは治療院で美琴の診療の手伝いをしていた。
 治療院の性格上、暇な時はとことん暇だ・・・だが忙しい時は食事する暇さえない。大抵の患者は怪我でやって来る。
 この世界の住人はあまり病気をしない、ちょっとした頭痛ぐらいは我慢するし大病だと普通に死ぬそんな世界なのだ。
 とりわけ乳幼児の死亡率は高く2割が2歳までに亡くなり成人出来るのは約半数という事情だ、そんな事情もあってか5歳までは誕生日を祝う習慣はない。
 
 リナはそんな世界の治療院で治療を手伝っていたが今日の治療院は暇だった。
 
 そんな訳で美琴さんに従者の件を聞いてみた。
 従者になるとまず、基本的には逆らえないらしい、でも逆らったからって奴隷のように死んだ利って事はないみたい。
 ルーカス様の秘密を他人に喋れなくなる、簡単には辞めれないこれが大きなデメリットらしい。
 メリットはなにがしかの魔法が使えるようになるらしい、使える魔法は自分では選べない、寿命が200年~300年ぐらいに延びる寿命の数十年前までは老化しないらしい。
 これってどう何だか?、何かきっちり長期で働けよって感じなのかなぁ・・・
 私の場合は若返る事は無さそうだけど、20前後で老化が止まるって言うのは嬉しいかも?
 でも、心残りは悠人の事なんだよねぇ、悠人は向こうで暮らすから私との接点は無くなっていく、だけど私には向こうの世界には居場所がない・・・高校中退なんかで対した仕事に就けるとは思わないし・・・現実は厳しいからなぁ・・・そもそも生活自体が出来ないし・・・
 
 □■□ 夕食 □■□
 夕食時に美琴さんからリナから相談を受けた事を聞いた・・
 
 「リナちゃん、従者になる事が条件になるけど、別にこっちの世界で無くても良いよ。」
 「えっ、それはどう言う意味ですか?」
 「うん、つまり、うちには東京にも拠点があるからそこで暮らして高校、大学と通ってからこっちに戻ってきて貰ってもいいし、何ならどこかの会社に暫く就職して経験を積んでから戻ってきても良いんだよ。もちろん、生活費や学費はうちで負担するから」
 
 「そんな事も出来るんですね、有り難う御座います、少し考えさせて下さい。」
 (いくら従者に成るって言ってもそこまで甘えて良いのかなぁ?、仮にそうしたとして悠人と一緒にいる時間は一杯作れるだろうけど、最終的にはこっちに戻ってこなきゃ行けない訳だから結果、悲しい事になりそう。それならいっそ今のうちに諦めた方がいい気もするし、悠人と高校生活や大学時代を送れたら楽しそうって思いもある。でも、楽しみが多ければ多いほど、悲しみは深くなりそうで怖い・・・)
 
 「うん、慌てる必要は無いけど、高校に復学するならあまり長期はちょっと心配かな?」
 「はい、1,2週間以内には決めたいと思っています。」
 「うん、わかった、よく考えてみてね。」
 
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 翌日早朝
 
 事前の約束通り、自衛隊の駐屯地に調査隊と茜を迎に行って来た。
 今回は、王都では無く領地の屋敷へと転移した。
 「皆さん達、7名はの面倒は彼女が見ますので何かあれば彼女に言って下さい」
 「へっ、まだ、小学生にしか見えないんだが・・・」
 アトリアを見て視察団の7人は、エスコート役が小学生みたいなので驚いている
 「彼女は見た目は小学生みたいですが、彼女にあなた方が全員で掛かっても一瞬で殺されてしまうぐらいの能力はあります。また、思考のほうも日本の小学生と思って貰っては困ります。」
 
 「私はアトリアと言います、見た目は小学生みたいでご不満かも知れませんが、ご了解頂けると助かります、身の回りのサポートはアイネムが担当しますので宜しくお願いします。」
 「アイネム、入りなさい。」
 「「「うぉーーっ、」」」、「うわっ」、「へっ」
 アイネムが入ってくると皆、ガン見して驚いている、なぜならアイネムはうさ耳の獣人だったから・・・一番大きな奇声を挙げたのは伊能警部だった。
 
 「私はアイネムと申します、種族はスノーラビット族の獣人ですが、主に皆様の身の回りのお世話を担当します。」
 伊能:(来た、ついに来たぞ!、うさ耳来た・・・仲良くなりたいなぁ、うーっ、うさ耳をもふもむしたい。行き成りやっちゃ当然不味いよな。セクハラだもんな!、でも触りたい・・触りたいよ~、絶対に仲良くなってやる。)
 
 「基本的に皆さんが見たい物、行きたい所はアトリアに言って下さい、余程問題点が無い限りは許可したいと思っています。場所が遠い場合は私が転移で連れて行きますが、通常はアトリアが案内します。」
 「こちらに滞在中は、金銭は必要ありませんが、もし、領内で買い物をされたい場合はアトリアに言って下さい、立て替えて後ほど精算して頂きます。こちらの通貨単位はルドと為っており、1ルド=1円とお考え下さい。精算の場合もその金額で精算しますので・・手持ちが無ければ、日本に戻ってからの精算でも構いませんが、分割は出来ません、信用を無くせば政府に迷惑を掛けると思って下さい。では、今日は暫く休憩された後、アトリアの方から領内の説明などを受けて下さい。」
 「では、皆様が有意義に過ごされますようお手伝いさせて頂きます。」
 
 「先程、指定した場所には固定転移魔法陣を設置してあるから使ってくれ・・」
 「アトリア、後は頼んだぞ!!」
 「はい、承りました。」
 
 俺はマルティネスからの呼び出しで東京へと転移した。
 今俺は、空母ロナルドレーガンの飛行甲板上にいる。
 東京へ転移した後、連絡すると横田基地で待ち合わせする事に横田基地へ着くと連絡機、C-2に乗せられて空母へと・・・
 
 空母に着艦すると一人の白人女性が迎えてくれた。
 「広報担当士官のエレノーラです。ロナルド・レーガンへのご乗艦を歓迎致します。艦内は私が案内しますので宜しくお願いします。」
 かなり怪しい発音の日本語で迎えてくれた。
 
 「帰る時には呼びに来ますね。」
 そう言い残すとマルティネスはどこかへと消えていった。
 
 「上官からは見たい所の希望、ありますか?」
 「あの、辛かったら英語でも構いませんけど・・・」
 「そうですか?、助かります、日本語は何とかって感じなのでちょっと怪しいです。」
 「こちらへどうぞ!」
 「篠崎様が見て回りたい所の希望はありますか?」
 「あの、Mr.もSirも要りません、Hisa とお呼び下さい。」
 「いえ、VIPにそんな訳には行きません?」
 「はぁ、私はVIPデモ何でも無いですから気軽に呼んで貰った方が良いです。」
 「分かりました、強い要望であればそれにお応えしない訳には行かないのでそうさせて頂きます。」
 
 その後、彼女に連れられて行きたくも無いのに艦長に挨拶に連れて行かれたりした。
 「他に見たい所はありますか?」
 「基本、飛行甲板しか興味が無いんですよ、別にCDCが見たいとか思ってませんし。単に飛行機が好きなんですかねぇ~」
 「私も飛行機が大好きですねぇ・・あんなに飛べたらと思います。私はパイロットではないので飛べませんけど・・・」
 「ここだけの話、戦闘機に乗りたいって言えば乗せてくれると思いますよ。望む事は全てかなえるようにと指示が出ていたみたいですから・・・もちろん、復座に限りますけどね。」
 「いや、そこまで言う気は無いですよ、単に飛ぶだけなら飛べますからね。」
 「そうなんですか~、良いですよねぇ。。わたしもらいせんす取ろうかなぁ」
 彼女は俺が自家用ライセンス持ちと思ったみたいだ・・まあ、生身で飛ぶと思う方が変だよな。
 
 戦闘機の発着艦を見ながら日本の事、彼女の故郷の事など色んな話をした。
 彼女との話はとても楽しい時間を過ごす事が出来た。
 俺はポケットから取り出す振りをしてアイテムボックスからブレスレットを取り出した。
 「今日の記念に差し上げます。」
 「うぁーっ、綺麗、良いんですか?、こんな高価な物頂いても・・・」
 「えぇ、ぜひ、嵌めてみて下さい。」
 「ちょっと、大きいかな?、えっ・・えぇーーーっ」
 「ブレスレットには自動のサイズ調整機能が付いています、外したい時には、この石とこちらのマークを指を5秒間当てて頂くとサイズが大きくなるので外せます。
  個人認証機能が付いてますので、初期化しない限り、あなた以外の人には使えません。
  このブレスレットは装飾品では無くて自動保護と体力強化の機能が付いてます。」
 「ちょっと、ジャンプしてみて下さい。」
 「ジャンプですか?、はい・・」
 
 「えぇーーーっ、彼女は壮絶に驚いていた・・」
 軽く飛んだつもりでも3m位は飛び上がっていた。
 「まあ、軽くそのくらいなら思いっきり飛べば10m位は軽いでしょう。」
 
 「ど、どうなってるんですか?」
 「はい、ブレスレットに体力強化の機能が付いてるんですよ。」
 「へぇーっ、そんなのが日本にはあるんですねぇ・・・びっくりしました。高いんじゃ内ですか、本当に貰って良いんですか?」
 
 「他に身体保護の機能がありますから・・小銃ぐらいで撃たれても平気ですよ。」
 「えぇーーっ、本当ですかぁ?、恐るべし日本の技術ですね。」
 いや、ほんとは日本とは関係ないんだけど・・・
 さっきのジャンプを見て何人かが集まってきた・・・
 
 「丁度良いですね、殴ってみて下さい、何なら銃で撃っても良いですけど・・・」
 
 「どう言う事ですか?」
 どこからかとも無くマルティネスが現れてきた。どうやらエレノーラに渡したブレスレットに興味があるようだ・・・それともブレスレットを渡したのが気に入らなかったのか?、そのどっちかだろう。
 
 帰りの連絡機の中でしっかりと聞かれた。
 「あれはどう言った物ですか?、なぜ、彼女に?、どんな機能が?」
 「対した事は無いですよ、身体の強化と身体の保護機能がついたブレスレットです、本人の魔力をすって機能します、多少魔力があるので十分でしょ。」
 「向こうの世界では魔力が少ない人、魔法の適性がないひとはああいった魔道具を使って魔法を使うそうです、いわゆる付加魔法ですね。」
 
 「向こうの世界では魔法が使えない人は皆使ってるんですか?」
 「まさか、彼女に渡したのは国宝クラスの品で向こうの世界でも売れば数百万ドルはすると思いますよ。貴族や金回りの良い商人があのブレスレットの劣化版を買うぐらいですね。あのクラスになると殆ど出回りませんので・・・」
 
 「そんな高価な物をどうして彼女にあげたんですか?」
 「はぁ、わかりきった事を・・・気に入ったからに決まってるじゃないですか?、まあ、向こうにとっては仕事で案内した客の一人かも知れませんが・・・広報担当士官とは言え軍人には違いないですからね、彼女には怪我をして欲しくないなぁ・・って思っただけです。」
 
 「そんなのが他にもあるのでしょうか?」
 「えぇ、色々ありますよ、生活用品関係から、防御用途や攻撃用と色んな用途向けの魔道具はありますね、彼女に渡したのはご想像の通り防御に特化した魔道具の神級クラスと言われています。あっ、彼女のは取り上げないで下さいね。個人認証付ですから彼女にしか使えませんし・・」
 
 「あっ、私も職業から危険が多いんですが・・」
 「そうでしょうね、大変だと思いますけど、頑張って下さい、ロビーの☆とならないように祈っております。」
 (あぁ、やっぱり私にはくれない訳ね、まあ、くれるとは思ってなかったけど・・・好印象を得られなかったのはエージェントとしてはまだまだって所なのかしら・・・)
 
 「所で空母に乗る事自体、目的で無かったようですね。やはり身元の確認ですか?」
 「いえ、いえ、空母は楽しかったですよ、エレノーラにもあえましたし・・・」
 「そうですか、それは良かったです、お約束は・・・」
 「えぇ、ちゃんと守りますよ。いつでもお呼び出し下さい。」
 
 そう話をしているうちに横田基地に連絡機は着陸した。。。
 別れ際にこちらが必要とするリストを渡した・・
 
 「アデライン・ディビスさん、これがこちらの希望する火器のリストです、検討してご連絡下さい。次回お会いする時には約束通りルーカス・ハミルトンが来ます。」
 「では、上司のオーズリー氏にも宜しくお伝え下さい。」
 
 「えっ、私のなまえ・・・」
 俺はにこっと笑ってその場を立ち去った。。

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