私の愛した召喚獣

Azanasi

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第四章 内政

【会談1】

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【会談1】

 悠人の父親との約束通り、3日後の朝、悠人の自宅のリビングへと転移して来た。
 「おはよう御座います。」

 「おはよう御座います。、来られると分かっていてもやっぱり驚きますね。」

 「今日はお仕事は良かったんですか?」
 「はい、こんな大事なときに仕事なんていってられせん、念のために明後日まで有給を取ってます。それより家内は?」

 「それがですねぇ、まだ、帰れないの一点張りで・・・私では埒があかないので悠人君に来て貰って説得して貰おうかと思ってるんですが・・・」

 「はぁ、また、なんでそんな事になってるんですか?」
 「実は悠人君のお母さんは魔法を使えるようになりまして・・・うちの領内の治療院で治療をされていたんですが、今朝に成って突然、今日は帰れませんの一点張りで。..どうした物かと・・・」
 
 「今日連れて帰る約束だったので・・・まあ、ご主人のご了解が得られれば無理矢理にでも引きずってきますが・・・」
 
 「はぁーーーっ」
 (また始まったか、彼奴は何時もそうだ、自分で勝手に決めたらてこでも動かない。..)
 「もう、良いです。落ち着いたら帰るというでしょう、その時の送って頂けますか?」
 
 「はい、それはもちろんです。」
 
 「母さん、魔法が使えるようになったんですか?」
 「そうだよ、色々と使えるが回復魔法が得意で病気の人や怪我した人を直してるよ、領民からは聖女様と言われてあがめられてるぞ!!」
 
 「凄いね・・・ネ、父さん、母さん凄いよね」
 (はぁ、成る程ね、妻が帰らないという訳がわかった気がする、こりゃ、適当なところで迎えに行かないと当分帰ってこない気がする。)
 
 「かあさんすごいなぁ~・・いいなぁ・・・」
 悠人はうらやましさと誇らしさが一緒になって何とも言えない気分みたいだ・・
 
 「所で他の生徒さんの様子はどうですか?」
 「皆元気ですよ、実は今日、一人ぐらい連れて来ようかと思ったんですが、全員が自分は最後でいいと言って聞かないものですから・・・一人で来ました。」
 
 「へぇ・・・皆我、先にと帰りたがっていたのに変われば変わったもんだね」
 「リナさんは剣術の稽古に励みながら合間に悠人君のお母さんの手伝いをして居るし、未来ちゃんは領都の書庫に入り浸りで。..信二君は領都の屋台を制覇するまでは帰らないって言ってる。」
 
 「あはぁ、彼奴ららしいや・・」
 
 「まあ、3人については帰す、段取りも付いてなかったですし、あえて無理には連れてきませんでしたからね。」
 
 「所で此方の状況はどうです。」
 「はい、上手くいっています、政府は〇〇高校失踪者帰還支援対策本部を立ち上げました。国としてルーカス殿に謝罪し、支援を要請すると言うことになっています。ただ、私の方が今日、お見えになることは話していませんので、その辺はお考えがあるのでしたら日を改めても構いませんが・・・」
 
 「いえ、折角来たので今日からでも私は構いませんが・・・」
 「では、行きましょうか?、私がお送りしますので・・・」
 
 「あっ、ちょっと待って、父さんも一緒に行くんだよね。」
 「あぁ、そうだよ、父さんは一応、失踪者保護者会の会長だしね」
 
 「ルーカスさん、どうせ遅くなるだろうから俺、異世界に一旦連れてって貰えないかなぁ・・・母さんとも話してみたいし。」
 「あぁ、構わないけど・・・母さんじゃなくてリナちゃんの間違いじゃないのか?」
 
 「ちがうって。。。もう・・」
 顔を赤くしてほっぺたを照れ隠しにわざと膨らましている。
 
 「はは、ふくれるな、そのままで良いだろう、」
 
 「もち、OK!!」
 
 「ちょっと待ってて下さい。すぐに戻ります。」
 
 5分ほどして戻ってきた。
 
 「すいません、お待たせしました。悠人君は母親がいる治療院に送ってきました。」
 「なんか、隣の部屋にでも行く感じですね。」
 「はは、まあ、転移には距離は関係有りませんからね。」
 
 悠人の父親と車での移動となった。
 行先は何処になりますか?、千葉の自衛隊の駐屯地になります、自衛隊の敷地ならマスコミも入って来れないので都合が良いんでしょう。
 
 「先程言った様に政府は〇〇高校失踪者帰還支援対策本部を立ち上げました、警察だけでなく自衛隊、公安、省庁まで絡んできたのはあの転移魔石の効果だと思いますね、もしかすると政府は子供よりそちらを優先に考えてる節があります。
 
 悠人の父親は対策本部に電話して今から行くことを告げた。..到着は約2時間半後と・・・
 さぁ、出発しましょうか?
 「ちょっと待って下さい、時間と場所が分かれば・・・」
 「基地横の人気のない外周路に付いた。」
 
 「お、おどろきました・・・けど、もし、転移したところに車とかが走ってたらどうなるんです?」
 (突然、目の前の車が来たりした終わりだよな・・・)
 
 「そうならないように先に視線だけ飛ばして周囲を確認してから転移してますから大丈夫ですよ。」
 「はぁ、そんな事も出来るんですかぁ・・・驚きです。」
 「さぁ、行きましょうか?」
 「えぇ。。」
 
 門の所で守衛に用件を話すと中に入ったところで結構な時間待たされた所でようやく室内へと案内された。
 
 室内には男性3名と女性1名がいた。
 「県警の菅原です、同じく相先です。文部科学省の須藤茜です。」
 「私はイルメニア王国ファンテーヌ領、辺境伯のルーカス・ハミルトン・ファンテーヌです。」
 自己紹介してきたので此方もさしあたりのない自己紹介をして置いた。
 
 「此度は県警の不手際で大変ご迷惑をおかけしましたことを謝罪します。」
 そう言って全員で頭を下げてきた。
 
 「分かりました、ここでごねても話は進まないので謝罪を受け入れます。」
 「申し訳ない、配慮感謝します。」
 
 「所で保護されている3名の生徒はまだ保護下にありますか?」
 「えぇ、元気にしてますよ、各自思い思いの事をやっているようです。」
 
 「一時はイスパニアに強制送還しようと思いましたが、相馬殿の奥方に嘆願されましてね、思いとどまった次第です。」
 「では、こちらに送還して頂けますか?、もちろん罰金等は此方で払います。」
 
 「此方で払うとはどういう意味でしょうか?、国もしくは警察なりが立て替えると言う事ですか?」
 「いえ、国から支払います。保護者に請求することはありません。」
 「そう言う事なら罰金50万+送還料10万で60万、3人分だと180万になります、支払いは鉄の現物で支払って欲しいのですが・・・日本円を受け取っても仕方有りませんし・・・」
 
 「それは構いませんが金とかの方が良くないですか?」
 「私の世界では鉄の製錬技術が進んでいませんので・・鉄の方が有り難いですね、金は正直なところ余ってます、余剰がありすぎて流通規制を掛けてる位ですから・・・」
 
 「では、子供達はお返ししましょう、今連れてきますか?」
 「・・・」
 おい、受け入れ体勢はどうなってる?、いや、今日の今日、帰るなんて話になるとは思ってなかったので保護者には連絡出来てませんよ。
 小声でやり取りしてるつもりなのか、あせってるのか丸聞こえの状態だ・・・・女性の人が苦笑いしている。
 
 「じゃ、鉄が準備できてからと言うことにしますか?、何日ぐらいかかりますか?」
 「えっ、ちょっとお待ち下さい。調べて来ます。」
 そう言って一人の男性が席を立った。
 
 「えぇ・・此方にいる須藤茜ですが、今後、やり取りの窓口に成りますのでよろしくおねがします。」
 「須藤茜です。今後、ルーカスさんの担当となりましたので宜しくお願いします。」
 
 「行き成りファーストネームですか?、まあ、いいですけど、」
 「す、し、失礼しました。あまり外国の方をお呼びする機会がなくて、あの日本人の場合は名前がいえ、家名が先でして・・あのう、すいません。」
 須藤茜かぁ・・冗談で指摘しただけなんだけど、面白いようにパニクってくれて有り難う。
 
 「冗談ですよ、ルーカスで構いませんよ。むしろハミルトンなんて呼ぶ人はいませんから・・」
 「ほんとうにすいません・・」
 
 「気になさらずに、冗談で言っただけですから・・・反応が面白かったですよ。」
 「ひどいです・・・」
 彼女は涙目だ・・・
 
 「ただ、我が世界に来られる際は気を付けて頂かないと貴族に対して初対面でファーストネームで呼べば不敬罪に当たります、相手次第では切り捨て御免がまかり通ってる世界です。」
 ちょっと脅かした・・余程馬鹿な貴族じゃ無い限り、殺されはしないと思う。多分・・・
 
 「所で、彼女が窓口なのは理解しましたが、私は残り3人を連れてきて鉄を受け取ったら役目は終わりでは・・・窓口が必要な理由が分かりませんが・・・」
 
 「それが残りの115名の失踪者の帰還についてもご相談に乗って貰いたいと思いますので、お願い出来ませんでしょうか?」
 「相談にはのれますが、連れて来いって言うのは難しいですよ。うちの領内に入れば保護出来ますけどね。」
 
 「おい、あんた、あんたらの世界が勝手に誘拐しておいて、自分は知れないなどと無責任なことを言うのか?、まだ、子供なんだぞ!!」
 もう一人いた男、確か相先慎也とか言ったな・・見事なまでに恫喝してきた・・・まるで戦前の特高のつもりなのか?、余程偉いと見える。
 
 「ふん、子犬ほど良く吠えるな・・・」
 陸自の隊員は呆れた顔をしている。省の茜はどうして良いのか判らずにおろおろとしている。
 
 「な、な、なにをーっ、貴様、その腐った根性たたき直してやる」
 そう言って拳を振り上げて立ち上がった!
 
 「ほぉっ、その振り上げた拳はどうするつもりだ・・・あぁ・・」
 俺は威圧をある程度あげた・・・
 
 立ち上がっていた、男はガタガタとふるえだし・・・床に黄金色のシミが広がっていく。
 ぐらついたかと思うとそのまま倒れて気を失った。
 すぐさま、2人自衛隊員が入ってきて回収していった。
 
 「はぁ、情けない奴、度胸も何もない木っ端役人が・・・悠人の方がまだ何倍もましだったぞ!」
 
 「部下が大変申し訳ない、後で言って聞かせますのでご容赦下さい。」
 上司の菅原警視正がテーブルに頭をこすり付けている。
 
 「いやはや、県警さんはこの場が外交の場と認識しておられないようだ・・」
 「辺境伯に喧嘩を売るとは、イルメニア王国への宣戦布告と取られても仕方ないですよ。」
 確か、陸自の橋本3佐だった・・陸自の方が理解しているようだ・・・県警は謝罪はしたものの上から目線なのは変わりないな。」
 
 「佐川殿、今の相先殿の発言と行動は我が国への宣戦布告と受け止め国王へ報告いたします。会見はこれで打ち切りですね。」
 
 「相馬殿、この様な状況ではお役に立てません、申し訳ないです。帰りましょう。」
 そう、言い残すと俺は席を立った。
 「お、お待ち下さい・・・」、「そこを何とか・・・」
 
 引き留められるのを無視して、その場を立ち去り車を止めた駐車場へと向かう。
 「ルーカスさん本当に日本と戦争に・・・?」
 「そうですね、陛下に報告すればそうなるでしょう、私達の国からすれば日本の技術力は魅力ですからね」
 
 「そんなぁ・・・」
 
 「心配しなくても良いですよ、陛下に報告するつもりはありませんから・・・」
 「脅かさないで下さいよ・・・」
 
 駐車場に着くと須藤茜がいた。
 「お願いです、考え直して貰えませんか?、私崖っぷちなんです。」
 「今回の事が駄目になったら・・駄目になったら責任取らされて首なんです。」
 俺は相馬さんの方を見た。...
 
 「ルーカスさん、日本とはそう言う社会なんです、日本側の責任で会談が流れたらあの場にいた全員が責任を取らされるでしょうね。そう言う仕組みなんですよ。」
 
 「はぁ・・厄介なことだ。」
 
 「お願いします、会談に戻って下さい、お願いします、何でもします。私で出来ることなら何でもしますから・・・お願いです。」
 
 「分かりました、缶コーヒーでも買ってきて下さい。気分を鎮めます。」
 「はい」
 茜はもう、最速力で走って行った。
 
 「相馬さん、私、実は怒ってはいないんですよ。ま、利用してやろうと思ったのは確かですけどね。」
 「はい、そうだと思ってました。」
 相馬さんはそう言って笑う。確かに気づいていたのだろう、相馬さんは俺を引き留めようとはしなかったから・・・単に時間を空けて自分に有利な方向へ持って行きたいというのを気づいていたのだと思う。
 
 。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。
 日本側
 
 「一応、管轄と言うことで任せたが、お前ら何やってんだ・・・あぁ、助けた貰う相手になに、喧嘩ふっかけてれるんだ・・・どうするつもりだ・・・最悪戦争とか成ったらどう責任を取る?」
 公安の山崎が警察の二人を正座させて怒鳴りつけている。
 
 「陸自さん、最悪戦争とかなったらどうなる?勝てるのか?」
 「正直わかりませんな?、相手の戦力が全く分からないですから・・・ただ、言えるのは向こうからは攻撃が出来ても此方から相手の国への攻撃は出来ないって事ははっきりとしてますね。」
 
 「とにかく上に報告を上げないと・・・ハァ・・・こりゃ良くても左遷、最悪懲戒免職だな。」
 
 「それより協力関係集結の握手の為に特命担当大臣が来られるのでは・・・」
 「あぁーーーっ、そうだった。..」
 当初はだれが担当するか揉めて県知事の案もあったが辺境伯と言うことで大臣が適当だろうと言うことで特命担当大臣に落ち着いたのだった・・・
 無論、終わった頃にやって来て握手する場面を放映しての人気取りの為だ・・・
 
 「特命担当大臣がお見えになりました・・・」
 特命担当大臣が入ってきた・・・・
 中の様子を見て・・・大臣は呆然と立ち尽くしている
 
 「これは言ったどういう状況なのですか?」
 公安の山崎が状況を説明した。
 
 握手シーンの収録の為に来ていたTVクルーが聞いていた・・・
 「大変だ、急げ・・見出しは”県警、辺境伯を恫喝の上、暴行未遂!!、開戦か!!」
 「TVクルーは慌てて掛けだしていった。」
 あっ、ちょっと待て・・・秘書がTVクルーを追いかけていく・・・
 
 「はぁーーっ、なんて事をしてくれたんだ・・・」
 「宣戦布告だと・・・何考えてるんだ・・・バカモンが・・」
 大臣は相当、頭にきたようで正座している警官を容赦なく蹴りつけている・・・
 
 「そうだ、大変だ、おい、急いで帰るぞ!」
 大臣は慌てて出て行った。
 
 。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。
 
 コーヒーお持ちしました。
 「好み分からなかったので何種類か買ってきました。お好きなのをどうぞ!!」
 「じゃ遠慮なく、カフェオレで・・・」
 
 「も、戻ってくれますよね。」
 「わかったよ、これ飲んだらね・・・」
 
 「すいません、私、辺境伯って良く分かんないんですが偉いんですか?」
 「日本で言うと県知事に近いかも知れないね。」
 
 「まあ、僕の国で言うで順番で言うと王族、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵となるけど、実際の権力で言えば事実上は2番目になるかな」
 「へぇ、偉いんですねぇ、伯爵とかと何が違うんですか?」
 
 「一番大きなのは独自の軍を持ってるって事かな?、後、独立国並みの権限があるってことか」
 「へぇーっ、強いんですか?、うん、国の軍より強いよ・・辺境伯って言うのは基本的に隣国との国境にある国だから一番に戦うことになるからね、でも、友好国との間には辺境伯はいない、基本敵対しているか、仮想敵国の場合に辺境伯を置くことになってる。」
 
 「国の軍より強いって不味いんじゃ無いですか?、その気になれば・・・」
 「そうだね、だから国王に信頼されている人間しか成れないとも言えるね。」
 
 「もし、ですよ、もしも日本と戦争したら勝てると思いますか?」
 「うん、僕一人でも勝てると思うよ。皆殺しで良ければね・・・民間人の犠牲を最小限にって成ると僕の軍隊を出さないと無理かなぁ・・・」
 
 「えーーっ、そんなに強いんですか?」
 「僕の世界は科学は遅れてるけど魔法は発達してるから・・特に僕や僕の主要メンバー強いから、ちなみ僕より強い女性もいるよ。」
 
 「宇宙に浮いてる人工衛星を落としてもおもしろいと思うし・・・隕石でも良いな、あぁ、でも大きさを間違えたら地球自体が滅んじゃうね。あははは・・」
 
 「笑い事じゃ有りません、そんなことしてはいけません・・・」
 怒られた。
 
 「さぁ、コーヒーも飲んだし、茜ちゃんに免じて戻るとしますか?」
 「はい」
 「相馬さん、すいませんもう一度、お付き合い下さい。」
 「はい、良いですよ。」
 
 
 

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