私の愛した召喚獣

Azanasi

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第四章 内政

脱走した転移者3

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【脱走した転移者3】

 本当に帰れるんだろうか・・・金払えば日本まで・・・帰してくれるって・・・
 運賃が10万・・・安いよね、うん、安い、東京からNYだって普通に乗れば10万で異世界から日本、とっても安い気がする。悠人はそんなことを考えていた。.

 「あのう、本当に帰れるんでしょうか?」
 「あぁ、嘘ついても仕方ないでしょ。」
 
 「さっきは、王城には魔方陣はないと・・・言われたと思いますけど・・・」
 「あぁ、ないよ。ないけど、俺は転移魔法が使えてね、日本と異世界間を行き来出来るんだ・・・」
 
 「・・・・・・・」
 (な、何なんだ・・・この脱力感・・・もう帰れないと思ってたのに、こんなに安直に金さえ出せば帰れるなんて・・・駄目だ・・・もう立てない、立ちなおれないかも知れない・・・)
 
 「あのう、うちもそれくらいの金は出してくれると思うんですけど・・・・」
 (うちの家に限らず皆の家だって、60万ぐらいで帰れるなら払ってくれるはず・・・いや、そもそも学校側が出す費用じゃないか?、駄目だ・・仮にそうでも直ぐには出さないだろうからやっぱり取り敢えずは家だな。.最悪、自分の貯金って手もあるけど・・他の皆が持ってるとは限らないし・)
 
 「駄目だね、それは親を当てにしてって事だろう。日本ではどうか知らないがこっちでは15歳で成人なんだ、成人したら親とは別と見なされるから駄目だね。」
 
 「どうしても駄目ですか?」
 「駄目だ、まあ、そこまで言うのなら彼女を送ったついでに君の親に打診しても良いよ。出してくれるのなら送っていくけどね。」
 
 「分かりました。」
 「リナ、リナは貯金ある?」
 
 「貯金は20万にちょっと足りないぐらいしかないわ、60万にはとても足りないわ」
 「俺は110以上はある、合わせれば2人分はあるよね。」
 
 「いいの?」
 「もちろんだよ、他の皆は貯金はある?」
 
 「・・・・・」
 「おれ・・・旅行で使って・・・ない・・・」
 
 ジェシカがやって来た・・・
 「ジェシカ、こっちの彼女を出してあげて・・・部屋を用意してあげてくれ・・・それから服、替えの下着も出してあげて・・・」
 
 「ず、随分待遇が違うんですね。まだ、彼女も払った訳ではないのに・・・」
 「あぁ、でも、俺と契約したからね・・・ここからは犯罪者ではなく客として扱うよ。もちろん、破れば・・・聞かない方が良いけどね。..」
 悠人:(怖い・・・この人の笑顔は怖すぎる・・・・もし、約束を破ったらどうなるんだろう・・考えただけでも恐ろしい気がする。恐らく楽には死ねないよね・・)
 
 「ところで、君と君の彼女?、はどうするのかな?」
 「か、彼女じゃ・・・幼なじみです・・・」
 悠人とリナなお互い顔を見合わせて真っ赤になっている・・・
 (いいねぇ・・・青春だねぇ・・・・ふふっ)
 
 「リナどうする?、僕らだけなら貯金で何とかなるよ」
 「うーん、帰りたい、帰りたいけどここまで連れてきた責任もあるし私は残る、だから悠人は帰って皆の親に連絡して・・・お願い・・」
 
 「じゃ、僕も残るよ」
 「駄目、駄目よ、悠人が話した方が良いわ、会ったこともない領主様が行き成り言っても、下手すると誘拐犯だと拗れたりする可能性があるわ、お願い悠人にしか頼めないの・・・」
 
 「ん・・・っ、分かったよ、必ず、説得してまた戻ってくるからね・・・」
 
 「すいません、そう言う事で僕も自分の貯金があるのでそれでお支払いします。」
 「いいだろう、きみも出て良いよ。ジェシカ・・・かれも」
 
 「すいません、お願いがあります。僕の責任に置いて保証しますので、僕が戻ってくるまで待遇は同じにして頂けませんか?」
 
 「んーーーっ、ま、良いだろう。だがこれも契約だ・・・破ったら分かってるな。」
 「はい」
 (分かってます、怖いです。伝わってくる気配が凄く怖いです。足ががくがくしてます。でも、彼女の手前頑張ってますよ。ほんとはちびりそうです。.)
 
 「ジェシカ、そう言う事だから皆出してあげて・・・部屋は二人部屋でいいね。」
 「はい、構いません。」
 (ふう、何とかなったな、客扱いなら大丈夫だろう、冷たい石の上で寝かされる事もないだろうし・・・)
 
 「みんな、部屋に入る前に風呂に入って着替えて欲しい・・・そのままじゃ、大変だ・・・」
 「今着てる服は洗濯させるからそのままおいておくように・・・」
 
 「はい・・」
 (へぇ、風呂があるんだ・・・考えてみれば3ヶ月近く風呂入ってないな・・・これでベッドとか迷惑極まりないよな・・確かに・・・)
 
 全員を牢からだして、客扱いとする事にした・・・
 「ソフィー俺は陛下の処へちょっと行ってくるから後を頼んだぞ!!」
 
 ゚*。*☆*。*゚*。*☆*。*゚*。*☆*。*゚*。*☆*。*゚*。*☆*。*
 王城
 
 王城にある部屋に来ていた、陛下の来るのを待ってる状態だ・・・
 程なくして陛下と宰相がやって来た・・・
 
 「勇者召喚の数名を保護したとは本当か?」
 「はい、男2名、女3名の合計5名を当屋敷にて保護しております。」
 「して、人数や目的は分かったのだな?」
 
 「はい、目的は我が国への進攻です、王城内に帰還の魔方陣があると吹き込まれて信じさせられているようです。」
 「やはりそうかぁ・・・うーん、面倒なことになりそうだなぁ・・・」
 
 「して、その保護しておる者達は斥候の可能性はないのか?」
 「ないですね、スキル無しとして外された模様でその内の5人が王女のことがどう考えてもおかしいと、召喚された当日に逃げ出して来たもようです。ラマー平原に入ったところで保護しましたが、その際、イスパニアの道案内を連れておりましたので念のためその場で切り捨てました。」
 
 「うむ、適切な判断だ・・もし、イスパニア王家と関係有れば情報が漏れるからな・・・」
 (適切な判断だが、容赦ないのう、もしかしたら本当に只のガイドだったかも知れないだが、万が一を考えると帰す訳にもいかんしな・・・)
 
 「保護している5名は解放するのも何ですので国に帰そうと思っております。形式上、密入国により罰金刑で済ますつもりです。」
 
 「それは構わんが・・・別に密入国に問わなくても良いだろう、同郷の民じゃろうて・・・」
 「同郷だろうが何だろうが、密入国には変わりはありません、同郷だからと例外をつくる訳には行きません、只、彼らはこの国の金を持っておりませんので彼らの国から罰金は回収してこようと思っております」
 「そちがそう言うのならそれでも構わんが・・・」
 (同郷の民じゃろうて、罪人にせんでも送り返せば良いが、此奴の容赦ないのは今始まったことでもないしの・・・)
 
 「恐らく攻めてくるまで1年もないだろう、早急に各関係者を集めて協議をせねばな・・・今回は真にご苦労だった・・・」
 「有り難きお言葉・・・悼みいります。」
 
 ゚*。*☆*。*゚*。*☆*。*゚*。*☆*。*゚*。*☆*。*゚*。*☆*。*
 その頃、屋敷では・・・
 
 牢から出された5人は風呂に浸かってリラックスしていた・・・
 「はぁ~、やっぱりお風呂ねぇ・・・日本人って感じるわ・・・・・」
 
 「リナ、あんた何、洗濯してるのよ、脱いだのはそのままにして置けって言われたじゃ無い・・・」
 「うん、だけど恥ずかしいし、下着ぐらいは洗っておこうかなぁって・・・」
 
 「別に良いんじゃない、洗ってくれるって言うんだもの、別に領主が洗う訳じゃないでしょ、領主が洗うって言うならキモいから自分で洗うけど、どうせ、メイドが洗うだろうし・・・」
 未来はそう言いながらケラケラと笑っていた・・・・
 
 「ねぇ、お風呂に入るときにメイドさんからブラのサイズ聞かれたわよね、あれって、サイズがそろってるって事かなぁ・・・」
 「うーん、ランジェリーショップじゃないんだからメイドさん達の私物の買い置きで近いものをって事じゃないの?」
 「そうよねぇ・・・」
 
 しかし女性3人組が風呂から上がってみると、脱いでいた服はなく新しい服が置かれていた・・・下着は事前に申告したサイズのが用意されていた・・・・
 
 「ねぇ、ちょっと驚きよねぇ・・・なんで全てのサイズがあるの?」
 未来は驚くと言うよりはちょっと不気味さを感じていた。.
 
 「ま、気にしないで良いんじゃない、折角のご厚意ですもの、有り難く使わせて貰いましょう。」
 「そうねぇ・・・」
 
 「えへへっ、あの領主、帰るときは下着は生脱ぎで帰せなんて言ってきたらどうする?」
 未来はリナをからかうように行ってきた。
 
 「私はそんな人には見えなかったけどなぁ・・・」
 リナは領主に対してそう悪い印象は持っていなかったちょっと意地悪なところはあるけれど基本的には優しい人だと思っていた。
 (実は領主は未来の言った通りに近いが違うのは、生脱ぎしろとは言えない根性無しって言うのが正解だった)
 
 
 男性陣はとっくに風呂から上がって部屋でくつろいで居た・・・
 部屋は特に豪華って訳では無いがベッドに清潔なシーツと机、ソファーがそろっていた。簡素だが宿泊するには何の不自由もない造りになっていた・・
 
 「お食事の用意が出来ました。置くの左角の部屋にご用意してありますのでお召し上がり下さい。」
 「お替わりは可能ですのでご自分でよそって下さいますようお願いします。」
 
 悠人達が昼食が用意されている部屋にいくとカレーとサラダが用意されていた・・・
 「オーーッ、カレーだ・・・随分懐かしく感じるなぁ・・・」
 「うん、うん、お米よねぇ・・・」
 
 「こっちに来てカレーが食べれるとは思わなかったわ、感激・・・」
 「さぁ、食べましょう・・・」
 
 おっ、スプーンだけでなくハシも用意されてるなんて良いねぇ・・・
 
 「う、うまい、」、「うん、美味しい・・・・」
 「ねぇ、これってハ〇スの〇〇〇カレーじゃない?」
 
 「いや、異世界にそれはないんじゃないかなぁ・・・」
 「でも、味がそっくり・・・」
 (それもそのはずだった。カレールーも米も日本産だったからなじみ有るはずなのだ・・・)
 
 みな、久しぶりのカレーにはしゃぎながらがっついて食べている。.
 男性陣はしっかりとお替わりしていた・・・
 
 
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