私の愛した召喚獣

Azanasi

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第三章 領地改革

【アトリアの母4】

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【アトリアの母4】

 えっ、ここは何処?
 辺りを見回してみると普通の部屋だけどちょっと雰囲気がちがう。
 
 王都の自宅へと転移してきた。
 恵さんと留美は辺りをきょろきょろと見回している。まぁ、一瞬で風景が変わるんだから初めての時はびっくりするのが当たり前なんだけど・・・
  
 留美よりも恵さんの方が驚いているようだ・・・
 
 留美:これが転移魔法なんですねぇ・・うん、ファンタジーで素敵です。
 あう、あぁ。恵さんにとってはかなりショックだったようだ。
 「あのう、もしかして先輩ですか?」
  
 「あぁ、驚いただろう、こっちでの姿はこういう風に変えてるんだ、その方が違和感がないだろう、こっちでは黒目、黒髪は殆ど居ないので色々と目立ちやすいんだ・・・留美も好みがあれば変えてやるぞ!」
 「そんな事出来るんですか?、」
 「あぁ、後で会えると思うが、奈津や愛彩も見た目はこっちの人間だが、純粋な日本人だぞ」
 
 「じゃ、金髪碧眼でお願いします。」
 「わかった、夜にでもかえてやるから・・・」
  
 「はい・・・」
 (金髪、碧眼、うふっ、あこがれてたんだぁ・・・あっ、でも私の顔に金髪は似合うかしら茶髪にブラウンの目が無難な気もするなぁ・・・でも、金髪碧眼で縦ロールは素敵だわぁ・・・)
 
 「お帰りなさい~ルーカス様、お帰りなさいませ、ルーカス様」
 「あぁ、今戻ったよ。」
 ソフィーとメイドのジェシカが出迎えてくれた。俺が転移で戻ってくる時は必ずソフィーは出迎えてくれる
  
 「ルーカス様、お連れの方は?」
 「皆がいる時にちゃんと紹介するけどこちらは恵さんアトリアのお母さんで病気治療のために連れてきた。そしてこちらが留美向こうの世界の最後の眷属になる。
  
 「皆いるか?」
 「奈津さんと愛彩さんは領地へと行かれています。夕方には戻られると思います。」
  
 「まあ、そうだろうな・・・」
 「彼女らの事だ領地の事で頭がいっぱいなんだろう、人手も全然足りてないからな・・・
 
 「疲れただろう、部屋を用意するからそれまでリビングで待機してくれ・・・、それと恵さんは治療を行うのでジェシカ、客間に案内してやってくれ・・・」
 
 「はい、こちらへどうぞ!!」
 ジェシカが恵さんを客間へと案内していく・・・
 最高位の回復薬エリクサーを使わなくても俺が直した方が早いんだけど、最高難易度の回復魔法ならフェンリルになる必要があるし、裸にするのも差し控えた方が良いだろうからやっぱりエリクサーをつかうか・・・
 
 俺が客間に入ると恵さんはベッドに腰掛けていた。俺が入ってきたのを確認したジェシカはお水をお持ちしますと言って部屋を出て行った。
 俺はアイテムボックスからエリクサーを取り出し。
 「味は期待出来ませんが、効果は期待出来ますので飲んで下さい。」
 そう言って透明の瓶に入った碧色のエリクサーを手渡した。
 
 彼女は回復薬は2度目と言う事も会って躊躇う事なく飲み干した。
 「あっ、あぅ・・・・」
 彼女の体は淡く光を放ちだしその光は段々と強くなっていった。
 光の強さが最高になった後は、急速に光は消えていった。
 
 「如何ですか?」
 「はい、おかげさまですっかり良くなった気がします。有り難う御座いました。」
 恵はベッド上に精査して深々と頭を下げた。
  
 (本当になんかからだがすっきとした気がする。最初の時は元々の状態が酷かったから効果の性素尾買ったので今回はそれほどの差は感じないけれど、なんか今でも直ぐに走れそう。)
 
 「姿まで変わるなんて本当に驚きました。」
 「郷に入れば郷に従えと言いますから、こっちに会わせているだけですよ。」
 
 「では、色々とお疲れでしょうから少し横になられて休まれると良いですよ。」
 俺はそう告げて、部屋を出た。
 丁度入れ帰りにジェシカが水とお茶を用意して来たようだ・・・
 
 「ルーカス様?、うん、彼女を頼むよ。」
 「はい、承りました。」
 
 「お水です。どうぞ!!」
 「はい、頂きます。氷が入っていて冷たくて美味しいです。」
 
 「そちらでは珍しくないと伺ってますが・・・」
  
 「えぇ・・普通にありますね、ただ、こちらでは文化のレベルがちがうって聞いて増したので普通の水かと思ってました、すいません、別に馬鹿にしている訳ではないんですが・・・」
 
 「いいんですよ、その通りですから・・・氷が入った水なんてこちらでは貴族でも簡単には飲む事は出来ませんから・・この屋敷ではふつうに飲めますけどね。」
  
 「この屋敷のレベルと外は全く別な物とお考えになった方が宜しいかと思いますよ。」
  
 「はぁ、そうなんですかぁ・・」
 恵はこちらの世界が中世ヨーロッパと聞いていたから氷水が出てくるとは夢にも思っていなかった、こちらと向こうの世界を行き来出来る彼がいれば造作もない事なのかも知れないけど・・・
 
 「でも、ちぐはぐですよねぇ・・・」
 「えっ、何がですか?」
 
 「だってぇ、氷水が普通に飲めないと言いながらも向こうの世界では私のように治らない病気ですら簡単に治ってしまうのはやっぱり不思議です。」
 
 「「「簡単に?」」」
 「恵様はこちらの世界で暮らされる訳ではないので事情を知る必要もないと思いますので詳しくは申し上げませんが・・そんな簡単と言う訳ではないんですよ」
 
 「ど、どういう事でしょうか?」
 恵はこっちの世界では魔法薬を飲みさえすればどんな病気や怪我だって治ると聞いていた。ただ、その値段や希少性に着いて考えが及ばなくても仕方ないだろう。
 
 「先程飲まれたお薬はエリクサーと言う魔法薬です。これはこの一国のですら容易には手に入りません、それほど貴重な魔法薬なんです。恵様のお国の価値にすると数億円以上です。その金額を出してもなかなか入手困難な薬ですから一般庶民にとっては治療薬なんてないものと同じです。
 時にオークションにて出回る事もありますが、価格は通常の数倍にも跳ね上がるのが普通です。」
 
 「えっ」
  
 恵は思わず絶句してしまった。
 (数億円なんて払えないわ、一生掛かってもはらえない。ど、どうしてそんな秘薬を普通のドリンクでも渡すようにくれたのだろう、どうして・・・・)
 恵は自分にそんな高価な薬を使われた意味が分からなかった。
 
 「あのう、どうしてそんな薬を使われたのでしょうか?」
 「想像ですが、アトリア様のお母様だからではないですか?、そしてアトリア様がお母様の回復を望まれた。それ以外に理由はないと思いますよ。」
 
 「だからといってそんな高価な物、とても払えないって分かってるはずなのに・・・」
  
 「払ってもらおうなんて考えておられないと思いますよ。そもそも高価な薬を使わずともルーカス様ご自身が回復魔法をお持ちですから・・・それを使わずあえてエリクサーを使われたという事はそう言う事だと思います。」
 
 「彼自身が、回復魔法を使えるんですか?、ならどうして・・・」
 恵は不思議だった、
 (魔法の存在は、来る前に見て確かにあるんだと信じていた、それがつかえるならなぜあえて薬を使ったのか?
 恩に着せるため・・・ううん、それなら回復魔法を使っても結果は一緒のはず、寧ろ回復魔法を使った方が恩は売りやすいはずだわ)
 
 「アトリア様のお母様なので気遣ったのではないですか?、ルーカス様の最上級の回復魔法だと素っ裸にする必要がありますから・・・」
 
 恵は思った。
 命が助かるのなら素っ裸になるぐらいなんて事はない、気遣うってだけでそんな高価な選択肢を選べるのだろうか?
 
 「不思議ですか?」
 「はい、とても・・・・」
 
 「でも、それがルーカス様なのです。ルーカス様は持ってさえいれば例え奴隷相手でも惜しみなくエリクサーを使われますよ。」
  
 「ルーカス様、はずいぶん皆様に慕われているようですね。ここはルーカス様のお屋敷ですか?」
  
 「はい、そうですね、ルーカス男爵様のお屋敷で有りなおかつアメリア子爵様の屋敷でもあります、ルーカス男爵はアメリア様の従者でもありますから・・・」
 
 リビングに戻るとアメリアが執務室から戻ってきていた・・・
 「アメリア、皆そろってからまた改めて紹介するが、こっちが留美、向こうの世界での最後の眷属になる、それと今別室で休んでいるが、アトリアの母親を連れてきている」
 
 「私は一応、ここの主と言う事になっているアメリア・フォン・ロッシーニ・アズガルドです。爵位は子爵です。よろしくね。」
 「はい、私は留美、有栖川留美と申します、すいませんなんとどうお呼びしたら良いのでしょう?」
 
 「そうねぇ、あなたはルーカスの直属の部下って事になるから屋敷やプライベートではアメリアでいいわ、公式な場所ではアメリア子爵様と呼んで頂戴。
 「はい、分かりました、アメリア子爵様、いえ、今はアメリア様で良いんですよね。」
 
 「アメリアと呼び捨てで良いわよ、ルーカスもそう呼んでるし・・」
 「いえ、いえ、流石にそれは・・・では、アメリアさんでいいですか?」
 「もう、何でも良いわよ、それよりアトリアの母親ならさっきまで一緒にわたしの執務室にいたけど・・・体調でも崩したの」
 
 「あ、すまん、説明してなかった。」
 「アトリアが転生者って事は話したよね、」
 「うん、聞いたような気がする・・他の事に捕らわれて忘れてた、えへっ。」
 
 「その転生前のお母さんが、病気で危ない状態だったんでこっちに治すために連れてきた。いま、客間で休んでるよ。」
 
 「そう、巧くいったの?」
 「あぁ、もう大丈夫だ、完治してる。明日には連れて帰る予定だ。」
 「ふーーん、それならよかったわね、と、言う事はアトリアは眷属確定って事で良いのかしら?」
 「あぁ、そうなると思うよ。」
 
 「あと、何人増える事やら・・・」
 アメリアはため息を付いていた・・・
 今更、一人増えようが二人増えようがあまり気にしないつもりだけど流石に増えすぎはどうかと思う。
  
 私に、ソフィ、アトリア、奈津、愛彩、留美これで6人、そうそう、国王の娘が輿入れするって言ってたから現状7人か・・・はぁ・・・
 うなだれるアメリアだった。
 
 「ねぇ、国王の娘の件はどうなってるの?」
 「さぁ、お前にやるって言われて以来、陛下には何度かあってるけど、その件については何も言われてないな・やっぱり止めたんじゃないか?。」
 
 「そんな訳無いじゃ無い・・・絶対送り込んでくるわよ。」
 
 「そうかなぁ。。殆ど話した事は無いぞ!!」
 「貴族ではそれが当たり前なの。...」
 
 アメリアは確信していた。
 あの陛下の事、絶対に自分の娘を送り込んでくるわ、拠点をこの国から変えられないために
  
 、いざというときの戦力のためになら娘の一人や二人ぐらい平気で送り込んでくるわ、まさか二人って事は無いでしょうね。
  
 心配だわ・・・
  
 隣国のシルジア王国からは既に招待やら沢山届いているし・・・現状、国からではなく上級貴族からの招待なので私の所で握りつぶせるけど・・・国からの正式な招待となると陛下で対応して貰うしか方法は無くなるわ、陛下も渡す気はさらさらないでしょうから。
  
 問題はハイドライド聖教国だわね、もし彼が亜神で神の使徒と分かれば確実に引き渡しを要求するでしょうし今よりもずっと好条件を与えてくるのは目に見えているから・・・
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