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第一章 転移

★報復1

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「何があったんですか?」

慌てて駆け寄っていく。
するとそこに居たのは深手を負った数人の新人風の冒険者。

「す、スタンピードだ…! 森の奥から大量の魔物が来たんだ!」

スタンピードだと!? まずはこの人達の治療をしなければ。
見たところ深い傷ではあるが手持ちのポーション類でどうにかなりそうだ。

「マキナ、重症者からこのポーションとか使って回復させて! 話を聞いて回るから」

「わかったわ」

俺は一番傷の浅い男に近寄る。

「大丈夫か? 一体何を見たんだ?」

「最初はゴブリンの群れだった…。 俺達でも対処出来るだろうって…でも様子が変だった。 ゴブリンだけじゃなくウルフ系のやつらや、オークも居た。 んで、奥の方にちらっとオーガと黒い魔物が見えたんだ。 逃げて報告しようとしたんだが見つかっちまって…」

「そうか…。 黒い魔物の特徴は?」

「遠くて分からなかった…が、羽が生えていた」

黒くて羽…。 悪魔種にも感じる。
もしそのスタンピードを操れるのだとしたら…。
中級クラス以上か。

「分かった。 ありがとう。 死者が出なくて良かったよ」

「あぁ…」

するとギルドの奥から巨大なハンマーを持ったギルド長のスティーブが現れた。

「全員に通達。 緊急でスタンピードの調査、場合によっては…押しつぶせ!!!」

周りを見てもハンマー系の武器の人は居ないので、物理的に潰せるのはマスターだけだろう。

「おおおおおおおおおおおおおお!!!」

一斉に声が上がる。

「今ならここにはあの英雄のマーガレット伯爵が居る! 怖い物なんてないぞ! 皆、行けぇ!!!」

俺を出汁に使いやがったな! まぁそれで士気が上がるならいいけど。

「治療はあらかた終わったけど、これ、かなり強敵が居るかも」

マキナの言葉に少し動揺してしまう。

「どういうこと?」

「あえて致命傷にならない所しか狙われて居ないの。 わざと森へと向かわせる様な…」

(テイルです。 三賢者の皆さん緊急で、王城と街の中心の防衛をお願いします)

(事情は分からんが緊急なら仕方なかろう。 任せておけ)

(ウチも準備オッケーや)

(久しぶりに魔法師ギルドでくつろいどったのに…)

ま、街の防衛はなんとかなるだろう。

「テイルよ、待たせたな!」

追加で協力な助っ人も来たし。

「ドーラ様、この状況をどうみますか?」

「うむ、悪魔種でも強い力と権限を持ったアークデビル以上が暗躍しとるな。 しかも、これは罠じゃろうな」

やはり同じ見解か。
ならなるべく街に戦力は残すべきだろう。

(分かって居ます。 皆を招集し、街の防衛に回ります)

困った時のフォンドニア嬢だ。 便利だなぁ。
ん? フォンドニア嬢にはノイズを掛けてたはずなのに…。

まぁ緊急事態だし気にしてられないか。

「聞いてくれ! これは罠の可能性がある! 今、賢者達に王都の防衛を任せた! 俺達は何かあったらすぐに王都へと帰還し防衛に回る!」

「おぉ!」

俺が声かけした時の方がリアクション小さいのはなんでだよ!

「野郎どもぉ! いくぜぇぇぇぇ!!!」

ギルドマスターの豹変ぶりに驚きながらも、王都の外の森へと皆で走り出した。
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