姥捨山

cafune

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集会

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 大きく亀裂が入った地面の間から、一輪のタンポポが顔を出している。葉は茶に変色し、茎は力無く萎れている。
 ここは日本の首都、東京。だというのに、街は閑散とし、人は殆ど居ない。
 
  去年、2050年の8月、日本の65歳以上の人口の割合は、70%を超えた。平均寿命は95歳に達し、日本は老人の国と化した。全人口2億人、その内、被介護者は1億人となり、介護への負担が大きくなったことで、高齢者を標的とした殺人、暴行が増加した。

 大抵の若者達は、自分等の親の介護で、休日は、家からは滅多に出ない。 ただ、幼い頃に両親を亡くした僕には関係のない話である。
 しかし、今日はいつにもまして人が少ない。街が静かだ。まさに、閑散である。介護が集中している日なのか今日は。

 道の端で座り込んでいる20代位の男、車の中で電話をしている40代位の女。
 ちらほらと、人は居るが、いつもとなにかが違う。

 違和感を感じたものの、その違和感の正体を追及しようとはしなかった。
 することがなくふらふらと歩いていると、噴水のある広場にたどり着いた。前述した通り、特にすることがなかったので、僕は広場の噴水前のベンチに腰を下ろした。

 この噴水広場は、街の中心にある大きな広場だ。
 普段は、子供が走り回ったり、老人たちが集まったりしていたのだが、今は僕しか居ない。


しばらく、噴水をただただ見ていたが、それにも飽きてきた。そろそろ帰ろうかと思い、立ち上がったとき、丁度沢山の男達が、広場に集まってきた。それも、現代の超高齢化社会を感じさせない若者達だけの集団だった。
 今日、初めて見た奇異な集団に興味が沸いた僕は、またベンチに座り直し、何を始めるのか、待つことにした。

 しかし、いつまで経っても人は集まっても集会が開始されることはない。何人かの男が、僕に何か言いたげな目でちらちらと視線を寄越す。どうやら、僕の存在が集会の開始を遅延させているようだ。何を見られて困るというのだろうか。このまま帰っても良かったが、いつもと違う異様さに興味が湧いた僕は、広場から出ていく振りをして、集会の様子を伺うことにした。

 すると、僕が先程通った道を何人かの若い男が、何かを探しながら歩いている。どうやら、僕が居なくなったかを確認するためだったようだ。
 人に見られたくない集会を街中で行おうとしている。そんないつもと違う出来事に僕は興奮した。僕はバレないように建物の陰から覗き込んだ。

 見ると、いつの間にか設置されていた小さな台に、小柄な男が立っていた。
 季節感を無視した長袖の黒一色の服に身を包み、凸凹の頭は雑に丸刈りにされていた。顔の半分は覆うような大きなサングラスをしていた。
 

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