灰色の冒険者

水室二人

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第8章 一年目の終わり 

冒険者殺人事件 その2

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 賢者の国の冒険ギルド。

 聖王国の属国と言う立場から、ランクの低い冒険者が多く所属しています。

 冒険ギルドのランクに関しては、お約束過ぎる部分が多いので、説明は簡略します。

 ランクはSが最高で、Fまである。

 このギルドの最高ランクはAランクの冒険者が1人だけとなっています。

 最初にいた、メイドのアイさんが、Aランク冒険者となっていたのは驚きです。

 私が直接動くと、彼女と接触する危険があるので、変装していくことにします。




「失礼、ここの責任者と話がしたい」

「ん?」

 態度の悪い受付穣を選んで、話しかけます。

「責任者と話がしたいといったのでが?」

「何打お前は?お前みたいな怪しいやつを、マスターに合わせる理由は無い」

 今の私は、黒い甲冑を身にまとい、黒い全体兜で顔を隠しています。最初に作った黒の鎧です。

 最初の頃よりも、色々な魔法陣を学んだので、機能が向上しています。

 認識の疎外や、鑑定の偽装など、知り合いに出会っても大丈夫な対策は盛り込んであります。

「火急のようで、お会いしたいのだが・・・」

「なら、身分証明書を、ギルドカードを提示してもらおう」

 この子、態度は悪いけど、仕事は忠実にこなしています。

 やさぐれた態度をしているので、他の可愛い系の受付譲に見たいに、誰も受けつけている人がいなかったのです。

 常時、ギルドの中を探るように見ていて、腕も立つ様です。

 この子は、特別な任務の持ちぬしかもしれません。

「これで言いか?」

 言われるままに、ギルドカードを差し出します。

「名前はロードス・・・ランクはSだとっ!!」

 そう言って、受付城は叫びます。

「それが何か?」

「ロードスと言う名前の、Sランク冒険者など、記憶に無い」

「Sランク全てを覚えているのですか?」

「当たり前だ。10人しかしない・・・訂正する。9人しかいないSランクの顔と名前くらい、覚えておいて当然だ!」

 横を見て、隣の受付穣にアイコンタクトで問いかける。そのこは、首を振るフルと横にふり、その子の発言を否定します。

「訂正したのは、何故だ?」

「最近、Sランクの1人が死んだ・・・」

「冒険者は、危険な仕事か・・・」

「違う、あいつは、良い様に使われただけだ。だから、ギルドの暗部に関わるなっていったのに・・・」

 なにやら、不安な独り言を呟いています。

「とにかく、私はお前を知らない」

「知らなくても仕方ないでしょう。私は先日Sランクになったばかりです。ギルドの正式なカードに記録があります」

「それもおかしい。A、Bランクでも、ロードスと言う名前は無かった」

「まぁ、いいじゃないですか」

 横から、ゆるふえわ系の美女が話しかけてきます。

「私は、このギルドサブマスターで、フローラと申します」

「私は、責任者と話がしたいのですが?」

「ここの責任者は、正式にはには不在です。臨時で、現在私が責任者となっています」

「そうですか。私の名前はロードス。Sランク冒険者として、ギルドマスターより任命されました。その挨拶に来ました」

「それは、ご苦労様です。それでしたら、奥の部屋で少しお時間いただけませんか?」

「そうですね、よろしくお願いします」

 フローラに案内され、奥の部屋に行くことになりました。

 部屋に入ると、施錠され、出口をふさがれます。

「これは、何のつもりでしょうか?」

 扉の前には、フローラと、態度の悪い受付穣がいます。

「それは、こちらの台詞です。現在ギルドはグランドマスター不在のため、新規のSランクの任命はしていません。それなのに、Sランクと名乗るあなたは、何者ですか?」

「あたしの名前は、ロードスと先程名乗りましたよ。それより、私と敵対すと見て、いいですか?」

「脅しですか?私達みたいにか弱い女性に、暴力で訴えると?」

「か弱い?」

「私は、若干戦闘の心得がありますが、Bランク程度です、こちらのネネに関しては、空気清浄という掃除スキルしか持っていない子ですよ」

「掃除スキルね・・・」

 その言葉を聞いた瞬間、私はネネという態度の悪い受付穣に切りかかります。

「マスター駄目です!」

 その攻撃は、隠れて護衛をしていた1人によって、防がれます。

「申し訳ありません。ただ、この子を殺すのは止めて欲しいです」

 姿を隠していたのは、精霊猫となったノノです。奄美をつれてくる予定でしたが、どうしてもと言うので、ノノもつれてきていました。

 奄美は、光学迷彩で姿を消して、直ぐ隣にいます。

「何で、猫が・・・」

 目の前に、猫が姿を現し、ネネは驚いています。

「スキルを少しでも使ったら、命は無いと思いなさい」

 ネネを睨みながら、私はそう告げます。

「ノノに関しては、相手次第で、その願いを聞き入れます」

「ありがとうございます」

「ノノ?」

 その名前を聞いて、ネネは驚きます。何もいない所から、姿を現すのは、大好きな友人の事を思い出します。

 消えてしまった、Sランクの冒険者。

「へへへ・・・。こんな姿で、会うつもりは無かったけどね」

 その笑い方は、彼女のもだった。

「ノノっ!!」

 全力で、ネネはノノに抱きつきます。

「生きてたの?本物、化け猫、でも尻尾は一つだし、猫またじゃないよね?私本当は犬派だけど、この際猫派になっても良いよぉぉ」

 抱きつきながら、泣きながら、彼女は叫んでいます。

「どういうことなの?」

 フローラは、状況を理解できていないみたいです。

「最初から、これが目的?」

「これは、ついでですよ。本命は、もうすぐやってきます。その前に、こちらの話を終らせましょう」

 姿を消したまま、奄美が話しかけてくるので、フローラの混乱は、増加しているみたいです。

「グランドマスターの資料に、優秀な人材と記載してあったから、スカウトに来ました」

「はひ?」

 この二人は、ギルドに有益な人材と資料にありました。こんな部署にいるのはもったいないです。

 私が切りかかれば、ノノが飛び出すのも想定内です。彼女達は、同じ時期にグランドマスターに拾われた子供みたいです。名前が似ているのは、名付け親がグランドマスターだからです。

「冒険ギルド、色々と終っているみたいなので、立て直す必要、感じていませんか?」

「それは、感じています。国の取り込みが、最近は歯止めが聞いていません。ルールを破り、脅しもあります。このままでは、駄目なのに、グランドマスターが行方不明になっています・・・」

「力は、必要ですか?」

「はい。姿の無い暗殺者。ほめられた事ではありませんが、色々と抑止力になっていたのは事実です」

「それが、そこのいる猫ですよ。私の部下と言う扱いですね」

「え?」

「グランドマスターから、ギルドの事を頼まれています。協力、してもらえませんか?」

 色々と、混乱しているフローラに、こちらの目的を話します。




「それでしたら、協力します」




 事件解決のための準備の一つが終りました。

 身代わり人形がギルドあった理由は、残念ながら、その持ち主は今不在だったので後回しです。

 先に、事件現場の検証です。

 抱き合って泣いている、ネネとノノは放置して現場に行くとしましょう。








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 小説家になろうでも投稿中。
 3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。


 
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