灰色の冒険者

水室二人

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第8章 一年目の終わり 

冒険者殺人事件 その1

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カオス・ブリンガーは、人知れず空に浮かんでいます。

 この星は、アトランティス以外は人がいないので、そこから見られない場所に固定しておけば、その存在を知られる確立は低くなります。

 管理に関しては、精霊猫になったエルに任せる事にしました。

 元々、宇宙船を管理していたコンピューターである。宇宙要塞の運営を任せても大丈夫と判断しました、

 正直、惑星間を移動するに必要な知識はありません。

 ここで、エルを仲間にできたのは助かります。

 今は、まだですが、手に入れたのなら宇宙への旅をするのもいいかもしれません。

 カオス・ブリンガーの細かい内装の改良をお願いして、私達はメトロ・ギアに戻りました。

 ちなみに、一撃で消滅した巨人の魂も、御魂に吸収されていました。

 エネルギーの量だけは膨大で、こちらの計画が加速しました。




「色々と、やる事が終りつつあったのに、新しい問題ですか・・・」

 これは、かなりきつい出来事です。

「申し訳ありません」

「ナナが謝る必要はありません」

 スタッフ全員に、身代わり人形を作って渡してあります。

 これがあれば、即死レベルの攻撃も、一度は身代わりになってもらえると言う便利な道具です。

 人形使いのナナの協力の下、完成しています。

「でも・・・」

「人形は、作動していない。あの人は、それを持っていなかった」

 人形と言っても、護符です。小さいペンダントなので、肌身離さず持ちある事は可能です。

「その辺も、これから調べましょう」

 メトロ・ギアに届いたの訃報です。

 冒険者のザックとエイジ。

 この世界のい人間で、こちらに協力してもらっていました。

 虹色小隊の警護を、メインにお願いしていました。

 その二人が、殺されました。

 現時点で、犯人は不明。もちろん動機も不明。

 殺害方法は、遠距離からの狙撃。

 これから、調査を始めます。

 しかし、この世界に来てから多くの命を奪ってきましたが、仲間を殺されると言うのははじめての体験です。

 今更ながら、色々なことに気づいた気がします。




「まずは、当時の状況を教えてください」

 メトロ・ギアの司令室には、十色と三姉妹がいます。

 今回の調査は、このメンバーで行います。

「二人は、虹色小隊の警護中に狙撃されました」

「子供たちは?」

「全員無事です。ただ、ショックで動揺しています」

「それは、ブルーに任せましょう」

 あの小隊の中で、一番の年長者は彼です。動揺している子供をまとめる位は、やってもらいたいです。

「映像は、ありますか?」

「こちらです」

 にぃが操作すると、モニターに映像が現れます。

 アルテミスで、常時関してしていますが、全てを把握しているわけではありません。

「土木作業中ですか・・・」

 重機を使い、虹色小隊のメンバーが、道路を作っている様子が見えます。

 二人は、その前後を挟むように立っています。

 実際、虹色小隊は黒の国の暗部にかかわっています。

 その関係上、狙われる可能性があります。それ以外にも、彼らが扱う重機を狙う可能性もあるので、警備は必要です。

 しばらく、その場面が続きます。そして、数秒後に二人が突然倒れます。

「敵の場所の特定は?」

「射線を遡って確認しましたが、怪しい存在が確認できません」

「見せてください」

 当時の映像を、解析します。

 映像から、攻撃のあった方向を分析して、視界を移動します。

「これか・・・」

 二人から、直線距離で5キロ離れた場所に、怪しい存在を見つけました。

 三姉妹の分析は、この距離まで計算していなかったみたいです。

 魔法のある世界です、遠距離狙撃の限界が、何処までの距離になるのか不明です。

「これは、魔法ですね・・・」

 怪しい相手の動きを、時間を遡り確認します。

 現時点で、どのような魔法が使われたのかは不明ですが、この場所行けばわかるでしょう。

「この人物を、確認していてください」

「了解しました」

 映像を追跡すれば、色々と判明すると思います。

 ただ、上空からの映像しかないので、何処かで見失う可能性もあります。

「私は、これから現場に行って確認します」

「ついていくにゃ」

「お願いします。それと、もう1人奄美を呼んで置いて下さい」

「戦闘になるかにゃ?」

「可能性は高いです」

「了解にゃ」

「後、二人の持ち物は、確認しましたか?」

「二人とも、身代わり人形を持っていなかったです」

「何処にあるか、わかります?」

「賢者の国の、冒険ギルドにあります」

 私が作成した道具は、場所がわかるようになっています。盗まれても奪い返す事は可能です。

「何故そこにあるか、わかりますか?」

「不明です。ただ、ザックとエッジは、任務の無い時はそこで冒険者としての仕事もしていました。

「了解。そこも、確認しましょう」

 今後の方針は決まりました。

 事件の解決には、現場に向かうのが定番です。

「そう言えば、二人の遺体は?」

「ブルーさんが回収しています」

 遺体はあっても、魂はもう薄れてしまったでしょう。

 死んだ瞬間、魂は肉体から離れてしまいます。伊藤さんみたいな魔術師が、直ぐ側にいればその魂を留められたかもしれません。

 死者の蘇生は出来ません。精霊猫への転生も、この条件では不可能です。

 それに、知った相手の体を使って別人の魂での転生は、なんとなく出来ない気がします。

「お経を唱えても供養になるのかな・・・」

 この世界の葬儀を、私はまで見ていません。

 一つのけじめとして、必要だと思うので、これも準備しておきましょう。

「さんと、よんは、葬儀の準備をお願いします」

「にゃ」

 これで、今ここでやるべき事は終ったはずです。

「まずは、現場に向かいましょう」






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  いつもより、少し短めです。
 


 小説家になろうでも投稿中。
 3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。


 





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