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第65話「王様を討ち取れ!人狼将棋サバイバル開幕」
しおりを挟む2023年 8月2日 想武島 9:00
第一プログラムが終わり、第二プログラム「打ち討れ王様!人狼将棋サバイバル」が開始されている。
人狼将棋とはその名の通り人狼と将棋のゲーム性を掛け合わせ、そこから本プログラム内容に合わせて調整した物である。
――――――――――
時は少し遡り数時間前、闇夜から現れた最愛恋と滝沢一海により達樹達は本プログラムの説明を受けていた。
「じ、人狼将棋?」
「そう。二チームに別れてどちらかの王様を討ち取ったら勝ち」
「俺将棋も人狼もよくわかんないんですけど」
「拙者も」
「ミーシャもわからないわ!」
「ふ……当然、知っているわけが無いよね」
「だからなんで誇らしげなんですか!?」
都姫による理玖へのツッコミが炸裂する。
これらの事からわかる通り達樹を含む過半数は将棋のルールを把握していない。そこかしこから不安の声がざわざわと漏れ始める。
この二つのゲーム性をきちんと理解している人間はこの場には隼人くらいしかいなかった。
「お前らみたいなアホにもわかりやすく説明してやるから黙って聞け」
恋に変わり一海が説明をし始める。
「今から約4時間後の8時にそれぞれの役割がスマホへ送られてくる。役職は各陣営に『王様』が1人『人狼』が4人『占い師』が4人『村人』が6人。対する合格者チームは一枠多いから人狼と占い師と市民の枠がそれぞれプラス1される」
「勝利条件は敵チームの一人だけいる王様を討ち取ること。説明聞いてもわかんない奴はこれだけ覚えときゃなんとかなる」
――――――――――
その後詳しい説明を施された不合格者の面々達であったが事前知識が乏しい彼らにとって眠気も絶頂に達しようとしているこの場において理解し切るのは非常に困難であった。
各自眠りに着き時刻は8時を刻む。爆音のアナウンスと共にそれぞれ起床。
各スマートフォンに人狼将棋における役割が記載されているメッセージが届けられる。
「うげっ!?」
輝世達樹は記載されていた信じがたい内容の前に苦虫を噛み潰したような表情となる。
届けられたメッセージにでかでかと記されていたのはあなたは王様ですと言う文が文面。
「責任重大じゃねぇか!」
「なんだお前が王様なのかよ」
「あぁ、光也はなんだったんだ?」
「占い師だ」
「俺は人狼。三人見事に別れたな」
達樹には王様、光也には占い師、隼人に人狼の役割が付与される。
第二プログラム開始まで1時間を切ったところで各陣営集まって作戦会議が行われる。
まともにルールを把握している人間は隼人しかいない為隼人が軍師となり今後の立ち回りを説明していく。
「大事な事をまとめると俺達はこの後例のおばちゃんロボによって散り散りになって投げ飛ばされる。
想力探知を使っての俺達の位置確認は特殊電波的な物によって阻害されていて出来ないからまず最初にすべきなのはいち早く誰かしらと合流する事、この中で占い師は挙手してくれ」
光也と二番隊、宮守龍二、三番隊、寺田卓夫、八番隊、姫村和斗が手を挙げる。
「不安しかないメンツだけど敵陣の役職を見分けられるのはこの4人しかいない。占い師以外の奴は出来るだけ無駄な戦闘は避けて王様である達樹と合流するか占い師と合流する事を念頭に入れといてほしい」
第二プログラム『人狼将棋サバイバル』
制限時間は24時間。決着が着かなければ延長戦に突入する。密林区域から中央区を含む広大に広がるフィールド内にて基本的に行われるのは二チーム対抗に別れてのサバイバルであり各陣営の王様を打ち取れば勝利というシンプルな内容に将棋と人狼のゲーム性が付与されている。
『王様』
王様に付与された能力は特にない。王様が想力切れ、戦闘不能となった時点で該当チームの負けが確定する。
『人狼』
人狼は敵陣と交戦した際、討ち取る、一定量の想力による攻撃を加える事が出来れば相手を自陣に逆取りし引き入れる事ができる。逆取りされた人間は一切の反抗は出来ないが唯一自陣の王様が誰なのかを公表する事は出来ない。
人狼は敵陣の占い師をより多く逆取りし敵陣の王様をいち早く特定する事が理想とされる。
『占い師』
敵陣の役職を識別する事ができる唯一の役職。だが識別には対象を10m以内に捉え、互いに存在を認知している必要がある。また識別は1時間に一度しか使用出来ない。
『市民』
特に付与される能力はない。デメリットも少なく自由に動く事ができる事から他役職の全面的なバックアップをする事が好ましい。
更にルールとしてスマホを使っての情報共有は禁止、想力切れ、戦闘不能にされた者は一切の情報の開示されないという物がある。
「仮に達樹がいきなり占い師の敵と遭遇した場合、速攻場所を拡散されて敵陣の総攻撃をくらうって事はない訳。あわよくば仲間にしたいから人狼が来るまで持ち堪えて欲しいとこだがその辺は任せる」
「要は占い師と会っても逃さなきゃいいんだろ。俺が王様だってバラされねぇように」
「あぁ。一斉拡散が禁止されてるだけで人伝には伝わっていく。達樹は一人でいる時に敵と交戦したら相手に何を言われようが基本はガン無視しろ。ヒントを与えるだけだからな」
扱い酷くねぇ?と思ったが不用意に裏をかいてやろうと変に取り繕ってもその振る舞いすらも情報を与えかねない。隼人の判断は理にかなっていると考え達樹は一人頷く。
「みんなもとにかく単独での行動は絶対に避けろ。不用意にツッコむな。余計な事は喋るな……まぁこんな所かな」
時刻を確認すると8:50分。第二プログラム開始まで10分を切っていた。
そんな矢先、ツーサイドアップのヘアスタイルをした少女の姿が森奥から駆け寄ってくる。
「いたいた!ようやく見つけたわ!」
「「「……だれ?」」」
ここにいる誰もが首を傾げてそう尋ねる。
「んなっ!?誰じゃないわよ!流石に情報共有くらいはしなきゃって思って気の利かない男どもに代わって私がわざわざ役職を伝えにきてあげたの!」
現れたのは十一番隊の参加者三名のうちの一人。有栖川のえるであった。
協調性のかけらもない他二人に代わって一人不憫に思い彼女は達樹達の元へ自分達の役割を伝えるために赴いていた。
「他の二人は来てねぇのか?」
達樹の問いにのえるは答える。
「一人は寝ててもう一人はそいつを起こそうとしてるけと多分今も寝てるわ」
のえるの口から自分ともう一人が市民、もう一人が人狼だと告げられる。
これで完全に達樹達はそれぞれがどの役職なのかを把握する事になる。
「人数不利ではあるけど地の利はこっちが得てる。ほんのちょっとのアドバンテージではあるけど奇襲だったり身を隠すって点に関しては俺達の方が有利だ」
隼人の説明を受け各自気合いを入れる。次いで物陰から先日に引き続きムキムキマッチョおばちゃん投方が出現しそれぞれ奏者達をを抱え込む。
「よぉしお前ら!絶対に勝つぞ!!」
強く意気込む達樹に対してお前が仕切んなと各所からツッコミが入る。
そして時刻は9:00を刻んだと同時に奏者達はそれぞれ遠方へと投げ飛ばされ散り散りとなる。
こうして第二プログラム『人狼将棋サバイバル』は幕を開けた。
―――― to be continued ――――
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