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「ここは異世界だよ」編
二十四話めぇ~ 「事故なんだよ」
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再び牧場がある場所に戻ると家は戻っており、おばあちゃんは椅子に座っていた。
「ごめんなさい、おばあちゃん」
リーパが謝る。
「いいんだよ。気にしないでおくれ」
俺たちが牧場を出している間はずっと地面に正座していたらしい。
突然家が消えたのだから茫然自失になるのは当然だろう。
ただ、あまり気にしていないようだ。
さすがおばあちゃん、懐が広いな。
「いいんだよ。こんな老いぼれ、忘れるほうが当たり前なんだから。あーあ、土は冷たかったなー。年寄りには堪えるわねぇ」
気にしてるーーーー!
すごい気にしてるよ!!
さりげなくつらかったことをアピールしてくるよ、おばあちゃん!
「なあ、おばあちゃんって俺たちが牧場呼び出すたびにああなるんだよな?」
「そうだね」
毎回地面に正座か。
しかもなぜ正座なのかよくわからないが、立ち入り禁止区域に取り残された人はみんな正座で待つ仕様らしい。
でも俺とか正座できないよな。人間限定なのかな。
「動物は二足歩行で待つんだよ」
テレビか!
最近流行りのおもしろ動物動画ってやつだろう?
ああ、好きさ。大好きさ!
特に猫なんて大好物だよ!
「かわいそうだし、おばあちゃんも雇うか?」
俺がそう言うとおばあちゃんの目が光る。
視線は向けていないが、確実に耳はこちらに向けている。
すっげー意識されてるよ。
なあ、雇ってやろうぜ。毎回正座はきついって。
「うーん、私の特技はね、編み物とヒツジの去勢と世話と…」
さりげなくアピールしだしたーーー!
おばあちゃん、めっちゃ売り込みにきた!
しかも独り言のようにさりげなくだ!
おいおい、こりゃもう雇うしかない感じだぞ。
「じゃあ、もう用もないし行こうか」
拾ってあげてーーーー!!
こんなにもアピールしているんだから、せめて発言拾ってあげようぜ!
もう出川さん並みの扱いだよ!
「私もおばあちゃんがいると嬉しいです」
リーパがさりげなく拾ってあげた。
うん、祖母想いのいい子だよな。
なあ、雇ってあげようぜ。
おばあちゃんだって雇ってほしいに決まっているさ。なあ?
「私は安くないよ! 金はあるんだろうね!」
おばあちゃぁーーーーん!!!
突然間違った方向のアピールきちゃった!!
自分を売り込むときっていろいろなやり方あるけどさ、これはどっちかというと望み薄の場合に勝負に出るときのやり方だよ!
謙虚にいけば雇ってくれたのに、うっかりやり方間違えてご破算にした感じだよ!
ちなみにリーパはいくらだったんだ?
「契約金が五万円で、あとは売り上げの1%です」
へー、五万円か。
幼女が五万円か。
いや、特に理由はないがそう言ってみた。
けっしていかがわしい金額ではないから誤解するなよ。
「って、売り上げの1%って何だ?」
「うん、使用人が生産したアイテムが市場で売れるんだけど、その1%が給料になるんだよね」
各使用人、作業者はその能力に応じて牧場でさまざまな物を生産するらしい。
それでそのキャラが作って売れた分の1%が給料になるそうだ。
「私はまだあまり作れないので少ないのです」
リーパが作れるのはチーズとか基本的な肉加工品とからしい。
もっと上になると薫製とか料理とか特殊なアイテムを作れるそうだ。
そういう上級の使用人は給与率も高いという。
「おばあちゃんは白ヒツジ装備が作れるんですよ」
えっ!? マジで?
噂には聞いていた、というかぷるんのスキル「ヒツジ武具装備可」の説明で見たやつだな。
ところで白ヒツジ装備って何なんだ?
「白ヒツジ族の専用装備みたいなやつだね。基本的に武器は攻撃力が高くて防具はHPプラス補正とか付くのが多いかな」
ぷるんが説明してくれる。
うむ、つまりは白ヒツジ族の戦士であるぷるんが装備すれば、またさらに耐久力と攻撃力の高いやつになるってことだな。
「ただ、市場にはあまり流れなくて、非売品とかが多いんだよ」
こういうものは特定のイベントやダンジョンで入手するそうだ。
牧場でも作れるがそれなりの職人が必要だという。
「防具だけなら、おばあちゃんは中級まで作れます」
リーパいわく、おばあちゃんは白ヒツジ防具が作れるそうだ。
これには下級、中級、上級とランクがあるらしい。
その上には幻の伝説ランクもあるようで、そのレベルになると簡単には製造できないとか。
うーん、おばあちゃん使えるな。
これなら雇っても…
「私はお高いよ!!」
だから今じゃなーーーーーい!!
このタイミングでそういう売り込みしちゃらめぇーーーー!!
ここはもっと普通にアピールでいいんだよ、おばあちゃん!
「じゃあ、雇うかどうかはコインで決めようか」
ぷるんが一枚の金貨を出す。
おっ、粋だね。カッコイイ展開だ!
表か裏、どっちが出るかってやつだな!
「コインが立ったら雇うよ」
難易度ーーーーー!!
難易度高いよ! 普通なかなか立たないよ!
最初から立たして転がすしか道はないよ!
「しょうがないな。表が出たら雇うね」
ふぅ、これなら普通に決まりそうだ。
俺としてはおばあちゃんも仲間に入れてあげたいんだよな。
やっぱりリーパも寂しいと思うしさ。
本当はすぱっと仲間に入れてあげたいんだが…
「私はお高いよ!」
おばあちゃん、黙って!!
「そうですよ! おばあちゃんは高いんですよ!」
リーパも違うから!!
全然フォロー入ってないから!!
それ間違った方向に行っちゃうからな!!
「そうだよ、シゲキ君! おばあちゃんはお高いんだよ!」
ぷるんーーーー!
出口見えなくなるから悪ふざけはやめろ!!!
「よし、いくよ!」
ぷるんがコインを構える。
おう、さっさとやってくれ。
まったく、手間取ったよな。
さて、どうなるかな。
「えいっ!!」
バチンッ!!
ぷるんはコインを指ではじいた
ギュルルルルルーーーーー!
コインは高速で回転した
ブゥーーーーンッ
ドゴッ!
コインはおばあちゃんの額に当たった
おばあちゃんは二十四のダメージ
おばあちゃんは死んだ
えぇぇえーーーー!?
おばあちゃんが死んじゃったぁあーーー!!!
ちょっと、何が起こったの!?
「あっ、指が滑っちゃった。てへぺろ」
笑ってごまかすレベル超えちゃったよーー!
しかも今になっててへぺろ!?
「よくあるミスだよね」
そうだけど、そうだけどー!! たまに変な方向行くけど!!
お前、どんだけ腕力あるんだよ!
指ではじいたコインで人死なすなんて相当なもんだぞ!!
指弾か!? やれると超カッコイイ、あの指弾か!?
「シゲキ君、おばあちゃんの心配しないんだね」
すまん。もう死に対して慣れすぎてしまっている。
あまりに死が軽いから感覚が麻痺しちまったよ。
では、改めて。
おいおい、やべえよ。
俺たちついに殺人犯しちまったよ。
おばあちゃん、死んじゃった!!
「シゲキ君、あれは事故だよ。気にしないほうがいいよ」
俺が殺したみたいに言うなよ!!
一番気にしないといけないやつがまったく気にしていないのはおかしいよ!
って、それよりリーパが心配だ!
目の前で祖母を殺されたんだ。ショックなはずだぞ!
「おばあちゃん…」
リーパはおばあちゃんを見つめて呆然としている。
ぉぉおお…そりゃそうだよ。
目の前で唯一の肉親が死んだら誰だってそうだよな。
すまん。謝って済む問題じゃないが、すまん!
うちのぷるんがすまん!
「んー、押入れにITEM入ってないかなー」
ぷるんんんーーーーーーー!!
おばあちゃん死んだからって家の中物色するなよ!!!
しかもアイテムが英語だよ! 大文字だよ!
「だって、RPGの基本だよ」
たしかに! 思えば泥棒だよな、あれ。
しかも住人の目の前で堂々と調べているなんて、めっちゃシュールだもんな。
それを逆手に取ってネタにした某RPGもあった気がしたな。
「あれ? それうちの帽子じゃありません?」とか。
斬新だったな。
「シゲキ君は名前を忘れると都合よく『某』を使うよね」
お前だってそんな感じだろう!
「リーパ、すまん…ほんとすまん!」
仕方ないので代わりに俺が謝る。
せめて土下座するしかない。
いつもこうだよ。ぷるんの後始末は俺になるんだ!
「謝らなければいいじゃん」
「謝るよ!! 心は普通の人間だからな!!」
「今日のシゲキ君は荒ぶるね」
荒ぶってねーよ!!!!
普通の対応、常識!!!
何かあったら謝るの常識だからな!!
「何かあったら殴って逃げるよ」
もう犯罪者だろ、お前はぁああああああーーーーー!!
完全に万引きして悪びれない思春期ボーイの思考だよ!!
まったく、若気の至りとはいえ最後は自制が必要だぞ。
俺も人生いろいろとあったが、どのみちいつかは謝ることになるんだ。
「シゲキ君にはお似合いの人生だよ」
お前のお似合いの人生はどこにあるんだよ!?
ここか!? ここの世界か!?
「わかったよ。反省するよ。ちぇっ」
これを反省とは言わない。
だが、こいつにこれ以上求めても無理なのはわかっているので諦めよう。
反省するそぶりがあるだけでも奇跡的だ。
「いいんですよ。おばあちゃんも満足だったと思います」
コインで額を打って死ぬ最期か。
これが決闘とかならまだよかったが、単に雇うか雇わないかのコインだからな。
リーパのお父さんよりましだが、俺だったらかなり凹むな。
だが、やはりリーパが心配だ…
「おばあちゃん、この牧場は私が守っていきます。だからスキルをください」
ん? 今何か言ったな。
リーパがさりげなく何か言ったぞ。
リーパはおばあちゃんの手を握った
ほんのり獣臭かった
チャチャチャーーン♪
リーパは「中級ヒツジ装備生成術」を継承した
リーパのアイテム製造技術が上がった
リーパの使用人レベルが2上がった
うおおお! なんだ!
リーパの服が少し変わったぞ!
気分はファイアーエムブレムのクラスチェンジだ!
「ベルウィックサーガじゃなくて?」
そっちは大好きだけど、クラスチェンジの難易度めっちゃ高かったぞ!!
俺は普通にやって全然駄目だったよ!
しかしあのゲームって世間じゃ難易度高いってなっているんだな。
たしかに何度もリセットしたが、昔のゲームだと当たり前だったよな。
今はなんか味方が強すぎて萎えるよ。
ぷるんだって強いしさ。
「シゲキ君、世間は安心感を欲しているんだよ。それだけ殺伐とした世の中なんだろうね」
「そうだな。ゲームでスリルを味わう時代は終わったのかもしれん」
まあ、おばあちゃん死んだけどな。
スリル満点だよ、ここ!
って、どうなったの?
「リーパちゃんはおばあちゃんからスキルを継承したんだよ」
だからそれが何かを聞いてるんだよ!!
「うわっ、すぐキレる若者だね。カルシウムが足りないんだね。はい、おばあちゃんの骨」
シュールぅううううーーー!!
やめて!! 屍を弄ばないで!!
「小指の骨だよ? 親指がいい?」
こわいよぉーーーーー!!
って、ヒツジは草食だ!
「私の骨はお高いよ!」
おばあちゃんは死んでて!!
話が進まなくなるから出てこないで!!
「特定の関係にあるNPC同士はスキルの受け渡しが可能なんだよ」
この場合、リーパとおばあちゃんには家族というつながりがあった。
おばあちゃんが死んだので、リーパが受け継ぐことができたようだ。
「スキルレベルが足りないとすぐには使えないものもあるけどね」
リーパがおばあちゃんから継承したのは、全部で三つ。
□中級ヒツジ装備生成術 レベル2
□下級ヒツジ肉加工術 レベル4
□アピール上手
「素材があれば白ヒツジ防具が作れますよ」
リーパが嬉しそうに言う。
なんだかあまりショックじゃなさそうだな。
普通、肉親が死んだらもっと泣き叫ぶはずなんだが。
それとも実は仲が良くなかったとか?
「おばあちゃんのスキルは狙っていたのでちょっと嬉しいのです。死んだものはどうしようもないですし」
まあ、なんて現金な子なんでしょう!!
めっちゃ現実主義者だよ!!
現実主義者の幼女だよ!
「やっぱりシゲキ君、あまり面白いこと言わなくなったね」
そこを抉るのはやめろ!
俺が面白いことを言うかどうかは、作者に時間の余裕があるかないかで決まるのだ!
わかったか!!
「神様がいるから大丈夫なのです」
そう言ってリーパは外にそびえる巨大な山を指さした。
ああ、あれか!
ずっと気になっていたんだよな、あの山。
なんか雲を突き抜けて頂上が見えないほど高いんだ。
その頂上にこの世界の神様がいるという。
人はみんな神様の子で、この世界で経験を積んでいるそうだ。
死んだら肉体から出て再び神様のもとに戻って、次の人生を送るらしい。
へー、そんな感じなんだな。
神様か。どんな顔してるんだろう?
「一応、竜の神様って聞いています」
うわっ、ドラクエっぽいな!!
真っ先に思い出すよな。
「ヒツジの神様だったらキモイからよかったね」
ヒツジを馬鹿にするな!!
「ヒツジの神様もいますよ」
いるのかよ!!!
「邪神ですけど」
そっちかぁああーーーーー!!
いるよ! いるけどさ!!
なんでヒツジだけいつも扱いが悪いんだよ!
ヒツジ、いいやつ! みんな正義!!
「よく二月になるとみんなで追いかけ回します。煮汁とかぶっかけます」
いじめだよ!!
それ完全にいじめだからな!!
お前ら、平和を訴える魔王とかすぐ迫害するけどやめろよ!
たぶん、そのヒツジの神様もいいやつだぞ。
「ヒツジ邪神は、『みんなでまあるく生きなさい』、『仲良く分け合いなさい』、『ヒツジを殺してはいけません』と言っていたのでリンチしました」
同じぃいいいーーーー!
魔王と同じパターンだから!!
お前らそれ以外をやらないのか!?
「でも、竹槍持って反撃してきたので毎回銃で撃ち殺してます」
もう訳がわからない!!
哀しい!!
なんだかとっても心が哀しいよ!!
「下級ヒツジ肉加工術は、缶詰とかが作れるようになります」
リーパは簡単な食肉加工しかできなかったが、スキルを受け継いだのでこれからは缶詰製造ができるそうだ。
「そのためには国の許可が必要ですけど」
まあな。衛生管理とか大切だもんな。
変なもん入れて売ったら問題だしな。
「これでシゲキ君を出荷できるね」
缶詰はいやぁぁーーーーー!!
それ以前に俺の肉で儲けようって考えはやめろよ!
「だって、いつも死ぬじゃん。あれってもったいないと思うんだよね」
たしかにたまに死ぬけどさ。
うっかり餅ネタで死ぬけどさ。
だからって解体するなよ!
「ちぇっ、じゃあ毛を詰めて売ろうね」
…なんか違うな。
道義的には間違っていないんだが、何か違うな。
缶詰にする意味がない。
「イカ臭い毛って触れ込みで売るんだよ」
そんなのそこらへんの中二男子なら誰でもイカ臭いぞ!!
だいたい馬鹿だからな、中二は。
エロ以外のことは考えていないものだ。
「それはシゲキさんだけですよ」
リーパにつっこまれたぁぁああああーーー!!
「そういえば最近、シゲキ君って破廉恥な言動あまりしないね」
ん、そうか?
そういえばそうだな。
人間だった頃はしょっちゅうセクハラ発言していた気もする。
だが、今はあまりしないな。
うん、まあ、今までのあれでもしていないほうなんだ。前はもっと酷かったし。
なんでだ?
「発情期じゃないからですよ」
うっそぉぉーーーーーーー!
俺ってそんなものに影響されるようになっちゃったのぉーーー!
たしかにあまり発情しない!!
嘘だ! 嘘だと言ってくれ!
「はい、雌ヒツジの写真。みんな丸出しだよ」
きぃぃいいいーーーーーーー!
屈辱的!!!
「最後のアピール上手って何だ?」
リーパが継承したスキルにアピール上手がある。
なんだこれ? パワプロにはあったけど…
「私はお高いよ!!」
それかぁああーーーーー!!
それ受け継いじゃったかぁあーーー!!
はっきり言っておばあちゃんはアピール下手だったけどな。
完全に使いどころを間違えておった。
が、スキルとしてある以上、何か役立つんだろうな。
「おばあちゃんは昔、夜の町で使っていたみたいなんですが…どういう意味でしょう?」
うん、どういう意味なんだろうね。
純朴なヒツジの俺にはよくわからないよ。
発情期じゃないしな。
「へっ、売女(ばいた)の孫か」
ぷるんんんーーーーーーー!!!
これライトノベルだからさ!
ライトって軽いって意味だからさ! たぶんな!
ある意味じゃダークノベルになっちゃうから! やめてね!
「おばあちゃん、一度も売れなかったみたいですけど」
うわぁあああーーーん!!
涙が止まらない!!
「じゃあ、今後は牧場経営も一緒にやっていくからよろしくね」
うむ、これで一章も終わりなので、次回からは「牧場拡張編」に入る。
なんだかんだいって異世界にも馴染んできたよな。
「早く黒ヒツジ帝国編に行こうよ。神崎さん永遠に仲間にならないよ」
「ネタバレすんなよ、お前!!」
「表紙にいるからいいかなって」
まあ、たしかにそうなんだが…。
神崎さんは表紙の右側にいる黒髪の女の子だ。
彼女も元の世界での同級生の一人だな。ぷるんと同じクラスだ。
正直いって、彼女と俺は似たポジションにいる。
そう、同じぷるんの被害者という立場だ。
俺としては被害者を増やしたくないので、まだ仲間にしたくない。
「本当は作者が『誰々が言った』とか書くのが面倒だから入れたくないだけなんだよ」
本音が過ぎるーーーーーーー!!
小説ってゲームと違って「と、誰々が言った」的なことを書かないといけないから面倒なんだよな。
俺とぷるんだけなら台詞だけでわかるから楽なのだが、もう一人や二人増えるとかなりしんどいのは事実だ。
「私だって、ちゃんとシゲキ君って毎回名前呼ぶとかの配慮しているんだよ。がんばっているよ」
「お前、ぶっちゃけすぎだぞ。さすがに章終わりっていっても自重しろよ!」
ということで、ここで終わりにする。
こんなのダラダラやっていられないからな!!
どんどん酷くなるよ、この小説!
「シゲキ君、また死ぬオチ?」
「大丈夫、これは予告じゃないからな!!」
へへん。そこで区切らなければ予告ではないのだ。
毎回死んでいたら味わいがなくなるからな。
「やっぱりネタじゃん」
「今は何を言われても気にしない! 死なないことが先だ!!」
こいつに付き合ったら死んでしまう。
それがこの章で覚えた一番有意義な教訓だな。
それじゃ、またな!
「シゲキ君、死ね! シゲキ君、死ね!」
やめろよぉおおおおおおおーーーーーー!!!
ライブのアンコールみたいに言うなよぉおおおおお!!!
ネタじゃねえんだよ!!!
本気で生きてんだよ! ヒツジだけどな!!
もうヒツジも慣れたよ! 好きにしろよ!!
今度こそじゃあな!
「ごめんなさい、おばあちゃん」
リーパが謝る。
「いいんだよ。気にしないでおくれ」
俺たちが牧場を出している間はずっと地面に正座していたらしい。
突然家が消えたのだから茫然自失になるのは当然だろう。
ただ、あまり気にしていないようだ。
さすがおばあちゃん、懐が広いな。
「いいんだよ。こんな老いぼれ、忘れるほうが当たり前なんだから。あーあ、土は冷たかったなー。年寄りには堪えるわねぇ」
気にしてるーーーー!
すごい気にしてるよ!!
さりげなくつらかったことをアピールしてくるよ、おばあちゃん!
「なあ、おばあちゃんって俺たちが牧場呼び出すたびにああなるんだよな?」
「そうだね」
毎回地面に正座か。
しかもなぜ正座なのかよくわからないが、立ち入り禁止区域に取り残された人はみんな正座で待つ仕様らしい。
でも俺とか正座できないよな。人間限定なのかな。
「動物は二足歩行で待つんだよ」
テレビか!
最近流行りのおもしろ動物動画ってやつだろう?
ああ、好きさ。大好きさ!
特に猫なんて大好物だよ!
「かわいそうだし、おばあちゃんも雇うか?」
俺がそう言うとおばあちゃんの目が光る。
視線は向けていないが、確実に耳はこちらに向けている。
すっげー意識されてるよ。
なあ、雇ってやろうぜ。毎回正座はきついって。
「うーん、私の特技はね、編み物とヒツジの去勢と世話と…」
さりげなくアピールしだしたーーー!
おばあちゃん、めっちゃ売り込みにきた!
しかも独り言のようにさりげなくだ!
おいおい、こりゃもう雇うしかない感じだぞ。
「じゃあ、もう用もないし行こうか」
拾ってあげてーーーー!!
こんなにもアピールしているんだから、せめて発言拾ってあげようぜ!
もう出川さん並みの扱いだよ!
「私もおばあちゃんがいると嬉しいです」
リーパがさりげなく拾ってあげた。
うん、祖母想いのいい子だよな。
なあ、雇ってあげようぜ。
おばあちゃんだって雇ってほしいに決まっているさ。なあ?
「私は安くないよ! 金はあるんだろうね!」
おばあちゃぁーーーーん!!!
突然間違った方向のアピールきちゃった!!
自分を売り込むときっていろいろなやり方あるけどさ、これはどっちかというと望み薄の場合に勝負に出るときのやり方だよ!
謙虚にいけば雇ってくれたのに、うっかりやり方間違えてご破算にした感じだよ!
ちなみにリーパはいくらだったんだ?
「契約金が五万円で、あとは売り上げの1%です」
へー、五万円か。
幼女が五万円か。
いや、特に理由はないがそう言ってみた。
けっしていかがわしい金額ではないから誤解するなよ。
「って、売り上げの1%って何だ?」
「うん、使用人が生産したアイテムが市場で売れるんだけど、その1%が給料になるんだよね」
各使用人、作業者はその能力に応じて牧場でさまざまな物を生産するらしい。
それでそのキャラが作って売れた分の1%が給料になるそうだ。
「私はまだあまり作れないので少ないのです」
リーパが作れるのはチーズとか基本的な肉加工品とからしい。
もっと上になると薫製とか料理とか特殊なアイテムを作れるそうだ。
そういう上級の使用人は給与率も高いという。
「おばあちゃんは白ヒツジ装備が作れるんですよ」
えっ!? マジで?
噂には聞いていた、というかぷるんのスキル「ヒツジ武具装備可」の説明で見たやつだな。
ところで白ヒツジ装備って何なんだ?
「白ヒツジ族の専用装備みたいなやつだね。基本的に武器は攻撃力が高くて防具はHPプラス補正とか付くのが多いかな」
ぷるんが説明してくれる。
うむ、つまりは白ヒツジ族の戦士であるぷるんが装備すれば、またさらに耐久力と攻撃力の高いやつになるってことだな。
「ただ、市場にはあまり流れなくて、非売品とかが多いんだよ」
こういうものは特定のイベントやダンジョンで入手するそうだ。
牧場でも作れるがそれなりの職人が必要だという。
「防具だけなら、おばあちゃんは中級まで作れます」
リーパいわく、おばあちゃんは白ヒツジ防具が作れるそうだ。
これには下級、中級、上級とランクがあるらしい。
その上には幻の伝説ランクもあるようで、そのレベルになると簡単には製造できないとか。
うーん、おばあちゃん使えるな。
これなら雇っても…
「私はお高いよ!!」
だから今じゃなーーーーーい!!
このタイミングでそういう売り込みしちゃらめぇーーーー!!
ここはもっと普通にアピールでいいんだよ、おばあちゃん!
「じゃあ、雇うかどうかはコインで決めようか」
ぷるんが一枚の金貨を出す。
おっ、粋だね。カッコイイ展開だ!
表か裏、どっちが出るかってやつだな!
「コインが立ったら雇うよ」
難易度ーーーーー!!
難易度高いよ! 普通なかなか立たないよ!
最初から立たして転がすしか道はないよ!
「しょうがないな。表が出たら雇うね」
ふぅ、これなら普通に決まりそうだ。
俺としてはおばあちゃんも仲間に入れてあげたいんだよな。
やっぱりリーパも寂しいと思うしさ。
本当はすぱっと仲間に入れてあげたいんだが…
「私はお高いよ!」
おばあちゃん、黙って!!
「そうですよ! おばあちゃんは高いんですよ!」
リーパも違うから!!
全然フォロー入ってないから!!
それ間違った方向に行っちゃうからな!!
「そうだよ、シゲキ君! おばあちゃんはお高いんだよ!」
ぷるんーーーー!
出口見えなくなるから悪ふざけはやめろ!!!
「よし、いくよ!」
ぷるんがコインを構える。
おう、さっさとやってくれ。
まったく、手間取ったよな。
さて、どうなるかな。
「えいっ!!」
バチンッ!!
ぷるんはコインを指ではじいた
ギュルルルルルーーーーー!
コインは高速で回転した
ブゥーーーーンッ
ドゴッ!
コインはおばあちゃんの額に当たった
おばあちゃんは二十四のダメージ
おばあちゃんは死んだ
えぇぇえーーーー!?
おばあちゃんが死んじゃったぁあーーー!!!
ちょっと、何が起こったの!?
「あっ、指が滑っちゃった。てへぺろ」
笑ってごまかすレベル超えちゃったよーー!
しかも今になっててへぺろ!?
「よくあるミスだよね」
そうだけど、そうだけどー!! たまに変な方向行くけど!!
お前、どんだけ腕力あるんだよ!
指ではじいたコインで人死なすなんて相当なもんだぞ!!
指弾か!? やれると超カッコイイ、あの指弾か!?
「シゲキ君、おばあちゃんの心配しないんだね」
すまん。もう死に対して慣れすぎてしまっている。
あまりに死が軽いから感覚が麻痺しちまったよ。
では、改めて。
おいおい、やべえよ。
俺たちついに殺人犯しちまったよ。
おばあちゃん、死んじゃった!!
「シゲキ君、あれは事故だよ。気にしないほうがいいよ」
俺が殺したみたいに言うなよ!!
一番気にしないといけないやつがまったく気にしていないのはおかしいよ!
って、それよりリーパが心配だ!
目の前で祖母を殺されたんだ。ショックなはずだぞ!
「おばあちゃん…」
リーパはおばあちゃんを見つめて呆然としている。
ぉぉおお…そりゃそうだよ。
目の前で唯一の肉親が死んだら誰だってそうだよな。
すまん。謝って済む問題じゃないが、すまん!
うちのぷるんがすまん!
「んー、押入れにITEM入ってないかなー」
ぷるんんんーーーーーーー!!
おばあちゃん死んだからって家の中物色するなよ!!!
しかもアイテムが英語だよ! 大文字だよ!
「だって、RPGの基本だよ」
たしかに! 思えば泥棒だよな、あれ。
しかも住人の目の前で堂々と調べているなんて、めっちゃシュールだもんな。
それを逆手に取ってネタにした某RPGもあった気がしたな。
「あれ? それうちの帽子じゃありません?」とか。
斬新だったな。
「シゲキ君は名前を忘れると都合よく『某』を使うよね」
お前だってそんな感じだろう!
「リーパ、すまん…ほんとすまん!」
仕方ないので代わりに俺が謝る。
せめて土下座するしかない。
いつもこうだよ。ぷるんの後始末は俺になるんだ!
「謝らなければいいじゃん」
「謝るよ!! 心は普通の人間だからな!!」
「今日のシゲキ君は荒ぶるね」
荒ぶってねーよ!!!!
普通の対応、常識!!!
何かあったら謝るの常識だからな!!
「何かあったら殴って逃げるよ」
もう犯罪者だろ、お前はぁああああああーーーーー!!
完全に万引きして悪びれない思春期ボーイの思考だよ!!
まったく、若気の至りとはいえ最後は自制が必要だぞ。
俺も人生いろいろとあったが、どのみちいつかは謝ることになるんだ。
「シゲキ君にはお似合いの人生だよ」
お前のお似合いの人生はどこにあるんだよ!?
ここか!? ここの世界か!?
「わかったよ。反省するよ。ちぇっ」
これを反省とは言わない。
だが、こいつにこれ以上求めても無理なのはわかっているので諦めよう。
反省するそぶりがあるだけでも奇跡的だ。
「いいんですよ。おばあちゃんも満足だったと思います」
コインで額を打って死ぬ最期か。
これが決闘とかならまだよかったが、単に雇うか雇わないかのコインだからな。
リーパのお父さんよりましだが、俺だったらかなり凹むな。
だが、やはりリーパが心配だ…
「おばあちゃん、この牧場は私が守っていきます。だからスキルをください」
ん? 今何か言ったな。
リーパがさりげなく何か言ったぞ。
リーパはおばあちゃんの手を握った
ほんのり獣臭かった
チャチャチャーーン♪
リーパは「中級ヒツジ装備生成術」を継承した
リーパのアイテム製造技術が上がった
リーパの使用人レベルが2上がった
うおおお! なんだ!
リーパの服が少し変わったぞ!
気分はファイアーエムブレムのクラスチェンジだ!
「ベルウィックサーガじゃなくて?」
そっちは大好きだけど、クラスチェンジの難易度めっちゃ高かったぞ!!
俺は普通にやって全然駄目だったよ!
しかしあのゲームって世間じゃ難易度高いってなっているんだな。
たしかに何度もリセットしたが、昔のゲームだと当たり前だったよな。
今はなんか味方が強すぎて萎えるよ。
ぷるんだって強いしさ。
「シゲキ君、世間は安心感を欲しているんだよ。それだけ殺伐とした世の中なんだろうね」
「そうだな。ゲームでスリルを味わう時代は終わったのかもしれん」
まあ、おばあちゃん死んだけどな。
スリル満点だよ、ここ!
って、どうなったの?
「リーパちゃんはおばあちゃんからスキルを継承したんだよ」
だからそれが何かを聞いてるんだよ!!
「うわっ、すぐキレる若者だね。カルシウムが足りないんだね。はい、おばあちゃんの骨」
シュールぅううううーーー!!
やめて!! 屍を弄ばないで!!
「小指の骨だよ? 親指がいい?」
こわいよぉーーーーー!!
って、ヒツジは草食だ!
「私の骨はお高いよ!」
おばあちゃんは死んでて!!
話が進まなくなるから出てこないで!!
「特定の関係にあるNPC同士はスキルの受け渡しが可能なんだよ」
この場合、リーパとおばあちゃんには家族というつながりがあった。
おばあちゃんが死んだので、リーパが受け継ぐことができたようだ。
「スキルレベルが足りないとすぐには使えないものもあるけどね」
リーパがおばあちゃんから継承したのは、全部で三つ。
□中級ヒツジ装備生成術 レベル2
□下級ヒツジ肉加工術 レベル4
□アピール上手
「素材があれば白ヒツジ防具が作れますよ」
リーパが嬉しそうに言う。
なんだかあまりショックじゃなさそうだな。
普通、肉親が死んだらもっと泣き叫ぶはずなんだが。
それとも実は仲が良くなかったとか?
「おばあちゃんのスキルは狙っていたのでちょっと嬉しいのです。死んだものはどうしようもないですし」
まあ、なんて現金な子なんでしょう!!
めっちゃ現実主義者だよ!!
現実主義者の幼女だよ!
「やっぱりシゲキ君、あまり面白いこと言わなくなったね」
そこを抉るのはやめろ!
俺が面白いことを言うかどうかは、作者に時間の余裕があるかないかで決まるのだ!
わかったか!!
「神様がいるから大丈夫なのです」
そう言ってリーパは外にそびえる巨大な山を指さした。
ああ、あれか!
ずっと気になっていたんだよな、あの山。
なんか雲を突き抜けて頂上が見えないほど高いんだ。
その頂上にこの世界の神様がいるという。
人はみんな神様の子で、この世界で経験を積んでいるそうだ。
死んだら肉体から出て再び神様のもとに戻って、次の人生を送るらしい。
へー、そんな感じなんだな。
神様か。どんな顔してるんだろう?
「一応、竜の神様って聞いています」
うわっ、ドラクエっぽいな!!
真っ先に思い出すよな。
「ヒツジの神様だったらキモイからよかったね」
ヒツジを馬鹿にするな!!
「ヒツジの神様もいますよ」
いるのかよ!!!
「邪神ですけど」
そっちかぁああーーーーー!!
いるよ! いるけどさ!!
なんでヒツジだけいつも扱いが悪いんだよ!
ヒツジ、いいやつ! みんな正義!!
「よく二月になるとみんなで追いかけ回します。煮汁とかぶっかけます」
いじめだよ!!
それ完全にいじめだからな!!
お前ら、平和を訴える魔王とかすぐ迫害するけどやめろよ!
たぶん、そのヒツジの神様もいいやつだぞ。
「ヒツジ邪神は、『みんなでまあるく生きなさい』、『仲良く分け合いなさい』、『ヒツジを殺してはいけません』と言っていたのでリンチしました」
同じぃいいいーーーー!
魔王と同じパターンだから!!
お前らそれ以外をやらないのか!?
「でも、竹槍持って反撃してきたので毎回銃で撃ち殺してます」
もう訳がわからない!!
哀しい!!
なんだかとっても心が哀しいよ!!
「下級ヒツジ肉加工術は、缶詰とかが作れるようになります」
リーパは簡単な食肉加工しかできなかったが、スキルを受け継いだのでこれからは缶詰製造ができるそうだ。
「そのためには国の許可が必要ですけど」
まあな。衛生管理とか大切だもんな。
変なもん入れて売ったら問題だしな。
「これでシゲキ君を出荷できるね」
缶詰はいやぁぁーーーーー!!
それ以前に俺の肉で儲けようって考えはやめろよ!
「だって、いつも死ぬじゃん。あれってもったいないと思うんだよね」
たしかにたまに死ぬけどさ。
うっかり餅ネタで死ぬけどさ。
だからって解体するなよ!
「ちぇっ、じゃあ毛を詰めて売ろうね」
…なんか違うな。
道義的には間違っていないんだが、何か違うな。
缶詰にする意味がない。
「イカ臭い毛って触れ込みで売るんだよ」
そんなのそこらへんの中二男子なら誰でもイカ臭いぞ!!
だいたい馬鹿だからな、中二は。
エロ以外のことは考えていないものだ。
「それはシゲキさんだけですよ」
リーパにつっこまれたぁぁああああーーー!!
「そういえば最近、シゲキ君って破廉恥な言動あまりしないね」
ん、そうか?
そういえばそうだな。
人間だった頃はしょっちゅうセクハラ発言していた気もする。
だが、今はあまりしないな。
うん、まあ、今までのあれでもしていないほうなんだ。前はもっと酷かったし。
なんでだ?
「発情期じゃないからですよ」
うっそぉぉーーーーーーー!
俺ってそんなものに影響されるようになっちゃったのぉーーー!
たしかにあまり発情しない!!
嘘だ! 嘘だと言ってくれ!
「はい、雌ヒツジの写真。みんな丸出しだよ」
きぃぃいいいーーーーーーー!
屈辱的!!!
「最後のアピール上手って何だ?」
リーパが継承したスキルにアピール上手がある。
なんだこれ? パワプロにはあったけど…
「私はお高いよ!!」
それかぁああーーーーー!!
それ受け継いじゃったかぁあーーー!!
はっきり言っておばあちゃんはアピール下手だったけどな。
完全に使いどころを間違えておった。
が、スキルとしてある以上、何か役立つんだろうな。
「おばあちゃんは昔、夜の町で使っていたみたいなんですが…どういう意味でしょう?」
うん、どういう意味なんだろうね。
純朴なヒツジの俺にはよくわからないよ。
発情期じゃないしな。
「へっ、売女(ばいた)の孫か」
ぷるんんんーーーーーーー!!!
これライトノベルだからさ!
ライトって軽いって意味だからさ! たぶんな!
ある意味じゃダークノベルになっちゃうから! やめてね!
「おばあちゃん、一度も売れなかったみたいですけど」
うわぁあああーーーん!!
涙が止まらない!!
「じゃあ、今後は牧場経営も一緒にやっていくからよろしくね」
うむ、これで一章も終わりなので、次回からは「牧場拡張編」に入る。
なんだかんだいって異世界にも馴染んできたよな。
「早く黒ヒツジ帝国編に行こうよ。神崎さん永遠に仲間にならないよ」
「ネタバレすんなよ、お前!!」
「表紙にいるからいいかなって」
まあ、たしかにそうなんだが…。
神崎さんは表紙の右側にいる黒髪の女の子だ。
彼女も元の世界での同級生の一人だな。ぷるんと同じクラスだ。
正直いって、彼女と俺は似たポジションにいる。
そう、同じぷるんの被害者という立場だ。
俺としては被害者を増やしたくないので、まだ仲間にしたくない。
「本当は作者が『誰々が言った』とか書くのが面倒だから入れたくないだけなんだよ」
本音が過ぎるーーーーーーー!!
小説ってゲームと違って「と、誰々が言った」的なことを書かないといけないから面倒なんだよな。
俺とぷるんだけなら台詞だけでわかるから楽なのだが、もう一人や二人増えるとかなりしんどいのは事実だ。
「私だって、ちゃんとシゲキ君って毎回名前呼ぶとかの配慮しているんだよ。がんばっているよ」
「お前、ぶっちゃけすぎだぞ。さすがに章終わりっていっても自重しろよ!」
ということで、ここで終わりにする。
こんなのダラダラやっていられないからな!!
どんどん酷くなるよ、この小説!
「シゲキ君、また死ぬオチ?」
「大丈夫、これは予告じゃないからな!!」
へへん。そこで区切らなければ予告ではないのだ。
毎回死んでいたら味わいがなくなるからな。
「やっぱりネタじゃん」
「今は何を言われても気にしない! 死なないことが先だ!!」
こいつに付き合ったら死んでしまう。
それがこの章で覚えた一番有意義な教訓だな。
それじゃ、またな!
「シゲキ君、死ね! シゲキ君、死ね!」
やめろよぉおおおおおおおーーーーーー!!!
ライブのアンコールみたいに言うなよぉおおおおお!!!
ネタじゃねえんだよ!!!
本気で生きてんだよ! ヒツジだけどな!!
もうヒツジも慣れたよ! 好きにしろよ!!
今度こそじゃあな!
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