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「ここは異世界だよ」編
二十二話めぇ~ 「新しいテンプレだね」
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「田中さんが死んじゃった!!!」
仲間になった次の話で死んじゃったよ!
交渉でごねて連れていかれて死ぬなんて、どんなスキルだよ!
「シゲキ君、失敗の代償は死だよ。そんなの当たり前じゃん」
交渉怖い!!
それってヤクザ同士の交渉じゃないのか!?
田中さんは無職だぞ! ただの浮浪者だぞ!
うぉおお、田中さぁーーーん。
「それじゃ、ステータス確認しようか」
すでに田中さんのことは闇に葬ったようだ。
おそらくもう記憶の片隅にすらないだろう。
「いいじゃん。シゲキ君だって邪魔だったでしょう?」
邪魔とか言うなよぉおおおおおお!!
心が痛いじゃねえか!!
いやべつにな、そんなに嫌いじゃなかった…
いや、嘘だな。あまり好きじゃなかったけど、さすがに死んでもいいとは…
いや、死んでもいいかなと思ったけど、本当に死ぬとは!!
「私にとってシゲキ君以外は必要ないんだよ」
「ぷるん…」
お前、そんなこと言われたらぐっとくるじゃねえか。
そりゃ俺だって同じ世界から来たお前は特別だ。
いや、それ以上に俺はお前が…
「役に立たないやつはいてもしょうがないし。シゲキ君未満はちょっと…」
ラム肉かぁああああああーーーーーーー!
ラム肉のことか!!!
「だって、召喚したものが死なないなんておかしいでしょ?」
ううむ、たしかに。それには異論がない。
思えば召喚したやつが不死身というのはおかしい。
召喚したということは移動したということであって、ダメージを受ければ死ぬはずだ。
「だから仕方ないんだよ」
そう…なのか?
ううむ、たまにぷるんの言葉は正論すぎて言い返せないな。
まあ、この話は終わっておこう。過去を振り返っても何もないしな。
「これでもう私たちは完全に真っ白だよ」
田中さんがいなくなって完全に事件は終わった。
俺にはこいつが真っ黒に見える。
むしろ抹殺するために仲間にしたのではないかと疑うほどだ。
「じゃあ、改めてステータスの確認だね」
そういえばサンドシャークを倒してレベルが上がったんだよな。
俺はレベル6になって、ぷるんは4になった。
いい機会だ。ここでちゃんと確認してみよう。
今までとりあえず出してみただけだったし、今度は本格的にステータスを見てみよう。
「つまるところ、少しはテンプレ作っておこうかって話だよね」
身も蓋もないがそうだな。
はっきり言って作者の思いつきで増えたり消えたりするからな。
よし、じゃあ出してみよう!
□名前 :シゲキ
□職業 :ヒツジ
□レベル:6
□HP :25
□MP :10
◇攻撃力:5+6
◇防御力:4+10
◇素早さ:9
◇命中 ;5
◇回避 :10
◇装備
■頭 :ウサドリルホーン【攻撃力+6・射撃可能・残弾2】
■胴 :ヌーボーの防護服【防御力+10】
■右手 :汚い蹄
■左手 :汚い蹄
■足 :薄汚れた蹄
☆スキル
「永遠のヒツジ」:死んでも再生する。死ぬたびにツッコミのキレが落ちる。戦闘中に死んだ場合、再生は終了後までストップする。
「リアップ」:毛が増える。防御力+20~40%、回避-20~40%。再生後すぐに使うと死亡する。
「餅ネタ」:使うと喉にクッキーが詰まって死ぬ。戦闘中に使うと敵が逃げていく。
「ドリル連続発射」:射撃可能ドリルホーンを連続で発射する。回数はその時の雰囲気で決まる。
うぉおおおお!!
なんか変わったぁあああーーー!
テンプレちょっと変わった!!
作者少しだけやる気出したっぽい!
「あれ? でも俺の年齢がないぞ」
それに何匹目とかもない。
今まで死んだら「シゲキ~匹目」とかあったのに、それがない。
「ああ、なんだかもう面倒だからやめたって」
面倒ってなんだよ!
俺の命だぞ! 大切! 俺の命の回数、大切!!
「じゃあ、今何匹目?」
「そ、それは…!」
すまん。俺もすでに忘れている。
十匹目か十一匹目かもしれないが、もうどうでもいいか。
何かあったら何か起こるだろうしな。
それと攻撃力とか素早さとかの項目も増えているな。
戦闘中には何か表示されているが、こうしてステータスで見たのは初めてだ。
「素早さはターン内での行動回数に関係して、命中と回避はそのまま基本値へのプラス補正みたいだね」
そういえば、相手とこちらの攻撃は交互じゃなかった気がするな。
俺が連続して動いたこともあったような。
「ヒツジってさ、支援系だからけっこう素早いんだよね」
なるほどな。
攻撃は弱いがサポートには向いているんだな。
今も戦闘ではアイテム係だしな。俺はそれでまったく問題ないけど。
「あっ、シゲキ君、スキル増えてるよ!」
本当だ! 「ドリル連続発射」が増えている!
しかも今回から説明が載っているので実にわかりやすい。
しかしここで油断してはいけない。
このスキル欄には詳細というものがあるのだ。それが怖い。
☆「ドリル連続発射」
射撃可能ドリルホーンを連続で発射する。回数はその時の雰囲気で決まる。
最大は五発連続で発射するが、たまに失敗して足を骨折する。
使用には武器が連続発射に対応している必要がある。
残弾が五を下回っている場合は、残っている数だけ発射する。
失敗するのかよぉおおーーーーー!
しかも骨折!?
四つ足動物が骨折したらもう致命傷だぞ!
「でも、すぐに治るじゃん」
そういう問題じゃない!
明らかに芸人向けのスキルとしか思えない。
「はーい、これから足を挫くネタやりまーす!」とか言ってジャンプして捻挫するつもりがうっかり骨折した芸人みたいじゃないか!
「そんなネタ持っている芸人いたっけ?」
「俺が芸人に求めるレベルがこれくらいだということだ」
やはり芸人である以上、骨くらいは折らねばならない。
みんなてっきり笑いが起こるものだと想定していたら、「あれ? もしかして本当にやばい?」みたいな空気になって青ざめていく感覚。これが芸だ。
「シゲキ君は芸に対して容赦なく厳しいね」
甘く見るなーーーー!
芸の世界を甘くみるんじゃない!!
これでもだいぶ甘いほうだ。
まあ、雰囲気的には脱出マジックで本気で鍵が開かなくて大怪我する感じに似ているな。
俺もこんな芸人がいたらちょっと引くし、ほどほどにやろうな。
やっぱりスキルには裏があったか。
しかし、五発はおいしい。かなりの威力だ。
ぷるんの言う通り戦闘後に怪我はすぐ直るから、ここぞという時には使えそうだ。
「あっ、でも武器が連続発射に対応していないと駄目ってあるよ」
たしかに書いてある。
これはたき火会議の時も話に出たな。
まずはアイテム改造をしないと使えないらしい。
「あとでアイテム改造屋を見に行ってみようか」
うむ。だんだんとRPGしておる。
なんだか非常にいいぞ。
「じゃあ、次は私だね」
□名前 :ぷるん
□職業 :ヒツジ戦士
□レベル:4
□HP :130
□MP :22
◇攻撃力:32+26(+3)
◇防御力:16+9
◇素早さ:4
◇命中 ;10
◇回避 :4
◇装備
■頭 :ぷるんの髪留め
■胴 :白革の鎧【防御力+5】
■右手 :肉切り包丁【攻撃力+26・第二段階】
■左手 :ミーリムの篭手【攻撃力+3・防御力+4・加護付き】
■足 :ぷるんのスニーカー
☆スキル
「ヒツジ武具装備可」:上級および伝説の白ヒツジ武具を装備できる。
「野性化」:興奮すると攻撃のたびに最大HPと攻撃力が上がっていく。最大二倍まで。防御力と回避が-50%。
「ナックル攻撃可」:篭手やナックルを装備しているときに打撃攻撃ができる。
「範囲攻撃」:攻撃範囲内の敵を同時攻撃。ダメージは敵の数で分割。
「百倍返し」:野性化時、受けたダメージを百倍にして返す。ただし相手の最大HPが自分よりも下回っている場合のみ発動。失敗すると自分もダメージを受ける。
やっぱりこいつのHPがおかしい。
レベル4でどんだけ高いんだ。
攻撃力だって素手が武器を上回っているってどうなんだろうな。
やっぱりこいつジャイアントクマーを素手で倒せた可能性がかなり高い。
総合的にはやっぱり攻撃系戦士って感じかな。
「あれ? ぷるんのニッキーって攻撃力+20だったよな」
「うん、進化したみたいだね」
今は第二段階で攻撃力が26になっとる。
こうしたアイテムは「進化系jと呼ばれるらしくて、一定の条件を満たすとパワーアップするようだ。
「ニッキーが言うには十段階まで進化するらしいよ」
ニッキーが言うには!?
そういえばサンドシャークの血を吸ったあたりからなんかしゃべっていたな、あれ。
本当に大丈夫か?
「食肉にされた豚の怨念が宿っているらしいよ」
ひぃいいいーーーー!
怨念の段階でやばいって!
その気持ちはわかるが、ちょっとリアルで笑えないな。
「百倍返しって失敗するんだね」
本当だ。そう書いてあるな。
こうして見るとぷるんの能力ってリスク高いものが多いな。
他を犠牲にしてもひたすら攻撃特化って感じだよな。
「シゲキ君がいるからいいけどね」
「でも、俺は防御主体じゃないぞ。直撃したら俺なんてすぐに離脱だ」
そうなんだよな。あくまでヒツジでしかない。
サンドシャークのあの大きな砂弾くらったら即死だっただろうし、防御に難点があるパーティーだよな。
もしいきなり俺が離脱していたら、ぷるん一人で勝てたかどうか微妙な線だ。
そう思うとけっこうやばかったよな。
「じゃあ、今回はそのあたりの強化を兼ねての買い物だね」
「そういえば金は今いくらあるんだ」
「うーん、四百九十万くらいかな」
え? なんかおかしくないか。
だって討伐前の買い物で八十万くらい使ったんじゃね?
それだと計算が合わないよな。
素材売ったっけ? まだあるよな。
「サンドシャークの討伐報奨金もらったんだよね。それが七十万くらいかな」
俺の知らない間にもらっていたのか。
というか、もう完全にゴールド表記は無視なのな。
わかりやすいからいいけどさ。
サンドシャークで七十万か。高いのか安いのかわからないな。
俺たちはちょっと特殊な能力があるから倒せたけど、普通の人は死んじゃう場合だってあるわけだ。
大怪我したら治療費で消える可能性だってあるし、ハンターは命がけだな。
だが、逆に考えれば俺たちは生活費はなんとかなるってことか。
うむ、朗報だな。
「あのさ、買い物したいんだけど、いい?」
まあ、そういう予定だったしな。
代わりの武器とかアイテム整理とかいろいろやることあるよな。
「うん、それもそうなんだけどね…」
ん? ぷるんのやつ、何か言いたそうだな。
こいつがこんな感じで言うなんて珍しい。
「なんだよ、改まって」
「元の世界に帰れるかどうかは別としてさ、しばらくこっちにいるわけじゃん」
正確に言うならば、こいつが個人的にいたいんだろうな。
とはいえ、たしかに元の世界に戻れる保証なんてないし、そもそもここが何なのかすらよくわからない。
しばらくどころかずっといる可能性もあるわけだ。
「ならさ、やっぱり拠点が必要だと思うんだ」
「拠点っていうと家とかか?」
ふむ、一理ある。というか百理ある。
やっぱり人間には家が必要だよな。
落ち着ける空間は癒しでもあるし、人生の基盤だ。
ずっと野宿というわけもいくまい。
じゃあ、宿屋にするか?
冒険者って各地の宿屋を巡っている印象があるよな。
ドラクエとかは家があったりするけどさ。だいたいは流浪って感じだもんな。
「だからさ、家を買おうと思うんだ」
マイホーーーームッ!!!
まだレベル6(ぷるんは4)にしてマイホームを買おうってのか!?
おいおい、俺たちのスウィートハウスか?
甘々の生活をキボンヌ!
「シゲキ君、キボンヌって死語らしいよ」
うっそぉおおーーーーー!
俺の中じゃまだ現役なんだけど!!
つーか、こないだメールで使っちゃったよ!!
どうりでそこに対して反応ないと思ったよ!
「家っていっても牧場だけどね」
これ牧場物語だーーーー!!
そうだった! 牧場だった!
って、牧場に住むのか?
それはそれでちょっと問題がありそうだぞ!
「まあ、私に任せてよ。ゲームの時はちゃんと経営していたんだからね」
うん、牧場を経営しながら魔王を倒すゲームなんだもんな。
それは正しいといえる。
「じゃあ、牧場を買うよ」
「わかった。俺も賛成だ。買ってもいいぞ」
やはり拠点は必要だろう。
それにどんなシステムかちょっと興味があるしな。
そういうことにお金を使うならいいぞ。
うむ。許可する。
「私のお金だからもともと好きに使うつもりだったけどね」
共有資金じゃねえのかよ!!
俺たち仲間じゃなかったのか! なあ!
「だって、シゲキ君お金持てないじゃん。ほら」
「うっ、うっ!! 蹄が!」
こいつ、事あるごとに俺がヒツジであることを認識させようとしてくるな。
いつまでもこの関係を続けるわけにはいかん!
俺だってやるときはやるぞ!
「ええーーーい!」
ガツッ!!
ぎゃぁああーーーー!!
挟まったーーーーーー!!
蹄の隙間にコインが挟まったーーーー!
たとえるならば歯の隙間に魚の骨が挟まった感じだ!!
硬い、気になる、ちょっと痛い!!
「あはは、天罰だね」
むきぃーーーー!
じゃあ、次回は「シゲキとぷるん、牧場を買う」の巻だ。
それじゃ、またな!! 次も見てくれよな!
んがんんっ
シゲキは死んだ。
「シゲキくぅーーーーん!」
仲間になった次の話で死んじゃったよ!
交渉でごねて連れていかれて死ぬなんて、どんなスキルだよ!
「シゲキ君、失敗の代償は死だよ。そんなの当たり前じゃん」
交渉怖い!!
それってヤクザ同士の交渉じゃないのか!?
田中さんは無職だぞ! ただの浮浪者だぞ!
うぉおお、田中さぁーーーん。
「それじゃ、ステータス確認しようか」
すでに田中さんのことは闇に葬ったようだ。
おそらくもう記憶の片隅にすらないだろう。
「いいじゃん。シゲキ君だって邪魔だったでしょう?」
邪魔とか言うなよぉおおおおおお!!
心が痛いじゃねえか!!
いやべつにな、そんなに嫌いじゃなかった…
いや、嘘だな。あまり好きじゃなかったけど、さすがに死んでもいいとは…
いや、死んでもいいかなと思ったけど、本当に死ぬとは!!
「私にとってシゲキ君以外は必要ないんだよ」
「ぷるん…」
お前、そんなこと言われたらぐっとくるじゃねえか。
そりゃ俺だって同じ世界から来たお前は特別だ。
いや、それ以上に俺はお前が…
「役に立たないやつはいてもしょうがないし。シゲキ君未満はちょっと…」
ラム肉かぁああああああーーーーーーー!
ラム肉のことか!!!
「だって、召喚したものが死なないなんておかしいでしょ?」
ううむ、たしかに。それには異論がない。
思えば召喚したやつが不死身というのはおかしい。
召喚したということは移動したということであって、ダメージを受ければ死ぬはずだ。
「だから仕方ないんだよ」
そう…なのか?
ううむ、たまにぷるんの言葉は正論すぎて言い返せないな。
まあ、この話は終わっておこう。過去を振り返っても何もないしな。
「これでもう私たちは完全に真っ白だよ」
田中さんがいなくなって完全に事件は終わった。
俺にはこいつが真っ黒に見える。
むしろ抹殺するために仲間にしたのではないかと疑うほどだ。
「じゃあ、改めてステータスの確認だね」
そういえばサンドシャークを倒してレベルが上がったんだよな。
俺はレベル6になって、ぷるんは4になった。
いい機会だ。ここでちゃんと確認してみよう。
今までとりあえず出してみただけだったし、今度は本格的にステータスを見てみよう。
「つまるところ、少しはテンプレ作っておこうかって話だよね」
身も蓋もないがそうだな。
はっきり言って作者の思いつきで増えたり消えたりするからな。
よし、じゃあ出してみよう!
□名前 :シゲキ
□職業 :ヒツジ
□レベル:6
□HP :25
□MP :10
◇攻撃力:5+6
◇防御力:4+10
◇素早さ:9
◇命中 ;5
◇回避 :10
◇装備
■頭 :ウサドリルホーン【攻撃力+6・射撃可能・残弾2】
■胴 :ヌーボーの防護服【防御力+10】
■右手 :汚い蹄
■左手 :汚い蹄
■足 :薄汚れた蹄
☆スキル
「永遠のヒツジ」:死んでも再生する。死ぬたびにツッコミのキレが落ちる。戦闘中に死んだ場合、再生は終了後までストップする。
「リアップ」:毛が増える。防御力+20~40%、回避-20~40%。再生後すぐに使うと死亡する。
「餅ネタ」:使うと喉にクッキーが詰まって死ぬ。戦闘中に使うと敵が逃げていく。
「ドリル連続発射」:射撃可能ドリルホーンを連続で発射する。回数はその時の雰囲気で決まる。
うぉおおおお!!
なんか変わったぁあああーーー!
テンプレちょっと変わった!!
作者少しだけやる気出したっぽい!
「あれ? でも俺の年齢がないぞ」
それに何匹目とかもない。
今まで死んだら「シゲキ~匹目」とかあったのに、それがない。
「ああ、なんだかもう面倒だからやめたって」
面倒ってなんだよ!
俺の命だぞ! 大切! 俺の命の回数、大切!!
「じゃあ、今何匹目?」
「そ、それは…!」
すまん。俺もすでに忘れている。
十匹目か十一匹目かもしれないが、もうどうでもいいか。
何かあったら何か起こるだろうしな。
それと攻撃力とか素早さとかの項目も増えているな。
戦闘中には何か表示されているが、こうしてステータスで見たのは初めてだ。
「素早さはターン内での行動回数に関係して、命中と回避はそのまま基本値へのプラス補正みたいだね」
そういえば、相手とこちらの攻撃は交互じゃなかった気がするな。
俺が連続して動いたこともあったような。
「ヒツジってさ、支援系だからけっこう素早いんだよね」
なるほどな。
攻撃は弱いがサポートには向いているんだな。
今も戦闘ではアイテム係だしな。俺はそれでまったく問題ないけど。
「あっ、シゲキ君、スキル増えてるよ!」
本当だ! 「ドリル連続発射」が増えている!
しかも今回から説明が載っているので実にわかりやすい。
しかしここで油断してはいけない。
このスキル欄には詳細というものがあるのだ。それが怖い。
☆「ドリル連続発射」
射撃可能ドリルホーンを連続で発射する。回数はその時の雰囲気で決まる。
最大は五発連続で発射するが、たまに失敗して足を骨折する。
使用には武器が連続発射に対応している必要がある。
残弾が五を下回っている場合は、残っている数だけ発射する。
失敗するのかよぉおおーーーーー!
しかも骨折!?
四つ足動物が骨折したらもう致命傷だぞ!
「でも、すぐに治るじゃん」
そういう問題じゃない!
明らかに芸人向けのスキルとしか思えない。
「はーい、これから足を挫くネタやりまーす!」とか言ってジャンプして捻挫するつもりがうっかり骨折した芸人みたいじゃないか!
「そんなネタ持っている芸人いたっけ?」
「俺が芸人に求めるレベルがこれくらいだということだ」
やはり芸人である以上、骨くらいは折らねばならない。
みんなてっきり笑いが起こるものだと想定していたら、「あれ? もしかして本当にやばい?」みたいな空気になって青ざめていく感覚。これが芸だ。
「シゲキ君は芸に対して容赦なく厳しいね」
甘く見るなーーーー!
芸の世界を甘くみるんじゃない!!
これでもだいぶ甘いほうだ。
まあ、雰囲気的には脱出マジックで本気で鍵が開かなくて大怪我する感じに似ているな。
俺もこんな芸人がいたらちょっと引くし、ほどほどにやろうな。
やっぱりスキルには裏があったか。
しかし、五発はおいしい。かなりの威力だ。
ぷるんの言う通り戦闘後に怪我はすぐ直るから、ここぞという時には使えそうだ。
「あっ、でも武器が連続発射に対応していないと駄目ってあるよ」
たしかに書いてある。
これはたき火会議の時も話に出たな。
まずはアイテム改造をしないと使えないらしい。
「あとでアイテム改造屋を見に行ってみようか」
うむ。だんだんとRPGしておる。
なんだか非常にいいぞ。
「じゃあ、次は私だね」
□名前 :ぷるん
□職業 :ヒツジ戦士
□レベル:4
□HP :130
□MP :22
◇攻撃力:32+26(+3)
◇防御力:16+9
◇素早さ:4
◇命中 ;10
◇回避 :4
◇装備
■頭 :ぷるんの髪留め
■胴 :白革の鎧【防御力+5】
■右手 :肉切り包丁【攻撃力+26・第二段階】
■左手 :ミーリムの篭手【攻撃力+3・防御力+4・加護付き】
■足 :ぷるんのスニーカー
☆スキル
「ヒツジ武具装備可」:上級および伝説の白ヒツジ武具を装備できる。
「野性化」:興奮すると攻撃のたびに最大HPと攻撃力が上がっていく。最大二倍まで。防御力と回避が-50%。
「ナックル攻撃可」:篭手やナックルを装備しているときに打撃攻撃ができる。
「範囲攻撃」:攻撃範囲内の敵を同時攻撃。ダメージは敵の数で分割。
「百倍返し」:野性化時、受けたダメージを百倍にして返す。ただし相手の最大HPが自分よりも下回っている場合のみ発動。失敗すると自分もダメージを受ける。
やっぱりこいつのHPがおかしい。
レベル4でどんだけ高いんだ。
攻撃力だって素手が武器を上回っているってどうなんだろうな。
やっぱりこいつジャイアントクマーを素手で倒せた可能性がかなり高い。
総合的にはやっぱり攻撃系戦士って感じかな。
「あれ? ぷるんのニッキーって攻撃力+20だったよな」
「うん、進化したみたいだね」
今は第二段階で攻撃力が26になっとる。
こうしたアイテムは「進化系jと呼ばれるらしくて、一定の条件を満たすとパワーアップするようだ。
「ニッキーが言うには十段階まで進化するらしいよ」
ニッキーが言うには!?
そういえばサンドシャークの血を吸ったあたりからなんかしゃべっていたな、あれ。
本当に大丈夫か?
「食肉にされた豚の怨念が宿っているらしいよ」
ひぃいいいーーーー!
怨念の段階でやばいって!
その気持ちはわかるが、ちょっとリアルで笑えないな。
「百倍返しって失敗するんだね」
本当だ。そう書いてあるな。
こうして見るとぷるんの能力ってリスク高いものが多いな。
他を犠牲にしてもひたすら攻撃特化って感じだよな。
「シゲキ君がいるからいいけどね」
「でも、俺は防御主体じゃないぞ。直撃したら俺なんてすぐに離脱だ」
そうなんだよな。あくまでヒツジでしかない。
サンドシャークのあの大きな砂弾くらったら即死だっただろうし、防御に難点があるパーティーだよな。
もしいきなり俺が離脱していたら、ぷるん一人で勝てたかどうか微妙な線だ。
そう思うとけっこうやばかったよな。
「じゃあ、今回はそのあたりの強化を兼ねての買い物だね」
「そういえば金は今いくらあるんだ」
「うーん、四百九十万くらいかな」
え? なんかおかしくないか。
だって討伐前の買い物で八十万くらい使ったんじゃね?
それだと計算が合わないよな。
素材売ったっけ? まだあるよな。
「サンドシャークの討伐報奨金もらったんだよね。それが七十万くらいかな」
俺の知らない間にもらっていたのか。
というか、もう完全にゴールド表記は無視なのな。
わかりやすいからいいけどさ。
サンドシャークで七十万か。高いのか安いのかわからないな。
俺たちはちょっと特殊な能力があるから倒せたけど、普通の人は死んじゃう場合だってあるわけだ。
大怪我したら治療費で消える可能性だってあるし、ハンターは命がけだな。
だが、逆に考えれば俺たちは生活費はなんとかなるってことか。
うむ、朗報だな。
「あのさ、買い物したいんだけど、いい?」
まあ、そういう予定だったしな。
代わりの武器とかアイテム整理とかいろいろやることあるよな。
「うん、それもそうなんだけどね…」
ん? ぷるんのやつ、何か言いたそうだな。
こいつがこんな感じで言うなんて珍しい。
「なんだよ、改まって」
「元の世界に帰れるかどうかは別としてさ、しばらくこっちにいるわけじゃん」
正確に言うならば、こいつが個人的にいたいんだろうな。
とはいえ、たしかに元の世界に戻れる保証なんてないし、そもそもここが何なのかすらよくわからない。
しばらくどころかずっといる可能性もあるわけだ。
「ならさ、やっぱり拠点が必要だと思うんだ」
「拠点っていうと家とかか?」
ふむ、一理ある。というか百理ある。
やっぱり人間には家が必要だよな。
落ち着ける空間は癒しでもあるし、人生の基盤だ。
ずっと野宿というわけもいくまい。
じゃあ、宿屋にするか?
冒険者って各地の宿屋を巡っている印象があるよな。
ドラクエとかは家があったりするけどさ。だいたいは流浪って感じだもんな。
「だからさ、家を買おうと思うんだ」
マイホーーーームッ!!!
まだレベル6(ぷるんは4)にしてマイホームを買おうってのか!?
おいおい、俺たちのスウィートハウスか?
甘々の生活をキボンヌ!
「シゲキ君、キボンヌって死語らしいよ」
うっそぉおおーーーーー!
俺の中じゃまだ現役なんだけど!!
つーか、こないだメールで使っちゃったよ!!
どうりでそこに対して反応ないと思ったよ!
「家っていっても牧場だけどね」
これ牧場物語だーーーー!!
そうだった! 牧場だった!
って、牧場に住むのか?
それはそれでちょっと問題がありそうだぞ!
「まあ、私に任せてよ。ゲームの時はちゃんと経営していたんだからね」
うん、牧場を経営しながら魔王を倒すゲームなんだもんな。
それは正しいといえる。
「じゃあ、牧場を買うよ」
「わかった。俺も賛成だ。買ってもいいぞ」
やはり拠点は必要だろう。
それにどんなシステムかちょっと興味があるしな。
そういうことにお金を使うならいいぞ。
うむ。許可する。
「私のお金だからもともと好きに使うつもりだったけどね」
共有資金じゃねえのかよ!!
俺たち仲間じゃなかったのか! なあ!
「だって、シゲキ君お金持てないじゃん。ほら」
「うっ、うっ!! 蹄が!」
こいつ、事あるごとに俺がヒツジであることを認識させようとしてくるな。
いつまでもこの関係を続けるわけにはいかん!
俺だってやるときはやるぞ!
「ええーーーい!」
ガツッ!!
ぎゃぁああーーーー!!
挟まったーーーーーー!!
蹄の隙間にコインが挟まったーーーー!
たとえるならば歯の隙間に魚の骨が挟まった感じだ!!
硬い、気になる、ちょっと痛い!!
「あはは、天罰だね」
むきぃーーーー!
じゃあ、次回は「シゲキとぷるん、牧場を買う」の巻だ。
それじゃ、またな!! 次も見てくれよな!
んがんんっ
シゲキは死んだ。
「シゲキくぅーーーーん!」
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ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
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2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
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唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
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【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます
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* さらっとファンタジー系程度
* 完結保証付き
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誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
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システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
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主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
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