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そんなことを考えながら、もたもたと帰る支度を整え、学校を出る。
忘れていたが外は雨だ。雷もなっている。まあ中学は学区内なのでそんなに遠くない。傘が無くても多少平気だろう。なんなら雨の冷たさで頭も冷やされれば良いと思う。さっきからいろんな事を考えてばかりだ。
雨の中走るでもなく。少しゆっくりめに、傘もささずに歩いていた。
家に帰ろうと思っていたはずなのに、気付いたら湊の家の前にいた。相談に乗るとは言ってくれていたが、俺が男に恋愛感情を持っているなんて急に言われても困るだけだろうと自嘲し、今度こそ家に帰ろうと思った。その時、
「圭吾…?」
と、誰かに呼ばれて振り返るとそこにいたのは湊だった。
なんというタイミングだろうか、会ってしまったらなりふり構わず泣きわめいてしまいそうだから帰ろうと思ったのに…。
しかし、俺一人でこのまま抱え込むにも辛い。たとえ話さなかったとしても誰かにそばにいて欲しかった。そんなことをぐだぐだ考えている間に湊は俺の前まで来ていた。
「やっぱり圭吾だ。どうしたの?ずぶ濡れじゃん!取りあえず家入ろ?」
優しく話しかけてくれる湊に、圭吾の涙腺は崩壊してしまった。最近湊の前で泣いてばかりだなぁなどと全く見当違いなことを考えている間にも、湊は
「風呂沸かすから入っちゃいな、よく暖まってから出てきなよ。」
と、着替えを用意してくれたり、タオルを出してくれたり、家にも連絡を入れておいてくれた。
お風呂で暖まった圭吾は、少し気持ちも落ち着いていた。着替えは湊の洋服を出してくれたのだろうが、ぶかぶかでズボンは手で押さえていないとストンと落ちてしまう。Tシャツも湊が着ると普通なのに俺が着るとワンピースみたいだ。伸長差がうらめしい。
そんなことを考えていたら、雅人のことで落ち込んでいた気持ちなどどこかへ行ってしまったようですっかりお泊まりの楽しい気分になってしまっていた。自分のことながら単純だなぁなどと思いながらも、リビングの方へ出た。
リビングのドアを開けると、とても良い匂いがした。湊が夜ご飯を作ってくれていたようだ。
「お風呂ありがとう。」
と声をかけると、顔をあげてこちらを見たがすぐ下を向いてしまう。湊の顔が少し赤くなっていた気がするが気のせいかな?とスルーした。
「ちゃんと暖まった?ご飯出来たから、一緒に食べよ。」
と席に並べてくれる。湊はお世話上手でつい甘えてしまう。湊の近くが安心できるのも、母性的ななにかでもあるのだろうか?
その後ご飯を食べ湊もお風呂に入り終わると、並んでソファーに座りテレビを見てまったりした。やはり湊は俺が話すまで聞かないでくれるようで、泣いていたことについて触れないでくれた。
寝るとき、いつもは湊がベットで、俺はベットの隣に布団を敷いて寝るのだが、まだ少し不安な気持ちがあった俺は、
「ベットに入っても良い?……一緒に寝たい。」
と言ってみた。湊は俺の状況に察しがついているらしく、
「いいよ。」
と言って、隣を少し開けてくれた。
疲れていたのだろう。俺はそこに潜りこんですぐに瞼が重くなってきた。
「お休み。」
という湊の優しい声を最後に眠りについた。
忘れていたが外は雨だ。雷もなっている。まあ中学は学区内なのでそんなに遠くない。傘が無くても多少平気だろう。なんなら雨の冷たさで頭も冷やされれば良いと思う。さっきからいろんな事を考えてばかりだ。
雨の中走るでもなく。少しゆっくりめに、傘もささずに歩いていた。
家に帰ろうと思っていたはずなのに、気付いたら湊の家の前にいた。相談に乗るとは言ってくれていたが、俺が男に恋愛感情を持っているなんて急に言われても困るだけだろうと自嘲し、今度こそ家に帰ろうと思った。その時、
「圭吾…?」
と、誰かに呼ばれて振り返るとそこにいたのは湊だった。
なんというタイミングだろうか、会ってしまったらなりふり構わず泣きわめいてしまいそうだから帰ろうと思ったのに…。
しかし、俺一人でこのまま抱え込むにも辛い。たとえ話さなかったとしても誰かにそばにいて欲しかった。そんなことをぐだぐだ考えている間に湊は俺の前まで来ていた。
「やっぱり圭吾だ。どうしたの?ずぶ濡れじゃん!取りあえず家入ろ?」
優しく話しかけてくれる湊に、圭吾の涙腺は崩壊してしまった。最近湊の前で泣いてばかりだなぁなどと全く見当違いなことを考えている間にも、湊は
「風呂沸かすから入っちゃいな、よく暖まってから出てきなよ。」
と、着替えを用意してくれたり、タオルを出してくれたり、家にも連絡を入れておいてくれた。
お風呂で暖まった圭吾は、少し気持ちも落ち着いていた。着替えは湊の洋服を出してくれたのだろうが、ぶかぶかでズボンは手で押さえていないとストンと落ちてしまう。Tシャツも湊が着ると普通なのに俺が着るとワンピースみたいだ。伸長差がうらめしい。
そんなことを考えていたら、雅人のことで落ち込んでいた気持ちなどどこかへ行ってしまったようですっかりお泊まりの楽しい気分になってしまっていた。自分のことながら単純だなぁなどと思いながらも、リビングの方へ出た。
リビングのドアを開けると、とても良い匂いがした。湊が夜ご飯を作ってくれていたようだ。
「お風呂ありがとう。」
と声をかけると、顔をあげてこちらを見たがすぐ下を向いてしまう。湊の顔が少し赤くなっていた気がするが気のせいかな?とスルーした。
「ちゃんと暖まった?ご飯出来たから、一緒に食べよ。」
と席に並べてくれる。湊はお世話上手でつい甘えてしまう。湊の近くが安心できるのも、母性的ななにかでもあるのだろうか?
その後ご飯を食べ湊もお風呂に入り終わると、並んでソファーに座りテレビを見てまったりした。やはり湊は俺が話すまで聞かないでくれるようで、泣いていたことについて触れないでくれた。
寝るとき、いつもは湊がベットで、俺はベットの隣に布団を敷いて寝るのだが、まだ少し不安な気持ちがあった俺は、
「ベットに入っても良い?……一緒に寝たい。」
と言ってみた。湊は俺の状況に察しがついているらしく、
「いいよ。」
と言って、隣を少し開けてくれた。
疲れていたのだろう。俺はそこに潜りこんですぐに瞼が重くなってきた。
「お休み。」
という湊の優しい声を最後に眠りについた。
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