上 下
180 / 224
第11章 プロジェクト

第07話 最上階での会話

しおりを挟む
 迎え入れられたのは公約通り最上階の部屋だった。

「なんや、もう解決してきたいうて聞いたけど、ホンマでっしゃろな」
「うんホンマ……んんん、本当です。何を見せれば信じてもらえますか?」

 大阪弁は、うつるのか? ちょっと出ちゃったぞ。
 変な言葉使いにならないうちにさっさと帰りたいけど、さすがにこの部屋で土の山は出せないよな。
 出せそうなのは魔石ぐらいか。輪っか―――衛星が腕輪って言ってたけど、腕輪も意外と大きいんだよな。恐らくゴーレムは大きな奴だったんだろうな。でも、一個ぐらいなら出せそうか。

 三つの魔石を出し、腕輪を一個出した。

「ゴーレムの魔石と腕輪です。これが証拠になりますよね?」
「なるなる、めっちゃなるわ。へぇ~、エイジはんが倒しはったんでっか? 悪魔はんらも強そやったけど、こんな綺麗に倒せまへんやろ」

 腕輪を指しながら指摘された。中々に鋭い。

「大した強さやあらへんのに、加護のおかげでっか? なんや物騒な加護を持ってはるみたいやけど、役立ってまんのやな。ちょっと羨ましおまんな」
「な、なんで? あ、鑑定ですか」
「そやね、エイジはんもうちのを見ましたやろ? うちも見せてもらいましたえ。お相子やね?」

 そうか、同郷って言ってたし転生者か転移者だもんな、鑑定は持ってるか。
 でも、加護の事を分かってくれる人は初めてだからちょっと嬉しい。いや、物騒なって言ってたから【堕天使ルシファーの加護】の事を言ってるんじゃないか? それだと嬉しさも半減なんだけど。でも、もしかしてこの人なら……

「これって見えますか?」

 手に衛星を一個乗せて聞いてみた。

「真面目なエイジはんの事や、テンゴやあらしまへんわな。うちには見えまへんな」

 やっぱりか。衛星が飛び回ってるけど一度も視線が行かないから見えないとは思ってたんだ。ま、念の為の確認だったんだけどね。同郷だから見えるかと期待したんだけど、ユーにも見えなかったからね。

「そうですか……」
「そんな落ち込むっちゅー事は、エイジはんしか見えへんもんがあるんやな。そらぁ、苦労しはりましたな。うちも見えへんけんど、理解はできますさかい応援してますえ」
「ありがとうございます。そんな事、初めて言われました。凄く嬉しいです」

 呪いだなんだとバカにされて来たけど、応援するって言われたのは初めてだ。ユーだって同郷なのに、クラマ達に唆されて便乗してたもん。
 いやぁ、花子さんの事が好きになったかも。

「いえいえ、うちも来た頃は苦労しましたんえ。あれからかれこれ……年。初めの頃はだーれも相手してくれまへんし、うちは京都に来てもーたんかと思うてもうたわ」
「京都?」
 何年か聞こえなかったけど、聞いたらいけないんだろうな。

「あ、知りまへんか? 京都っちゅーのは観光客には愛想ええけど、引越しして来たもんにはそらぁ厳しいとこなんよ。村八分みたいなな。昔の仕来たりに厳しいっちゅーか、そういうお土地柄なんやで」
「このエルフの国はそういう……あーなんとなく分かります。あの長老部の方のような人がいたのなら、そうかもしれませんね」
「そうなんよ、よう分かってくれはるわ。エイジはん、これからもうちと仲良ぉあんじょうやったってや」
「は、はい……」

 やっぱり言葉がイマイチ分からない……
 言葉が分からないのって、結構精神的にくるな。疲れるよ。

「ほな報酬やな。今回のは取り引きやさかい、奮発さしてもらいまっせぇ」
「報酬? あの場所を自由に使ってもいいんですよね?」
「そら当たり前やんか、エイジはんが倒しはったんやさかい。あそこは元々使っとらんさかいにな。うちが言うとるのはこの出してるもんの事や。あと、討伐報酬っちゅーやつもやな」

 討伐報酬って…意外と詳しいんだね。

「ほ? 意外そうな顔してはりますな。うちかてこっちに来て長いさかい、色々と知ってますのや。人間の町にも何度も行っとるさかいな。冒険者ギルドっちゅーのも入ってまんのやで」
「えー! それは意外でした。花子さんも冒険者だったんですね」
「そやで、こう見えてもうちはDランク冒険者なんやで」

 Dランク……微妙だぁ。

「なんやその目は、疑ごうとるんか? ちょう待ちな、証拠ゆーもんを見せたるさかいに」
 花子さんはゴゾゴゾとポケットを探り、一枚のカードを取り出した。冒険者カードだ。

「ほれ見てみ、嘘やあらへんやろ?」
 確かにDランクの冒険者カードだ。
 凄いドヤ顔をしてるんだけど、これはやっぱり自慢してるんだろうな。

「エルフの中では一番なんよ?」

 やっぱり自慢だった。可愛らしく言ってるが、今更イメージは変わらない。綺麗だとは思うけど、思うけど、言葉が半分しか通じないのは致命的だ。
 共感できるとこもあるけど、程々のお付き合いで行こう。
 だから、ここは俺のカードは見せない方がいいな。絶対、ライバル心剥き出しでマシンガントークされるか、それともMAXで落ち込むか。どっちにしても面倒くさそうだ。
 残念ながら俺にはギャップ萌えは通じなかったようだね。

「ソレハスゴイデスネ」
「そやろ? ものごっつ苦労したさかいな、もっと褒めてくれてもええんよ。エルフ共は人間の町には行かんさかい、うちの苦労が分からんのや。大体この森からも滅多に出んのや、もっと社交的になれっちゅーねんなぁ」

 いや、エルフは森から出られないんだろ? 無茶言うなよ!

「大体あの子らはプライドが高すぎるんや。エルフがなんぼのもんやっちゅーねん」
 いやいや、あなたもエルフですから。

「アカン、こんな話してたら何や思い出して腹立って来たわ。エイジはん、今日のとこはこれぐらいにしまひょか。あ、そうそう、報酬はこの中に入れてますさかい、後で確認しておくれやす。今日はホンマにおおきにな」

 そう言い残して花子さんはさっさと部屋から出て行った。
 「ちょっと、いてこまして来まっさ」と言ってたけど、何の事だろうね。物騒なイメージの言葉な気はするけどね。

 あれがエルフ界のトップね……いいのかな。
 ま、俺が心配しても仕方がないし、俺も帰ろ。

「あれ? これって、どうやって帰るの?」
 来る時は花子さんに抱かれて来たんだけど、こんな最上階からどうやって帰るの? もう飛び降りるのは勘弁してよ?

 衛星に頼むと絶対に飛び降り確定だと思ったから、ダメ元でノワールを呼んでみた。
 さすがノワール、最上階まで迎えに来てくれたよ。相当高いんだけどね、雲よりも高いんだから。さすがは天馬というところかな。
 何とか事なきを得て、エルフの国を後にできた。

 さて先にどっちに行こうか。
 悪魔三人組には調査を任せてるし、先に町に行こうかな。
 コーポラルさんの状況も気になるし、地下ではモックンがトンネル工事中だしね。

「ノワール、ヘルファンの町に行ってくれる?」
『承知!』

 暑苦しい返事の後、颯爽と飛んで出発した。
 なるべく低くでお願いしまーす。

 流石にノワールは速い。アッシュ達と移動してた時の何倍も速い。それでいて速さをあまり感じさせない乗り心地。
 いやぁ、ノワールに来てもらってよかった。本当に助かるよ。

 町に入る際には検閲がある。身分証明と不審物の持ち物チェックだ。
 これは山向こうの町でも同じだったんだけど、俺がノワールから降りて冒険者カードを出そうとすると「どうぞお通りください」と何もチェックされなかった。
 不審に思って聞いてみたら、俺は既にこの国では顔パスになったらしい。
 そんな事ってあるのかと聞いてみたら、異例の処置ですと言われた。

 だろうね。向こうでも、フィッツバーグの町では顔パスに近かったぐらいで、他の町では普通に入門待ちの列に並んでたもん。
 それを国レベルで顔パスって、いいのかなぁ。
 それに、行った事の無い町だってあるのに、そこでも顔パス? 相手だって俺の事なんか知らないだろうし、そんなの無理だろ。

 それがそうでも無いらしい。
 黒目黒髪というだけでも、この国では相当珍しいのだそうだ。
 そこに容姿普通、見た目弱そうと来たら、俺しか該当しないらしいのだ。

 いやいや、探せばいるって! 俺より弱そうな黒目黒髪はいるって! だって日本にはいたもん! のび太くん、召喚されて来ーい!

 残念ながら、ここにはのび太くんはいないので諦める事にして、コーポラルさんの居場所を尋ねると、領主城ではないかと教えてくれた。
 領主城に着いて尋ねると、コーポラルさんは、とある貴族の屋敷に出向いてるそうだ。
 場所も教えてもらったが、行こうかどうか思案中である。
 だって、その貴族というのが若ボンなんだよ。「ファットマシュタッシュ・リュードビアド様のお屋敷に行かれてるようです」と、ちゃんと教えてくれたんだけどね。全然名前が入って来ないんだよ。もう覚える気が無いからなんだけどさ。

 仕方ない、先にモックンのとこに行こう。
 だけど、コーポラルさんは若ボンに何の用があったんだろうね。
 一旦、町から出て、塀の死角になった場所に作ったモックントンネル二号の入り口に向かった。
 入り口はモックントンネル一号同様に、入り口に隠蔽を施してあるそうだから分かるかどうか……

「衛星の地図には、この辺から始めろって指示をしてるんだけど……」

 ばっ! バッカじゃねーの! 一号トンネルと同様にとは言ったけど、それは大きさや形の問題で、入り口の派手さまで一緒にしなくていいんだよ!
 トンネルの入り口は、よくバレねーな、と思えるほど派手な入り口に仕上がってた。
 いくら死角だからといって、これはもうバレてるんじゃないの? いくら領兵の人手が足りなくなったって言っても、これは流石に。

「ご苦労様です!」
「へっ?」

 見ると入り口脇に兵士が二人、歩哨として立っている。
 入り口の派手さに気を取られ、気付かなかった。

「何かご用でしょうか!」

 シャキシャキンッ! と二人揃った格好いい敬礼の後、挨拶をしてくれた方の兵士が尋ねて来た。

「えっと……なんで?」
 意味が分からないので質問で返してしまった。

「はっ! 国王命令で入り口の警戒に当たっております!」
 国王命令? 尚更意味が分からないんだけど。

「国王から? なんで?」
「はっ! 私も詳細までは伺っておりませんが、コーポラル伍長からの提案だと聞いております!」

 コーポラルさんから? 国王命令? 全然意味が分かんないけど、一つだけ分かった。
 国王に顔の利く伍長なんていないから、コーポラルさんが普通じゃない事だけは分かった。

「あ、そう……中に入らせてもらってもいいかな?」
「はっ! どうぞお通りください!」

 すんなり通してくれそうだ。俺が誰だか知ってんのかな?

「因みに僕が誰だか分かってますか?」
「はっ! 当然です! 国を救った救国の英雄、イージ卿閣下であらせられます!」
「……」

 ドンドンとんでもない事になって行ってるよ。もうこの門より派手な立場になってんじゃない?
 この分じゃ、この下水道事業にも俺が関わってるってバレてるよね?
 更に立場が上がっちゃう? 貴族とかもういらないんだけど。

 どうせ、この流れで中もとんでもない事になってるんだろうなぁ。と、どんよりした気分でトンネルに入るのだった。


―――――――――――――――――――――――――

『お疲れ様です』『ご苦労様です』同じ意味ですが、部下から上司へは『ご苦労様です』は失礼に当たるそうです。
テレビのバカもんが言ってました。
正解なのでしょうが、過剰に言いすぎです。
『ご苦労様』って言った言葉には労いの心は無いと思ってるのでしょうか。
誰も小馬鹿にして挨拶をする人なんていないのにね。
テレビで言う事だから、全て正解だと鵜呑みにして『ご苦労様』と言われた人が言ってくれた人に喧嘩を売る事もあるようです。
本当にバカばかりだ。『おもてなしの日本の心』が聞いて呆れます。
そんな奴は挨拶をされる価値も無いと思いますね。まぁ、挨拶自体減ってきましたけど。

ただの持論です。聞き流してください。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

飯屋の娘は魔法を使いたくない?

秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。 魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。 それを見ていた貴族の青年が…。 異世界転生の話です。 のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。 ※ 表紙は星影さんの作品です。 ※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

処理中です...