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彼のトラウマ
87話
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「これは、リョウの唇が触れたのですね。あの子の唇……!」
首筋、胸。まるで食い散らかすように、神父の舌と唇がはい回る。
そのおぞましさと、恐怖に悲鳴をあげた。
どんなに叫んでも、人がくる気配もない。
「リョウは、“ママン”を呼んでいました。泣きながら、“ママン、助けて!”と。幼いあの子の叫びは、聖職者たちの欲情をさらに過熱させたものですよ」
早口にまくしたてる神父の声が、だんだんと上ずっていく。
「だ、誰か!! 助けて!!!」
必死でもがきながら、逃げ道を探る。それでも、押さえつける力には敵わない。
キャミソールごと、ブラジャーを押し下げられる。
双の乳房が弾むようにまろびでるのを見て、神父は歓喜の声をあげる。
「美しい。張りつめたこの白いまろやかな乳房! 完璧だ!!」
むき出しにされた乳房をわしづかみにして、神父が顔をうずめてきた。
「い、いやっ!」
「おおう、ママン!! あたたかい!……いい匂いがします」
押し付けられた顔を、つかんで引き離そうとするが、まるで動かない。こちらの力など蚊に刺されたほども感じていないのか。神父が頬ずりをする。
ザラッとした髭の感触が気持ち悪い。
わたしは、死に物狂いで暴れまくった。それでも神父の重みは、どうしようもない。
「ここを吸ったのですか。リョウは?!」
神父は顔をあげて、わたしの目を覗き込んでくる。
まるで、織部くんとの行為を、洗いざらい見透かそうとするかのようだ。
「おお……ピンク色で、ぷっくりと、そそり立っているではありませんか」
神父は、指先で、両方の先端を摘む。こね回すように引っ張られた。
「はうっ!」
くやしさと痛みに、涙があふれる。
「ママン、ママン……!!」
神父は乳首を強く吸った。まるで、赤ん坊が母親の母乳を欲しがっているかのようにチュウチュウと音をたてて吸い、噛みつく。痛い!
「いやっ、止めて!!」
「お願いです。これを、わたくしにください!!」
神父は、乳房をいっそう強く握こむ。
さらなる痛みにわたしは、うめいた。
「二つもあるのですから、一つぐらいかまわないでしょう? ねえ、ママン?」
神父の眼差しは、尋常ではない。
ふらふらと起き上がると神父は、あたりを見回した。手近にある机の引き出しを片っ端から、開けて探し物をしているようだ。
乳房を切除する刃物を探しているのかもしれない。
その隙に、わたしは出口を探して、壁際に駆け寄った。十字架の置かれた机の後ろに天上からカーテンが吊るされている。
カーテンをひっぱると、やはり、そこには大きな窓があった。
ただ、見慣れたアルミサッシの窓ではない。
大きな取っ手があるが、どうすれば開くのか……。取っ手をつかんで上にねじり上げる。窓の上部だけが手前に倒れるように傾いて開くだけだ。
とてもではないが、この隙間から這い出ることなどできそうもない。
ヨーロッパの窓は、取っ手をひねる角度で開き方が変わるのだと以前、織部くんから聞いたことがある。
取っ手の扱いで、普通の窓として開くことができるはずなのに!
首筋、胸。まるで食い散らかすように、神父の舌と唇がはい回る。
そのおぞましさと、恐怖に悲鳴をあげた。
どんなに叫んでも、人がくる気配もない。
「リョウは、“ママン”を呼んでいました。泣きながら、“ママン、助けて!”と。幼いあの子の叫びは、聖職者たちの欲情をさらに過熱させたものですよ」
早口にまくしたてる神父の声が、だんだんと上ずっていく。
「だ、誰か!! 助けて!!!」
必死でもがきながら、逃げ道を探る。それでも、押さえつける力には敵わない。
キャミソールごと、ブラジャーを押し下げられる。
双の乳房が弾むようにまろびでるのを見て、神父は歓喜の声をあげる。
「美しい。張りつめたこの白いまろやかな乳房! 完璧だ!!」
むき出しにされた乳房をわしづかみにして、神父が顔をうずめてきた。
「い、いやっ!」
「おおう、ママン!! あたたかい!……いい匂いがします」
押し付けられた顔を、つかんで引き離そうとするが、まるで動かない。こちらの力など蚊に刺されたほども感じていないのか。神父が頬ずりをする。
ザラッとした髭の感触が気持ち悪い。
わたしは、死に物狂いで暴れまくった。それでも神父の重みは、どうしようもない。
「ここを吸ったのですか。リョウは?!」
神父は顔をあげて、わたしの目を覗き込んでくる。
まるで、織部くんとの行為を、洗いざらい見透かそうとするかのようだ。
「おお……ピンク色で、ぷっくりと、そそり立っているではありませんか」
神父は、指先で、両方の先端を摘む。こね回すように引っ張られた。
「はうっ!」
くやしさと痛みに、涙があふれる。
「ママン、ママン……!!」
神父は乳首を強く吸った。まるで、赤ん坊が母親の母乳を欲しがっているかのようにチュウチュウと音をたてて吸い、噛みつく。痛い!
「いやっ、止めて!!」
「お願いです。これを、わたくしにください!!」
神父は、乳房をいっそう強く握こむ。
さらなる痛みにわたしは、うめいた。
「二つもあるのですから、一つぐらいかまわないでしょう? ねえ、ママン?」
神父の眼差しは、尋常ではない。
ふらふらと起き上がると神父は、あたりを見回した。手近にある机の引き出しを片っ端から、開けて探し物をしているようだ。
乳房を切除する刃物を探しているのかもしれない。
その隙に、わたしは出口を探して、壁際に駆け寄った。十字架の置かれた机の後ろに天上からカーテンが吊るされている。
カーテンをひっぱると、やはり、そこには大きな窓があった。
ただ、見慣れたアルミサッシの窓ではない。
大きな取っ手があるが、どうすれば開くのか……。取っ手をつかんで上にねじり上げる。窓の上部だけが手前に倒れるように傾いて開くだけだ。
とてもではないが、この隙間から這い出ることなどできそうもない。
ヨーロッパの窓は、取っ手をひねる角度で開き方が変わるのだと以前、織部くんから聞いたことがある。
取っ手の扱いで、普通の窓として開くことができるはずなのに!
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