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パンがなければ、お菓子を。
74話
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ずるっと、身体の力が抜けて、その場に崩れ落ちそうになるのを、織部くんが支えてくれる。
彼の厚い胸に顔を押し付けていると、心臓の音がはっきりと聞こえた。
今にも皮膚を突き破りそうなほどの激しい鼓動。
「あ……」
放心しきったわたしを、織部くんはベッドへ強い力で押し倒した。
そのままのしかかってこられるのを期待したが、彼はわたしから黙ったまま背を向ける。
息の整わないまま、あおむけに転がっていると、織部くんはクローゼットの前へ大股で歩いて行くのが視界の端に見えた。
ガタンガタンという物音は、引出を開ける音だろうか。いらだたしげに舌打ちする彼の様子が聞こえる。
タイを引きほどく音。
脱いだ上着がこちらへ放り出された。
どきどきしながら、起き上がると、シャツを脱いだ織部くんの裸の背中が見えた。
思わず生唾を呑みこんでしまう。
それほど、彼の身体は見事だった。
まだ若いのに、背筋がすごい。
あまり若いうちに筋肉をつけすぎると、身長が伸びないっていうけど、彼の場合はどちらも、もう十分だ。
少女マンガ的な美青年かと思えば、無駄に鍛えられた筋肉。
いったいどこで鍛えるというのだろうか。
いやいや、いやいやいや。違う。
何を期待しているんだ。わたし。
あまりの恥ずかしい妄想に頭に血が昇る。
ベッドの上で正座して乱された服を直し、髪を適当に整えた。
彼が後ろを向いているのを確認してから、足の間のぬめりもティッシュでふきとる。
ゴミは、まとめて自分のバックの中へ。
すごく恥ずかしい。
またしても完全に年下の彼に、いいようにされてしまった。
わたしがもたもたしている間に、織部くんはすっかり服を改めたらしい。
いつもの見慣れた学生服。……って、なんで制服着てるの?
「基本的に校内では、制服着用が決まりだ」
わたしが聞く前に、織部くんは答えてくれた。
なるほど。
厳しい学校だな。休日まで気が緩めないじゃない。
「なれたら、そうでもない」
そうなんだ。
ってか、織部くんって超能力者か。なんでいちいちわたしが考えていることが判るのよ。
「お前の考えそうなことぐらいすぐに判る。それよりもこれでも着ておけ」
放り投げられたパッケージを見て、思わず赤面してしまう。
これって……下着。
男もののパンツだ。織部くんの下着なの。……新品だけど。
「な、ななななな……なんで、これ……」
我ながら情けないほど、どもってしまう。
「お前のは、使えないだろう」
「つ、つ、つつつ使えないって……」
「優衣が漏らすから、びしょ濡れだ」
「ち、ちちち違うっ、漏らしてなんかっ!!!」
「あまり大声出すな。外に聞こえる」
そう言われて、あわてて口を押える。忘れていた。神父が待っているはずだ。
「本当は、そのなりで帰らせようと思っていたんだが邪魔が入ったからな」
悠然とこちらを見下ろしながら、織部くんは唇の端だけをきゅっと上げた。
あ、悪魔……!
彼の厚い胸に顔を押し付けていると、心臓の音がはっきりと聞こえた。
今にも皮膚を突き破りそうなほどの激しい鼓動。
「あ……」
放心しきったわたしを、織部くんはベッドへ強い力で押し倒した。
そのままのしかかってこられるのを期待したが、彼はわたしから黙ったまま背を向ける。
息の整わないまま、あおむけに転がっていると、織部くんはクローゼットの前へ大股で歩いて行くのが視界の端に見えた。
ガタンガタンという物音は、引出を開ける音だろうか。いらだたしげに舌打ちする彼の様子が聞こえる。
タイを引きほどく音。
脱いだ上着がこちらへ放り出された。
どきどきしながら、起き上がると、シャツを脱いだ織部くんの裸の背中が見えた。
思わず生唾を呑みこんでしまう。
それほど、彼の身体は見事だった。
まだ若いのに、背筋がすごい。
あまり若いうちに筋肉をつけすぎると、身長が伸びないっていうけど、彼の場合はどちらも、もう十分だ。
少女マンガ的な美青年かと思えば、無駄に鍛えられた筋肉。
いったいどこで鍛えるというのだろうか。
いやいや、いやいやいや。違う。
何を期待しているんだ。わたし。
あまりの恥ずかしい妄想に頭に血が昇る。
ベッドの上で正座して乱された服を直し、髪を適当に整えた。
彼が後ろを向いているのを確認してから、足の間のぬめりもティッシュでふきとる。
ゴミは、まとめて自分のバックの中へ。
すごく恥ずかしい。
またしても完全に年下の彼に、いいようにされてしまった。
わたしがもたもたしている間に、織部くんはすっかり服を改めたらしい。
いつもの見慣れた学生服。……って、なんで制服着てるの?
「基本的に校内では、制服着用が決まりだ」
わたしが聞く前に、織部くんは答えてくれた。
なるほど。
厳しい学校だな。休日まで気が緩めないじゃない。
「なれたら、そうでもない」
そうなんだ。
ってか、織部くんって超能力者か。なんでいちいちわたしが考えていることが判るのよ。
「お前の考えそうなことぐらいすぐに判る。それよりもこれでも着ておけ」
放り投げられたパッケージを見て、思わず赤面してしまう。
これって……下着。
男もののパンツだ。織部くんの下着なの。……新品だけど。
「な、ななななな……なんで、これ……」
我ながら情けないほど、どもってしまう。
「お前のは、使えないだろう」
「つ、つ、つつつ使えないって……」
「優衣が漏らすから、びしょ濡れだ」
「ち、ちちち違うっ、漏らしてなんかっ!!!」
「あまり大声出すな。外に聞こえる」
そう言われて、あわてて口を押える。忘れていた。神父が待っているはずだ。
「本当は、そのなりで帰らせようと思っていたんだが邪魔が入ったからな」
悠然とこちらを見下ろしながら、織部くんは唇の端だけをきゅっと上げた。
あ、悪魔……!
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