35 / 92
愛情表現は、歪んでいるもの。
35話
しおりを挟む
「そうか。でも高校生は煙草を買っちゃいけないんだよ。お父さんのでもね。とりあえず、今日はお兄さんが一緒でよかった」
優衣を見た警官が何を勘違いしたのか、急ににこにこと愛想よくなった。
あっけにとられたのは、優衣のほうだ。
だが、この童顔に化粧っけもなく着ているものもシンプルなブラウスに薄手のカーディガンとスカート。女子高生に見えなくもない。
いや、今どきの高校生のほうがもっとしっかりメイクをしている。
彼女がよけいなことを言う前に、俺は警官の職務質問をさっさと済ませようとした。
「名前と住所を申し上げたらいいですか。荷物はないので、ポケットの中の物でもお見せしましょうか」
「いや、もう十分です。ご協力ありがとうございます」
そう言って、警官は深々と頭を下げた。
すれ違いざまに、優衣に向かって軽く手を振った。
俺の優衣になれなれしい。
あの警官はロリコンか。(いや、彼女の年齢を考えたらロリコンは違うのか)
少々、ムカついたが顔には出さず俺も、頭を下げた。
それぐらいの処世術は身につけている。
警官が立ち去った後、優衣は顔を赤くして、むくれていた。
高校生と間違えられたのがショックだったのか。
あるいは、下着を奪われたままにしていることを怒って、拗ねているのか。
その顔を見ていると、高校生どころか中学生にも間違いかねない。
さっきの警官がおとなしく引き下がったのもこいつのおかげかな、と思った。
拗ねたり、むくれたりするこの顔がまた可愛いのだ。
思いっきり抱きしめて、舐めまわしたくなる。
いかんな。この発想は、変質者のものだ。
だが、今の段階で性的異常者の仲間入り。
さっきの警察官が職務質問しようと考えるの当然の成り行きかもしれない。
当事者である優衣が、俺をかばってくれたから、あっさり引き下がってくれたのだろう。
そもそも彼女の下着を脱がせたまま、こうして外を歩かせるなど、なんのプレイか。
だが、このままコンビニへ連れて行くわけには……いや、恥ずかしがっている優衣を見ているのも……。
いかん。どんどん変態の深みにはまっていく。
「ねえ……織部くん」
「なんだ」
そう答えたものの、やはり優衣の呼び方が変わっているのが気に入らない。
「……返してね。……あの、……わたしの」
もじもじと内腿を擦り合わせ、スカートの裾を両手で引っ張っている。
「何をだ」
判っていたが、とぼけてやると、優衣は何とも言えぬ情けない顔になった。
泣いても、返してやらんぞ。
俺の名をちゃんと呼べるようになるまでは。
優衣を見た警官が何を勘違いしたのか、急ににこにこと愛想よくなった。
あっけにとられたのは、優衣のほうだ。
だが、この童顔に化粧っけもなく着ているものもシンプルなブラウスに薄手のカーディガンとスカート。女子高生に見えなくもない。
いや、今どきの高校生のほうがもっとしっかりメイクをしている。
彼女がよけいなことを言う前に、俺は警官の職務質問をさっさと済ませようとした。
「名前と住所を申し上げたらいいですか。荷物はないので、ポケットの中の物でもお見せしましょうか」
「いや、もう十分です。ご協力ありがとうございます」
そう言って、警官は深々と頭を下げた。
すれ違いざまに、優衣に向かって軽く手を振った。
俺の優衣になれなれしい。
あの警官はロリコンか。(いや、彼女の年齢を考えたらロリコンは違うのか)
少々、ムカついたが顔には出さず俺も、頭を下げた。
それぐらいの処世術は身につけている。
警官が立ち去った後、優衣は顔を赤くして、むくれていた。
高校生と間違えられたのがショックだったのか。
あるいは、下着を奪われたままにしていることを怒って、拗ねているのか。
その顔を見ていると、高校生どころか中学生にも間違いかねない。
さっきの警官がおとなしく引き下がったのもこいつのおかげかな、と思った。
拗ねたり、むくれたりするこの顔がまた可愛いのだ。
思いっきり抱きしめて、舐めまわしたくなる。
いかんな。この発想は、変質者のものだ。
だが、今の段階で性的異常者の仲間入り。
さっきの警察官が職務質問しようと考えるの当然の成り行きかもしれない。
当事者である優衣が、俺をかばってくれたから、あっさり引き下がってくれたのだろう。
そもそも彼女の下着を脱がせたまま、こうして外を歩かせるなど、なんのプレイか。
だが、このままコンビニへ連れて行くわけには……いや、恥ずかしがっている優衣を見ているのも……。
いかん。どんどん変態の深みにはまっていく。
「ねえ……織部くん」
「なんだ」
そう答えたものの、やはり優衣の呼び方が変わっているのが気に入らない。
「……返してね。……あの、……わたしの」
もじもじと内腿を擦り合わせ、スカートの裾を両手で引っ張っている。
「何をだ」
判っていたが、とぼけてやると、優衣は何とも言えぬ情けない顔になった。
泣いても、返してやらんぞ。
俺の名をちゃんと呼べるようになるまでは。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
アダルト漫画家とランジェリー娘
茜色
恋愛
21歳の音原珠里(おとはら・じゅり)は14歳年上のいとこでアダルト漫画家の音原誠也(おとはら・せいや)と二人暮らし。誠也は10年以上前、まだ子供だった珠里を引き取り養い続けてくれた「保護者」だ。
今や社会人となった珠里は、誠也への秘めた想いを胸に、いつまでこの平和な暮らしが許されるのか少し心配な日々を送っていて……。
☆全22話です。職業等の設定・描写は非常に大雑把で緩いです。ご了承くださいませ。
☆エピソードによって、ヒロイン視点とヒーロー視点が不定期に入れ替わります。
☆「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しております。
【R18・完結】甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
花室 芽苳
恋愛
【本編完結/番外編完結】
この人なら愛せそうだと思ったお見合い相手は、私の妹を愛してしまった。
2人の間を邪魔して壊そうとしたけど、逆に2人の想いを見せつけられて……
そんな時叔父が用意した新しいお見合い相手は大企業の御曹司。
両親と叔父の勧めで、あっという間に俺様御曹司との新婚初夜!?
「夜のお相手は、他の女性に任せます!」
「は!?お前が妻なんだから、諦めて抱かれろよ!」
絶対にお断りよ!どうして毎夜毎夜そんな事で喧嘩をしなきゃならないの?
大きな会社の社長だからって「あれするな、これするな」って、偉そうに命令してこないでよ!
私は私の好きにさせてもらうわ!
狭山 聖壱 《さやま せいいち》 34歳 185㎝
江藤 香津美 《えとう かつみ》 25歳 165㎝
※ 花吹は経営や経済についてはよくわかっていないため、作中におかしな点があるかと思います。申し訳ありません。m(__)m

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
二人の甘い夜は終わらない
藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい*
年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。
一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
椿蛍
恋愛
念願のデザイナーとして働き始めた私に、『家のためにお見合いしろ』と言い出した父と継母。
断りたかったけれど、病弱な妹を守るため、好きでもない相手と結婚することになってしまった……。
夢だったデザイナーの仕事を諦められない私――そんな私の前に現れたのは、有名な美女モデル、【リセ】だった。
パリで出会ったその美人モデル。
女性だと思っていたら――まさかの男!?
酔った勢いで一夜を共にしてしまう……。
けれど、彼の本当の姿はモデルではなく――
(モデル)御曹司×駆け出しデザイナー
【サクセスシンデレラストーリー!】
清中琉永(きよなかるな)新人デザイナー
麻王理世(あさおりせ)麻王グループ御曹司(モデル)
初出2021.11.26
改稿2023.10
初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる
ささゆき細雪
恋愛
樹理にはかつてひとまわり年上の婚約者がいた。けれど樹理は彼ではなく彼についてくる母親違いの弟の方に恋をしていた。
だが、高校一年生のときにとつぜん幼い頃からの婚約を破棄され、兄弟と逢うこともなくなってしまう。
あれから十年、中小企業の社長をしている父親の秘書として結婚から逃げるように働いていた樹理のもとにあらわれたのは……
幼馴染で初恋の彼が新社長になって、専属秘書にご指名ですか!?
これは、両片想いでゆるふわオフィスラブなひしょひしょばなし。
※ムーンライトノベルズで開催された「昼と夜の勝負服企画」参加作品です。他サイトにも掲載中。
「Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―」で当て馬だった紡の弟が今回のヒーローです(未読でもぜんぜん問題ないです)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる