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戦略は、馬刺しと囲碁。
11話
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初めて彼と出逢ったのは、彼の学校だった。
高校では、生徒を募集しない完全中高一貫校だという。
ものすごく広大な敷地の中に、中学校と高校がある。大学は、もうちょっと離れた場所にあるそうだ。
校門でもらった入校証を首からぶら下げて、高校の職員室を探す。
校内は学校というより、中世の城館みたいだ。
尖塔や十字架。わたしの知っている世界とはまるで切り離されたような世界。
ミッション系の学校らしく外国人の神父がときおり通り過ぎて行くのも珍しかった。
廊下のあちこちに、彫像が置かれ、巨大な宗教画が壁に飾ってある。
男子校だから、当たり前かもしれないけど女性がまったくいない。女性教諭ともすれ違うことがなかった。
もしかしたら、食堂とか保健室にはいるのかもしれないが、生徒たちが物珍しげにすれ違うのも恥ずかしい。
彼らの着ている最近では、すっかり見なくなった黒い詰襟の制服も、まるで神父の着ている僧服に見えてしまう。
私語をする学生もほとんどいないせいか、学校という雰囲気が感じられない。
どこかの魔法学校だって、もうちょっと活気があったはず……。
ここ、本当に現代の日本なの?
本気で心配になってくる。
校内では携帯電話が圏外になっているし、今どき携帯電話が繋がらない場所なんてないだろう……とか思っていたら、ここにあったよ。
螺旋階段を登りきったところで、袴姿の人にぶつかった。
見上げるほど背の高い男の人だ。学生にも見えないので、思い切って声をかけた。
「あの、すいません。職員室はどこですか」
「そこを右に曲がった突き当たりです」
初めての会話はそれだけだった。
わたしは、そのとき織部くんの低い声に聞き入り、振り向いた彼の端正な横顔に見惚れた。
すごく奇麗な人だけど、なんだかちょっと怖い。
それが第一印象。
そのときの織部くんは、道着袴だったので、てっきり剣道部の顧問の先生かと思った。(後で聞いたら弓道部だったのだが)
どうお礼を言ったのかも覚えていない。
頭を下げて逃げるようにその場を立ち去った。
教えられた職員室に行くと、会議中で立ち入り禁止になっている。
以前、お世話になった司書教諭に頼まれていた美術書を持ってきたのだ。ここまで来て、まさか会議中にあたるなんて。
会議は、どれくらいで終わるのだろう。
そもそも恩師の勤務先が男子校と知っていたら絶対に来なかった。
独特の雰囲気の中、部外者にはいたたまれない。
いったん、帰ろうかな。
高校では、生徒を募集しない完全中高一貫校だという。
ものすごく広大な敷地の中に、中学校と高校がある。大学は、もうちょっと離れた場所にあるそうだ。
校門でもらった入校証を首からぶら下げて、高校の職員室を探す。
校内は学校というより、中世の城館みたいだ。
尖塔や十字架。わたしの知っている世界とはまるで切り離されたような世界。
ミッション系の学校らしく外国人の神父がときおり通り過ぎて行くのも珍しかった。
廊下のあちこちに、彫像が置かれ、巨大な宗教画が壁に飾ってある。
男子校だから、当たり前かもしれないけど女性がまったくいない。女性教諭ともすれ違うことがなかった。
もしかしたら、食堂とか保健室にはいるのかもしれないが、生徒たちが物珍しげにすれ違うのも恥ずかしい。
彼らの着ている最近では、すっかり見なくなった黒い詰襟の制服も、まるで神父の着ている僧服に見えてしまう。
私語をする学生もほとんどいないせいか、学校という雰囲気が感じられない。
どこかの魔法学校だって、もうちょっと活気があったはず……。
ここ、本当に現代の日本なの?
本気で心配になってくる。
校内では携帯電話が圏外になっているし、今どき携帯電話が繋がらない場所なんてないだろう……とか思っていたら、ここにあったよ。
螺旋階段を登りきったところで、袴姿の人にぶつかった。
見上げるほど背の高い男の人だ。学生にも見えないので、思い切って声をかけた。
「あの、すいません。職員室はどこですか」
「そこを右に曲がった突き当たりです」
初めての会話はそれだけだった。
わたしは、そのとき織部くんの低い声に聞き入り、振り向いた彼の端正な横顔に見惚れた。
すごく奇麗な人だけど、なんだかちょっと怖い。
それが第一印象。
そのときの織部くんは、道着袴だったので、てっきり剣道部の顧問の先生かと思った。(後で聞いたら弓道部だったのだが)
どうお礼を言ったのかも覚えていない。
頭を下げて逃げるようにその場を立ち去った。
教えられた職員室に行くと、会議中で立ち入り禁止になっている。
以前、お世話になった司書教諭に頼まれていた美術書を持ってきたのだ。ここまで来て、まさか会議中にあたるなんて。
会議は、どれくらいで終わるのだろう。
そもそも恩師の勤務先が男子校と知っていたら絶対に来なかった。
独特の雰囲気の中、部外者にはいたたまれない。
いったん、帰ろうかな。
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