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5章
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幸い、その日の告解はリアだけで、聖堂の中に人がくる気配はない。
結局リアは、家庭教師にされたことを、あらいざらい話してしまった。
しかし、話しているうちに、リアの中で不可解なことが起こる。
腹立たしく不快で、気持ちの悪い出来事だったのに、ベルゼに告白することが奇妙な高揚感となった。
絹のドレスに包まれた胸の先端は、痛痒いようなムズムズとした感触に襲われ、スカートに覆われた脚の間からは、血が逆流してくるような熱さが込み上げてくる。
なぜ、こんな感覚が今、この場でやってきたのか。まるで分からない。
ただ、目の前にあるベルゼの美しい顔を見ていること、同じ空間にいられることが、今の状況を生みだしているのだと感じた。
「かわいそうに……つらい思いをさせてしまったな」
ベルゼの低い声が、胸の奥底まで響いてくる。
そんな優しい言葉をかけられたのは、伯爵家に戻ってから初めてだったのかもしれない。
両親ですら、リアをいたわってくれることはなかった。
修道院を出てから、まだ数週間しか経っていないのに、リアはすでにベルゼが懐かしくてたまらなかった。
リアは、2人の間をはばむ格子窓に指を絡めた。そうすることで、少しでもベルゼに触れられるような気がしたのだ。
そんなリアの気持ちが通じたのか、ベルゼは格子窓ごしにリアの手に、自分の手を重ねた。
「リア、見せてごらんなさい」
突然のベルゼの言葉に、リアは戸惑った。
「家庭教師に噛まれたところです」
「あの……だって……」
「噛み傷から化膿したらどうする。まともな手当てをしているわけではないのだろう」
ベルゼに言われるまで、気づかなかった。
別の場所なら、すぐに薬を塗ったり、消毒をするなどをしたかもしれない。
だが、胸の先にそんなこと処置をすることなど思いもしなかった。
急に不安になって、リアはドレスの胸もとを少し押し下げる。
王都で流行っているドレスは、胸元が大きく開いているから、胸当てやコルセットを外す必要ない。
リボンを解くと絹の下着の上に、二つの乳房が揺れるようにこぼれる。ビアン夫人から大きすぎると指摘されたことを思い出す。
この期に及んで、リアは急に恥ずかしくなった。
自ら胸をさらけ出したはずなのに、リアは両手で隠さずにはいられない。
「リア、燭台の灯りのほうへ。よく見せてください」
ベルゼはまっすぐに、こちらを見つめている。その暗い目には感情の揺らぎがない。
「自分で持ち上げて、こちらへ」
狭い密室の中で、リアは言われるまま自分の手ですくい上げ、ベルゼに捧げるように差し出した。
――ベルゼは、医師なんだ。だから、恥ずかしくない。
リアは自分に言い聞かせた。心臓の音が、耳障りなほどドクドクと脈打っているのが分かる。
「噛まれたのですね。少し痕が残っています。痛くありませんか」
「い、いいえ……」
ベルゼに見られていると思うだけで、リアは肌が粟立つ。
不快な感覚ではない。頭がボウとしている。
「このまま、ここで薬を塗りますか? それともわたしが、そちらへ行きましょうか」
「こ、ここで……っ!」
咄嗟にリアは、そう答えてしまった。
まだ格子窓を隔てているだけ、今の状態のほうがマシに思えたのだ。
恥ずかしさに身体が燃え上がりそうに熱くなる。そんなリアとは、対照的にベルゼは眉一つ動かさず、冷淡に言った。
「では、この格子窓に胸を圧しつけてください」
目の前にある格子窓の隙間は小さくないし、厚みもない。リアの胸ぐらいなら、すっぽりとハマってしまうだろう。
そうすると、格子窓から歪に形を変え、圧迫された乳房がくびりだされてしまう。
「あの……そ、そんなこと……本当にするんですか?」
「そうしないと薬は塗れませんよ。さあ」
リアの戸惑いなど気にするふうもなく、当然のことのようにベルゼは答える。
うながされてリアは、格子窓に上半身を押し付けた。
自分でもマヌケすぎる恰好だと思う。
ベルゼの前に曝している自分の姿を想像して、リアは泣きたくなった。
「そう……いい子ですね。触りますよ」
冷たい指先が胸の先端に触れた。その刺激だけで、身体がビクンと跳ね上がる。
「痛みましたか? 我慢せずともいいのですよ。声に出せば、痛みがまぎれます」
ベルゼは気遣うように言ってくれたが、胸に感じるのは痛みではない。全く別の感覚だった。
触れていただけの指先が、挿むようにしてすり潰される。
「はぁう……」
リアが声をあげると、すり潰された乳首が柔らかく転がされる。
もう片方の胸の先端は、軽く弾かれてしまう。
それだけの刺激に、リアは胸の先端から臍の下にかけて、痺れるような感覚が伝わってくる。
「あぁっ……やんっ…」
ビアン男爵夫人に同じことをされた時には、気づかなかった自分の反応に、リアは怖くなった。
あわてて身を引いて格子窓から離れると、胸の先端はぷくんと膨らみ、硬く勃ち上がっている。
「もう、いいですよ。服を戻してください」
冷ややかなベルゼの声が、恨めしく、悲しかった。
結局リアは、家庭教師にされたことを、あらいざらい話してしまった。
しかし、話しているうちに、リアの中で不可解なことが起こる。
腹立たしく不快で、気持ちの悪い出来事だったのに、ベルゼに告白することが奇妙な高揚感となった。
絹のドレスに包まれた胸の先端は、痛痒いようなムズムズとした感触に襲われ、スカートに覆われた脚の間からは、血が逆流してくるような熱さが込み上げてくる。
なぜ、こんな感覚が今、この場でやってきたのか。まるで分からない。
ただ、目の前にあるベルゼの美しい顔を見ていること、同じ空間にいられることが、今の状況を生みだしているのだと感じた。
「かわいそうに……つらい思いをさせてしまったな」
ベルゼの低い声が、胸の奥底まで響いてくる。
そんな優しい言葉をかけられたのは、伯爵家に戻ってから初めてだったのかもしれない。
両親ですら、リアをいたわってくれることはなかった。
修道院を出てから、まだ数週間しか経っていないのに、リアはすでにベルゼが懐かしくてたまらなかった。
リアは、2人の間をはばむ格子窓に指を絡めた。そうすることで、少しでもベルゼに触れられるような気がしたのだ。
そんなリアの気持ちが通じたのか、ベルゼは格子窓ごしにリアの手に、自分の手を重ねた。
「リア、見せてごらんなさい」
突然のベルゼの言葉に、リアは戸惑った。
「家庭教師に噛まれたところです」
「あの……だって……」
「噛み傷から化膿したらどうする。まともな手当てをしているわけではないのだろう」
ベルゼに言われるまで、気づかなかった。
別の場所なら、すぐに薬を塗ったり、消毒をするなどをしたかもしれない。
だが、胸の先にそんなこと処置をすることなど思いもしなかった。
急に不安になって、リアはドレスの胸もとを少し押し下げる。
王都で流行っているドレスは、胸元が大きく開いているから、胸当てやコルセットを外す必要ない。
リボンを解くと絹の下着の上に、二つの乳房が揺れるようにこぼれる。ビアン夫人から大きすぎると指摘されたことを思い出す。
この期に及んで、リアは急に恥ずかしくなった。
自ら胸をさらけ出したはずなのに、リアは両手で隠さずにはいられない。
「リア、燭台の灯りのほうへ。よく見せてください」
ベルゼはまっすぐに、こちらを見つめている。その暗い目には感情の揺らぎがない。
「自分で持ち上げて、こちらへ」
狭い密室の中で、リアは言われるまま自分の手ですくい上げ、ベルゼに捧げるように差し出した。
――ベルゼは、医師なんだ。だから、恥ずかしくない。
リアは自分に言い聞かせた。心臓の音が、耳障りなほどドクドクと脈打っているのが分かる。
「噛まれたのですね。少し痕が残っています。痛くありませんか」
「い、いいえ……」
ベルゼに見られていると思うだけで、リアは肌が粟立つ。
不快な感覚ではない。頭がボウとしている。
「このまま、ここで薬を塗りますか? それともわたしが、そちらへ行きましょうか」
「こ、ここで……っ!」
咄嗟にリアは、そう答えてしまった。
まだ格子窓を隔てているだけ、今の状態のほうがマシに思えたのだ。
恥ずかしさに身体が燃え上がりそうに熱くなる。そんなリアとは、対照的にベルゼは眉一つ動かさず、冷淡に言った。
「では、この格子窓に胸を圧しつけてください」
目の前にある格子窓の隙間は小さくないし、厚みもない。リアの胸ぐらいなら、すっぽりとハマってしまうだろう。
そうすると、格子窓から歪に形を変え、圧迫された乳房がくびりだされてしまう。
「あの……そ、そんなこと……本当にするんですか?」
「そうしないと薬は塗れませんよ。さあ」
リアの戸惑いなど気にするふうもなく、当然のことのようにベルゼは答える。
うながされてリアは、格子窓に上半身を押し付けた。
自分でもマヌケすぎる恰好だと思う。
ベルゼの前に曝している自分の姿を想像して、リアは泣きたくなった。
「そう……いい子ですね。触りますよ」
冷たい指先が胸の先端に触れた。その刺激だけで、身体がビクンと跳ね上がる。
「痛みましたか? 我慢せずともいいのですよ。声に出せば、痛みがまぎれます」
ベルゼは気遣うように言ってくれたが、胸に感じるのは痛みではない。全く別の感覚だった。
触れていただけの指先が、挿むようにしてすり潰される。
「はぁう……」
リアが声をあげると、すり潰された乳首が柔らかく転がされる。
もう片方の胸の先端は、軽く弾かれてしまう。
それだけの刺激に、リアは胸の先端から臍の下にかけて、痺れるような感覚が伝わってくる。
「あぁっ……やんっ…」
ビアン男爵夫人に同じことをされた時には、気づかなかった自分の反応に、リアは怖くなった。
あわてて身を引いて格子窓から離れると、胸の先端はぷくんと膨らみ、硬く勃ち上がっている。
「もう、いいですよ。服を戻してください」
冷ややかなベルゼの声が、恨めしく、悲しかった。
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