ぬいぐるみ界の日常記録

奈留美

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ガオガオの苦労

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ちゃあちゃんは寝起きが悪い。

だからちゃあちゃんの兄ガオガオは、毎朝ちゃあちゃんを起こすのに苦労する。

ガオガオ達兄妹は一番上が長男のガオガオ、次がちゃあちゃん、末っ子がちゃちゃの順番だ。

両親はガオガオ達が物心付いた時にはもういなくて、ガオガオの記憶ではある用事があって二人は人間界に行って、それから帰って来なかった。

「ちゃあちゃん、そろそろ起きないと学校遅刻しちゃうよー」

ガオガオが台所で三人分の朝食と弁当を作りながら、今だ爆睡中のちゃあちゃんに声をかけるが、起きる気配がない。

そのうち末っ子のちゃちゃが起きてきた。

「にーちゃん、おはよー」

「丁度よかった、ちゃあちゃん起こして来てくれる?」

ガオガオは今手が離せないので、ちゃちゃにお願いした。

「いいよー」

ちゃちゃはちゃあちゃんの寝ている布団に駆け寄り、揺すり始めた。

「おねーちゃん起きてー」

「ぐがーーー」

耳元で大声で呼んでみる。

「おねーちゃーん!」

それでも起きない。

そのうちちゃちゃは近くの椅子によじ登り始めた。

「おねーちゃん!起きてー!」

叫びながら、椅子の上からちゃあちゃんの上にダイブ。

「ぐえっ」

ちゃあちゃんはカエルの潰れたような声を出した。

そしてやっと布団から顔を出し、こう言った。

「ねえちゃちゃ、私もうちょっと優しく起こして欲しいなぁ」

その言葉を聞いてちゃちゃの目が鋭くなった。

どうやら怒らせてしまったようだ。

「だっておねーちゃん、優しく起こしても起きないんだもん」

「むー、だからってダイブして来なくても……」

ちゃあちゃんが唇を尖らせて言う。

「自分が悪いんでしょ。会長なんだからもっとしっかりしてよ。だいたいおねーちゃんはいつもいつも……」

そこにガオガオが朝食を運んで来た。

「ほら、二人とも朝ごはん出来たよ。早く食べないとぼくが全部食べちゃうぞー」

その言葉を聞いたちゃちゃは、さっきちゃあちゃんに怒っていた時にはしていなかった鬼の形相になる。

「ダメー!!」

そして叫びながら凄い勢いでガオガオに突進していった。

「ぐはっ!ちゃちゃ……、今の、うそ、だ……から……」

お腹にもの凄い衝撃を受けたガオガオは、その場にくずおれた。

そんな事は気にも留めないちゃちゃは自分の席に着き、手を合わせてから朝ごはんを食べ始めた。

「あれ、にーちゃん食べないの?食べないなら私が貰っちゃおっと」

兄を容赦ない突進で倒し、なおかつ朝ごはんのおかずを奪い取るちゃちゃをみて、

「我が妹ながら恐ろしいわね」

ちゃあちゃんは一人呟いた。

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