13 / 13
12話♥残酷な過去
しおりを挟む
「邪魔だブスッ!!」
(パリンッ)
蹴られてメガネが飛ぶ、またメガネが割れてしまった。
前髪をわけたロング髪の少女がトイレで複数の女子に囲まれ、殴られ、蹴られ、壮絶な光景が広がっている。
いじめっ子のリーダーが少女をトイレに閉じ込める。
「きゃっ!だっ出して!!」
「うるせぇ!!」
返ってきたいじめっ子の叫び声に、怖くて言い返せなかった。
「せーのっ!」
上から降ってきたのは、変な虫が入った汚水だった。
「いやッ!!出してっ!!」
落ちてきた虫が床でうにょうにょ動いてる、耐えきれなく叫んだ。
「あはは!!」
返ってきたのは、やっぱり女子達の笑い声だった。
ブスってだけでいじめられて私は毎日残酷ないじめに耐えている。
生まれた頃からこんな顔、後から生まれてきた妹は可愛いのに、私だけこんな顔だ。
次の日。
学校へ来るといつものように上履きには大量に詰まった画鋲がある。
それを取るなり、入りたくもない教室に憂鬱な1歩を踏み出した。
その瞬間笑い声が聞こえる。いつもの事
机には死ねだのブスだの色々書いてあった、椅子には丁寧にのりで画鋲が貼られてある。いつもの事。
私には既に心というものは死んでいた。
死んだというよりかは殺された。
あいつらに。
いじめは止むことなく、日に日にエスカレートしてゆく。
でもまさか家に放火されるとは思ってなかった。
いつものように家に帰ると、そこには変わり果てた家の姿と家族の姿があった。
妹と私は学校から帰ってくる途中だったから無事だったものの鎮火後、家から運ばれてきたのは丸焦げになった母と父がいた。あの頃の面影などない。
「私のせいだ…」
「それがあって今は化粧なりコンタクトするなりで過去の自分は無くした。」
気が付くと昔の壮絶な人生をさゆりに言っていた。
「私はいじめられた事は無いからいくらはなみちゃんと仲良くなれても、はなみちゃんの気持ちは理解出来ないし…」
さゆりは俯く、そして私の手を握った。
「そんな事が起きながらも必死に生きた心優しいあなたなら、きっとはなみちゃんの気持ちを理解してくれると思って」
さゆりは私にあいつを守って欲しいと言った。とりあえず、わかったからと流して家に帰って試しに妹に聞くとどうやらはなみがいじめられてるのは本当らしい。私は何故か守ってやらなきゃって思った。
卒業式当日、さゆりは私に「頼んだわよ」と一言言ってからもう二度と私に話しかけてくる事はなく、次に会った時は冷たく安堵の顔をして死んでいった時だった。
「さゆり…私は守ってみせる…だから見守っていてくれ。」
きっと私があの場に来たのを見て安心して笑顔で死ねたのだと思うと悪くはなかった。
部屋で1人、化粧を落とす。見たくない顔が写る、私はベッドに倒れ込んだ。
呆気なく死ぬくらいなら誰かを守って死んでやる、そう思った。
人間は誰かを傷付けてでしか楽しめない、そんな人間がいる、いてしまっている。弱いからこそやってしまうからこそ人間。人間は皆弱い、その弱さを隠すためにいじめをする、私は強いんだと私は人の上に立っているんだと。それは傍からみたらただの馬鹿だが、気付かないのが人間。世界の一部には素敵な心を持った人間もいるが、心汚い人間のせいで汚され弱り果て、心汚い人間になってしまう奴もいる。私はそんな奴には屈しない。私は薄汚いやつから綺麗やつを守ってやるんだ。この決心は友恵の中の掟の様なもので、何があろうと守る。
「だから、あいつなんかを守ろうとしたのかな」
1人つぶやく、きっとそうだ。
私の本能がはなみを守れって言ってるんだ。
朝起きるて、眼鏡をかける。8時。
今日は休みだ、だがテレビがうるさい。
お母さんはもう仕事で出掛けている。
「速報です。昨日、夜中に公園で女子生徒が倒れている姿が発見されました。病院に運ばれましたが死亡が確認されています。お腹にナイフを刺した状態で倒れていることから警察は自殺と見て調査をすすめています。…」
笠部弥生さんだ。何故か罪悪感が芽生えてテレビを消した。
フラフラと歩いて冷蔵庫を開け、牛乳とパンを取って食べた。
「おいしくない…」
急に涙がボロボロ零れた。
もうこの世にさゆりさんはいないんだと、1件もメールが来ない携帯からわかる。
(ピンポーン)
はっと気が付くと、インターホンの先にともえさんがいた。
「ともっち先輩…?」
すると、あぁと答えた、ともえさんだ。
「顔色悪いけど大丈夫か?」
慌てて顔を隠す、確かにさっきまで泣いていたこともあるけど少し恥ずかしい。
ともえさんは心配するような顔をした。
「おい…いつまでパジャマでいるんだよ」
そういえば、とまた慌てる。
ともえさんは仕方ないなぁと言って待っててくれている間にすぐに着替えた。
季節はもう春だ、そして今は春休み。
少し下がったメガネの位置を直して、私はともえさんの後ろを走ってついていった。
(パリンッ)
蹴られてメガネが飛ぶ、またメガネが割れてしまった。
前髪をわけたロング髪の少女がトイレで複数の女子に囲まれ、殴られ、蹴られ、壮絶な光景が広がっている。
いじめっ子のリーダーが少女をトイレに閉じ込める。
「きゃっ!だっ出して!!」
「うるせぇ!!」
返ってきたいじめっ子の叫び声に、怖くて言い返せなかった。
「せーのっ!」
上から降ってきたのは、変な虫が入った汚水だった。
「いやッ!!出してっ!!」
落ちてきた虫が床でうにょうにょ動いてる、耐えきれなく叫んだ。
「あはは!!」
返ってきたのは、やっぱり女子達の笑い声だった。
ブスってだけでいじめられて私は毎日残酷ないじめに耐えている。
生まれた頃からこんな顔、後から生まれてきた妹は可愛いのに、私だけこんな顔だ。
次の日。
学校へ来るといつものように上履きには大量に詰まった画鋲がある。
それを取るなり、入りたくもない教室に憂鬱な1歩を踏み出した。
その瞬間笑い声が聞こえる。いつもの事
机には死ねだのブスだの色々書いてあった、椅子には丁寧にのりで画鋲が貼られてある。いつもの事。
私には既に心というものは死んでいた。
死んだというよりかは殺された。
あいつらに。
いじめは止むことなく、日に日にエスカレートしてゆく。
でもまさか家に放火されるとは思ってなかった。
いつものように家に帰ると、そこには変わり果てた家の姿と家族の姿があった。
妹と私は学校から帰ってくる途中だったから無事だったものの鎮火後、家から運ばれてきたのは丸焦げになった母と父がいた。あの頃の面影などない。
「私のせいだ…」
「それがあって今は化粧なりコンタクトするなりで過去の自分は無くした。」
気が付くと昔の壮絶な人生をさゆりに言っていた。
「私はいじめられた事は無いからいくらはなみちゃんと仲良くなれても、はなみちゃんの気持ちは理解出来ないし…」
さゆりは俯く、そして私の手を握った。
「そんな事が起きながらも必死に生きた心優しいあなたなら、きっとはなみちゃんの気持ちを理解してくれると思って」
さゆりは私にあいつを守って欲しいと言った。とりあえず、わかったからと流して家に帰って試しに妹に聞くとどうやらはなみがいじめられてるのは本当らしい。私は何故か守ってやらなきゃって思った。
卒業式当日、さゆりは私に「頼んだわよ」と一言言ってからもう二度と私に話しかけてくる事はなく、次に会った時は冷たく安堵の顔をして死んでいった時だった。
「さゆり…私は守ってみせる…だから見守っていてくれ。」
きっと私があの場に来たのを見て安心して笑顔で死ねたのだと思うと悪くはなかった。
部屋で1人、化粧を落とす。見たくない顔が写る、私はベッドに倒れ込んだ。
呆気なく死ぬくらいなら誰かを守って死んでやる、そう思った。
人間は誰かを傷付けてでしか楽しめない、そんな人間がいる、いてしまっている。弱いからこそやってしまうからこそ人間。人間は皆弱い、その弱さを隠すためにいじめをする、私は強いんだと私は人の上に立っているんだと。それは傍からみたらただの馬鹿だが、気付かないのが人間。世界の一部には素敵な心を持った人間もいるが、心汚い人間のせいで汚され弱り果て、心汚い人間になってしまう奴もいる。私はそんな奴には屈しない。私は薄汚いやつから綺麗やつを守ってやるんだ。この決心は友恵の中の掟の様なもので、何があろうと守る。
「だから、あいつなんかを守ろうとしたのかな」
1人つぶやく、きっとそうだ。
私の本能がはなみを守れって言ってるんだ。
朝起きるて、眼鏡をかける。8時。
今日は休みだ、だがテレビがうるさい。
お母さんはもう仕事で出掛けている。
「速報です。昨日、夜中に公園で女子生徒が倒れている姿が発見されました。病院に運ばれましたが死亡が確認されています。お腹にナイフを刺した状態で倒れていることから警察は自殺と見て調査をすすめています。…」
笠部弥生さんだ。何故か罪悪感が芽生えてテレビを消した。
フラフラと歩いて冷蔵庫を開け、牛乳とパンを取って食べた。
「おいしくない…」
急に涙がボロボロ零れた。
もうこの世にさゆりさんはいないんだと、1件もメールが来ない携帯からわかる。
(ピンポーン)
はっと気が付くと、インターホンの先にともえさんがいた。
「ともっち先輩…?」
すると、あぁと答えた、ともえさんだ。
「顔色悪いけど大丈夫か?」
慌てて顔を隠す、確かにさっきまで泣いていたこともあるけど少し恥ずかしい。
ともえさんは心配するような顔をした。
「おい…いつまでパジャマでいるんだよ」
そういえば、とまた慌てる。
ともえさんは仕方ないなぁと言って待っててくれている間にすぐに着替えた。
季節はもう春だ、そして今は春休み。
少し下がったメガネの位置を直して、私はともえさんの後ろを走ってついていった。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
異世界に行く方法をためしてみた結果
古明地蒼空
ファンタジー
動画配信をしている高校2年生の古明地蒼空。
いじめにあって生きることが嫌になり、タヒぬことを決意。
しかし、たまたまネットで見かけた「異世界に行く方法」に興味を持ち
どうせ最後だから...と試してみることに。
その後蒼空は異世界に行くことに成功して…!?

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる